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    PROGRESS2月新刊「やがて灰になる」作業進捗です。
    やがて灰になる
     九月も終わりかけだというのに、うんざりするほど暑い日だった。一人暮らしをしていた女は、親戚の訃報を受けた地元の両親から、隣の区で執り行われる葬儀に参列するよう頼まれた。親戚付き合いなどと縁のない女は、顔も知らない故人の式で、不謹慎にも両親の死に際を空想し涙した。
     
     動きづらい喪服に灼熱から身を守る日傘、引き物と何も入らないハンドバッグ、それを補うためのトートバッグ。そんな大荷物を引きずりながらやっとのことで最寄り駅まで引き返した女は、暑さから逃れるようにカフェへと足を運んでいた。最寄り駅ということもありよく使っているチェーン店である。平日の昼間であるためか、客はあまりいない。ひとまず荷物を置いて、レジで冷たい飲み物と軽食を注文する。財布を取り出そうとしたとき、背後から「This one」とメニューを指差す腕が伸びる。あまりにも突然の出来事に何も言うことができず、ただ勢いよく振り返る。そこには、金髪を丁寧にセットした外国人の男の姿があった。呆気に取られていると、その男はさも当たり前かのように女の注文分も支払いを済ませ、女が荷物を置いていた席に座ってしまった。
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    kayu_shimashima

    PROGRESS
    作業に集中しすぎたあまり、スマホの充電切れもPC版ラビチャのアップデートも気づかず音信不通になったユキと心配で死にそうになるモモ


    ついでに作詞をユキの家でやろうと思いPCと筆記用具をリビングに持ってきたけれどまた不精なことをされたら困るので糸電話で進捗を報告しあう2人
    スランプさえもひだまりだと【上】もう3日経った。もう3日ユキとのラビチャに既読がつかないのだ。
    今週は俺のドラマ撮影に合わせて、ユキは作曲期間になっている。作業に集中しているのだろう。しかしながら消えてしまったのではないか、死んでしまったのではないか、なんて撮影中も不穏な気持ちが自分の心に宿っていき、正直全てを投げ出したくなるほど不安だった。今までの詰め込み期間ですら、こんなに連絡が取れなかったのは初めてだったから。
    きっと作曲に追い込まれて、携帯の充電を入れていないのだろう。それは予想できた。同じ予想をしたおかりんが電気メーターの数字は動いているから一応大丈夫だろうと言っていた。
    もし明日になっても連絡が取れなかったら強行突破で合鍵を使って入るそう。「いやあ、それ今日もうやっちゃおうよ。」そう言うものの俺もおかりんもユキの作業の邪魔をしたくないのがどこかにあって。
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