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    diyume_harurun

    MENU『社会人かつ有名人として高校生に手を出したらやばい』という口実のもと単純にひよって回りくどいアプローチしかできない綾さんと、その裏で大和を助けるために頑張っている原作知識あり園妹のお話です。

    ※ゴーストライト時空。連載要素あり。
    ※夢主の容姿描写が多少あります。
    ※終始綾さん視点です。
    綾瀬川次郎はライバルの妹に恋をしている。「綾さんが、うちと結婚でもしたらええんやろか」
     ぽつり、と。眠たげな声音でそう呟いた少女は、次郎にとって片思いの相手であったから。だから、背後から彼女へ近づこうとしていた次郎は、思わず足を止めざるを得なかった。
    「お前ってたまーに脈絡ないこと言うよね」
     次郎はどうにか平静を装って、大きなソファに座る少女の顔を後ろから覗き込んむ。真上へと視線を向けて次郎と目を合わせた少女は、数度瞬きを繰り返した後、にこりと微笑んだ。
    「あら、いらっしゃい。綾さん」
     穏やかな笑顔からは、聞かれたくないことを聞かれた気まずさも、好意がバレた恥じらいも見受けられない。そんな少女──桜子の様子を見て、次郎は彼女も自分と同じ気持ちなのかもしれない、なんて期待がいかに虚しいものであるのかを感じていた。
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    U3Zmb

    MENU既刊本 その③【籠の鳥は旅立った】

    自由になりたいと願う人外と、傍に居て欲しいと願う人外の悲しいお話。

    ※死要素・眷属・転生・戦闘による流血表現・その他捏造有
    ※物語はシリアスですが、最後はハピエンで終わります。
    籠の鳥は旅立っただらんとソファーに身を預けながら、タルタリヤは眉を寄せて口角を上げた。二人掛けのソファーの上で横向きに座って、ひじ掛けに背中を預ける。そうして、靴を脱がないままソファーの上に足を置いて笑みを浮かべている姿に、鍾離の瞳は何の色も示さなかった。ただ無言でタルタリヤを見下ろし、その鍾離の視線に答えるように、タルタリヤが緩く顔を上げる。そんな異質な空間がそこにはあった。
    永遠を切り取って持って来たような時間の中で、タルタリヤはふはっと笑って鍾離の目を見つめ続ける。そのタルタリヤの瞳は、彼本来の色とは遠く離れた石珀のような色に染まっていた。黄色のような橙色のような、それでいて、黄金を振り撒きそうなその瞳には、ハイライトが入っていない。ビー玉のようにキラキラと輝くその瞳の中は、あの時の同じ深淵のままだった。神をも喰らおうとする瞳をきゅっと細め、嘲笑うように息を零して、お綺麗な唇から流暢に言葉を紡ぎ始める。
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