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    まるこ

    John

    SPUR MEサチマル続きました。
    17歳編スタートです。サッチもマルコにも、二人にも思春期と反抗期と諸々があったかと思うと滾りますね。
    Dull Sigh鈍色の溜息


     ソースはコックにとっての命だ。
     一流の料理人ともなれば、自分だけのオリジナルの調理法を確立している。包丁は魂であり、炎は生涯を共にする伴侶だという。とにかく、門外不出のソースの味は師匠と弟子の関係にあったとしても決して教えないという。文献に残すことも、口頭で伝えることもない。

     では、歴代の名料理人達が作り上げたソースは、その料理人の死と共に消え失せてしまうのか?

     ところが、それらの素晴らしい調理法は今でも数々の伝説と共に確かに伝えられているのである。まるで、川を辿れば全ていつかはひとつの海に注ぐ流れの様に───。

     テーブルの上に、置かれた大皿の料理の数々。
     モビーディック号は海賊船だ。輸送船でもなければ、海上のレストランでもない。フルコースがタイミングよく前菜、スープ魚料理───等、一品一品供されるわけでもなければ、基本的に作り上げられた料理を大皿から好きなだけ個人の皿に取り分けて好きなように片付ける(言い方はあれだが、食べるとするよりは正しく的確だ)ようになっている。
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