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    らい。

    rani_noab

    DONE男主ゼン夢。キャラスト&ボイスからの解釈(ネタバレ)。その人が———ならば、その人生に自分が居なくても構わないゼンの話。25000字くらい。なんでも楽しめる人だけ。
    愛を識る人 教令院の廊下で見覚えのある万年筆を拾った。
     興が乗って装飾を掘り色を塗って、丁寧に磨き滑らないようにニスを塗ったものだ。重さと重心も考えている。プレゼントして喜ばれるので、学生時代に時折作っていたものだ。この模様は誰宛だっただろうか、と考えて、ここしばらく会ったことのない人間のことを思い出した。
     知論派のアルハイゼンだ。
     優秀な成績を残したのに、書記官という地味な職に着いたことは知っていた。すれ違ったことはあっても、お互いに声をかけたことはない。アルハイゼンが周囲との交流を拒絶していることは知っていたし、俺と仲が良いわけでもなかったので、迷惑だろうと思いこちらからは挨拶もしていない。
     あげたのは4年ほどまでだ。まだ持っていたのか、と不思議に思い、それからその万年筆のペン軸が曲がっていることに気づいた。今回落とした衝撃か、その他の理由かはわからない。試しに少し書いてみれば、インクは入っていなかったので、曲がったのは以前なのだろう。ペン先は使い込まれていて彼の力の癖がついているのがわかる。アルハイゼンがこの万年筆を愛用しているのだろうことが分かった。
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    さめしば

    DONE冬駿の未来捏造SS
    ⚠️20代後半くらい。インドで同棲してる設定
    プロカバd選手のシュンヤマダがイ○スタグラムに自撮りを投稿してみたら、年下彼氏が不機嫌になった話
    #aftertodaysworkout ——コトリ。テーブルにマグカップの着地する音が、しんとした部屋に大きく響いた。湯気を立てる中身をひとくち啜ってから、向かいに座る俺の恋人——霞冬居はついに、その重い口を開いた。
    「……で? 昼間のあれは、どういうつもりだったんです」
     ——ま、やっぱこうなるよな。予想した通りの展開を前に、俺はひとまずすっとぼけて見せることにした。いわゆる常套の手段というやつだ。
    「……んー? 『あれ』ってだけじゃ、わっかんねーなあ。何の話だ?」
     軽い調子ではぐらかしてみる。するとダイニングテーブルの向こう側で、同居人の纏う空気が急速に下がってゆくのをたしかに肌で感じた。ああこりゃまずいな、ちょっとふざけすぎちまったか。俺は内心冷や汗をかきつつマグカップに口をつけ、唇を湿らせてここからの応酬に備えた。夕食後のティータイムに冬居が今夜選んだのは、温かい緑茶だ。こっちの日本食スーパーで入手した茶葉は、値段も味もそれぞれ別の意味で「それなり」な代物である。とは言え、慣れ親しんだ香りは俺の心をふわりと落ち着かせてくれた。そうだ、別にびくつく必要なんかねえだろ、堂々としてりゃいい。
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