アルカ
teasぱんだ
TRAINING1/26🌱🏛️ワンドロ。全年齢です。
ワンドロ【ネクタイ】【運任せ】 着慣れない服というのは身につけるのに時間を要する。
ズボンにシャツの裾を入れて、ベルトを巻いた。いつも腰に巻いている布よりも細く硬い紐だ。
黒いシャツの上にネクタイを巻いてからベストに腕を通す。ボタンを留めてタイの位置を調整して、タイピンをつける場所をどの高さにしようかと悩んでいたとき、カーヴェの背後にあった扉が開かれた。
「用意は終わったか。旅人が来ている」
声と共に部屋に入ってきたアルハイゼンはいつもと変わらない服装だ。対して、カーヴェは白いスーツを身にまとっていた。
「時間よりも早く着いてしまったから急がなくていいと伝えてくれ、だそうだ」
「よかった。もう時間かと思ったよ。君がわざわざ言いに来るなんて珍しいじゃないか」
3551ズボンにシャツの裾を入れて、ベルトを巻いた。いつも腰に巻いている布よりも細く硬い紐だ。
黒いシャツの上にネクタイを巻いてからベストに腕を通す。ボタンを留めてタイの位置を調整して、タイピンをつける場所をどの高さにしようかと悩んでいたとき、カーヴェの背後にあった扉が開かれた。
「用意は終わったか。旅人が来ている」
声と共に部屋に入ってきたアルハイゼンはいつもと変わらない服装だ。対して、カーヴェは白いスーツを身にまとっていた。
「時間よりも早く着いてしまったから急がなくていいと伝えてくれ、だそうだ」
「よかった。もう時間かと思ったよ。君がわざわざ言いに来るなんて珍しいじゃないか」
teasぱんだ
TRAINING1/19🌱🏛️ワンドロ。全年齢です。ワンドロ【小動物】【ご褒美】 バイダ港に来たのは随分と久しぶりのことだった。
すっかり廃れてしまった元港町に人の行き来はほとんどない。稀にフォンテーヌからの船が身を寄せるが、他国との正式な貿易が許可されているのはオルモス港だけのため本格的な貿易港とはなり得なかった。
母がフォンテーヌに旅立ったのはここからだった。当時はまだ活気があり、今のように教令院からの規制で貿易が規制されていることもなかった。
「それも徐々に変わっていくだろう」
現書記官の言葉に、カーヴェは息を吐いた。アザールたちの計画が露見し、スメールは神が統治する国となった。クラクサナリデビ様なら、教令院が全てを把握できるようにと貿易販路を制限することはないだろう。
2159すっかり廃れてしまった元港町に人の行き来はほとんどない。稀にフォンテーヌからの船が身を寄せるが、他国との正式な貿易が許可されているのはオルモス港だけのため本格的な貿易港とはなり得なかった。
母がフォンテーヌに旅立ったのはここからだった。当時はまだ活気があり、今のように教令院からの規制で貿易が規制されていることもなかった。
「それも徐々に変わっていくだろう」
現書記官の言葉に、カーヴェは息を吐いた。アザールたちの計画が露見し、スメールは神が統治する国となった。クラクサナリデビ様なら、教令院が全てを把握できるようにと貿易販路を制限することはないだろう。
teasぱんだ
DOODLE1/12🌱🏛️ワンドロ。全年齢です。
ワンドロ【瞳】【寝言】 なんだかとても幸せな心地だ。
目が覚めて、カーヴェは知恵の殿堂で眠っていたことを理解した。机に置かれた本たちが視界に広がる。閉じられた本の上に乗っている見覚えのあるグローブに目を瞬かせた。
予想の通りそこにいたのはアルハイゼンだ。ふわふわとした夢心地の気分で、カーヴェはアルハイゼンの横顔をこっそり見る。そして彼の唇が嬉しそうに笑っているのを見て閉じていた口が開いた。
「あ、」
「起きたか」
カーヴェがいる方ではなく、本棚の方を見ていたアルハイゼンが発した声に気づいて振り返る。
「昨日も朝まで作業をしていたせいだろう。知恵の殿堂で眠るのが学生以外にもいるとは。知見が広がったよ」
「……君ねぇ。寝起きから皮肉ばかり聞かせないでくれ。知恵の殿堂に身分を登録していれば、卒業生だって使用許可があるはずだ。賢者たちもそう言ってる。妙論派の卒業生が知恵の殿堂で調べ物をしていても構わないだろう」
2592目が覚めて、カーヴェは知恵の殿堂で眠っていたことを理解した。机に置かれた本たちが視界に広がる。閉じられた本の上に乗っている見覚えのあるグローブに目を瞬かせた。
予想の通りそこにいたのはアルハイゼンだ。ふわふわとした夢心地の気分で、カーヴェはアルハイゼンの横顔をこっそり見る。そして彼の唇が嬉しそうに笑っているのを見て閉じていた口が開いた。
「あ、」
「起きたか」
カーヴェがいる方ではなく、本棚の方を見ていたアルハイゼンが発した声に気づいて振り返る。
「昨日も朝まで作業をしていたせいだろう。知恵の殿堂で眠るのが学生以外にもいるとは。知見が広がったよ」
「……君ねぇ。寝起きから皮肉ばかり聞かせないでくれ。知恵の殿堂に身分を登録していれば、卒業生だって使用許可があるはずだ。賢者たちもそう言ってる。妙論派の卒業生が知恵の殿堂で調べ物をしていても構わないだろう」
teasぱんだ
DONE1/5🌱🏛️ワンドロ。全年齢です。ワンドロ【独り占め】【アクセサリー】 カッカッカッ
板書されていく文字は古代キングデシェレト文明の文字の一つで、新しい解釈が論文で発表されたばかりだった。気難しいタイプの先生はカーヴェの苦手なタイプだ。それでもこの授業をとっている理由は、隣に座るアルハイゼンが選択しているから。
「…………」
生真面目な文字が並んでいくアルハイゼンのノートとは対照的に、カーヴェのノートには湾曲した線が増えていく。ああ、次はこのデザインもいいな。閃いて、資料が足りないと鞄を漁った。頭を下げた瞬間、さっきまで頭があった場所をチョークが通り過ぎた。
「いい加減にしろ! カーヴェ! 授業が終わったら教室に残るように!」
「えぇー?」
「……君が落書きをしていることはとっくにバレていた」
3194板書されていく文字は古代キングデシェレト文明の文字の一つで、新しい解釈が論文で発表されたばかりだった。気難しいタイプの先生はカーヴェの苦手なタイプだ。それでもこの授業をとっている理由は、隣に座るアルハイゼンが選択しているから。
「…………」
生真面目な文字が並んでいくアルハイゼンのノートとは対照的に、カーヴェのノートには湾曲した線が増えていく。ああ、次はこのデザインもいいな。閃いて、資料が足りないと鞄を漁った。頭を下げた瞬間、さっきまで頭があった場所をチョークが通り過ぎた。
「いい加減にしろ! カーヴェ! 授業が終わったら教室に残るように!」
「えぇー?」
「……君が落書きをしていることはとっくにバレていた」
teasぱんだ
MOURNINGホヨフェア女装🏛️でわーってなって書いたもの。女装は早々に解いてます。付き合ってない🌱🏛️。全年齢。
Dress 女装の指示に抗議をしたが一瞬で却下された。渡された薄い生地と煌びやかな靴にため息をつく。
女装をしなければならないから出たため息ではなかった。ここにいると思っていた男がいないことに関しての、不満のため息。
『君は……』
懐かしい記憶が脳裏をよぎって、振り払うように袖を通した。
やるからには完璧に。それが僕の心情だ。足りていない準備もあったが、最大限振る舞うことができたと思う。
差し出された腕に指先を絡め、高いヒールに上手く重心を乗せて歩き出す。
「へぇ。器用なものだな」
カツカツと音を立てながら歩く姿に、リオセスリが感心の言葉をかけた。
「昔、母の服と靴を借りたことがあってね」
「あんたならさぞかし似合ったんだろうな」
3024女装をしなければならないから出たため息ではなかった。ここにいると思っていた男がいないことに関しての、不満のため息。
『君は……』
懐かしい記憶が脳裏をよぎって、振り払うように袖を通した。
やるからには完璧に。それが僕の心情だ。足りていない準備もあったが、最大限振る舞うことができたと思う。
差し出された腕に指先を絡め、高いヒールに上手く重心を乗せて歩き出す。
「へぇ。器用なものだな」
カツカツと音を立てながら歩く姿に、リオセスリが感心の言葉をかけた。
「昔、母の服と靴を借りたことがあってね」
「あんたならさぞかし似合ったんだろうな」
takana
DONEアルカヴェSS2人+〆ラックが記念撮影する話(誕祭イベ後)
記念写真「そうだ! 写真を撮ろう、アルハイゼン!」
花神誕祭のパレードが無事に幕を下ろし、皆と別れた後――自宅のリビングでは、打ち上げ二次会と題した飲み会が開催されていた。
そこで不意に上がった提案に、アルハイゼンは手にしたワインのボトルから視線を移す。頬が赤く、とろんとした表情のカーヴェと目が合った。
どうやら2、3杯ですっかりできあがってしまったらしい。連日に及んだ計画の準備、直近の徹夜といった諸々が響いたのだろう。
「つい先ほど、その撮った写真についての話をしていたと思うが」
パレードの後の記念撮影について「いい写真が撮れた」等と楽しげに語っていたばかりである。カーヴェはこちらの指摘に、皆とはそうだけど、と前置きをして続ける。
2001花神誕祭のパレードが無事に幕を下ろし、皆と別れた後――自宅のリビングでは、打ち上げ二次会と題した飲み会が開催されていた。
そこで不意に上がった提案に、アルハイゼンは手にしたワインのボトルから視線を移す。頬が赤く、とろんとした表情のカーヴェと目が合った。
どうやら2、3杯ですっかりできあがってしまったらしい。連日に及んだ計画の準備、直近の徹夜といった諸々が響いたのだろう。
「つい先ほど、その撮った写真についての話をしていたと思うが」
パレードの後の記念撮影について「いい写真が撮れた」等と楽しげに語っていたばかりである。カーヴェはこちらの指摘に、皆とはそうだけど、と前置きをして続ける。
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PROGRESS12/1 DR2024にて頒布予定の新刊サンプルです。A5/44p/全年齢/¥500 予定。
アルカヴェ2人の初恋の話。捏造モリモリです。大体少女漫画だと思って読んでください。 8
teasぱんだ
MOURNING10/20🌱🏛️ワンドロ注意:全年齢ですがキスマークをつけるシーンがあります
ワンドロ【髪型】【衣替え】 正直に言って、グッときた。
「……視線がうるさいんだが」
見つめていたのはバレていたらしい。視線を逸らして見ていませんというポーズを取り繕ったところで、この男を誤魔化せるはずもなかった。
「気のせいじゃないか?」
「まさか。俺に気づかれたくなかったのなら、もう二歩、右にずれるといい。そうすれば俺の視界の隅に君が映らない。その代わり、鏡に君の姿が映ることになるだけだが」
「それじゃあ意味ないだろう」
後ろ手に組んでいた指先を擦り合わせる。カーヴェが身に纏っているのは着慣れた白いシャツと、黒色のズボンだ。対してドレッサーの前に座らされているアルハイゼンは、黒が基調の縦ストライプが施された背広を纏っていた。
4869「……視線がうるさいんだが」
見つめていたのはバレていたらしい。視線を逸らして見ていませんというポーズを取り繕ったところで、この男を誤魔化せるはずもなかった。
「気のせいじゃないか?」
「まさか。俺に気づかれたくなかったのなら、もう二歩、右にずれるといい。そうすれば俺の視界の隅に君が映らない。その代わり、鏡に君の姿が映ることになるだけだが」
「それじゃあ意味ないだろう」
後ろ手に組んでいた指先を擦り合わせる。カーヴェが身に纏っているのは着慣れた白いシャツと、黒色のズボンだ。対してドレッサーの前に座らされているアルハイゼンは、黒が基調の縦ストライプが施された背広を纏っていた。