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    アンソロジー

    🥗/swr

    DONE2020/09/20 過去作投稿
    アンソロジー寄稿作品
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    神に会いに行ったマルベーニの独白と、本編最終話でこれまでのことに考えを巡らすメツの話。
    ※規約の再録制限期間終了のため掲載。
    在処「——貴方が、この世界の神なのですか」

    ◆◆◆

    鋼色の瞳を持ったブレイド——メツは、無機質で広い通路を悠々と歩いていた。通路にはびっしりと僕が並んでいる。赤く頑強そうな人型の機械達は沈黙したままで、メツがその先へ進んでゆくことを許した。……いや、実際には違った。彼らがメツを許したのではない、メツが彼らを黙らせていたのだ。つい先程通り抜けてきた、酷く暗い広間。そこで得た権能を用いて壁に格納されている僕——タイタン達を沈黙させた彼は、通路奥の扉を抜けて昇降機の上に立った。
    手で触れて操作せずとも、それらは想像するだけで思いのままに作動した。気の遠くなるほどに遥か昔に建造されたとは思えぬほど、昇降機は淀みなく動いた。そして目的地に到着し、昇降機が停止するのにさほど時間はかからなかった。ぴたりと止まった昇降機の床から一歩踏み出す。彼の眼前にはまたしても扉があった。だがこれで最後だと、開く前から分かっていた。自らここに来たのは初めてで、この先の光景は決して見たことがないはずなのに。同じ根を持つ者の奥底にしまい込まれていた景色がまさにこの先にあると、彼は確信できていた。
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