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    ガイナ

    aaaaa_oshi

    DONE毎日記憶がリセットされても尚、私の事を忘れないでいてくれた彼女を、お揃いのキーホルダーの鈴が消し去った。まるで海へと沈めるかのように。

    さようなら、さようなら。

    行かないでと嘆くことは貴女の為にはならないと思ったから、声には出さないことにした。

    ※この小説には特殊表現が含まれます。
    ※幸せな🗾🔕がいない。
    ※何か問題があれば削除致します。
    感想等貰えたら嬉しいです🙏
    初めましてをもう一度。何も知らない私を彼女が抱きしめた。もう少しでもう一人を犠牲者にしようとしていた踏み切りには、既に電車が線路沿いに勢いよく通っていた。

    夏がそろそろ終わる。そんな呑気な事を考えれてしまうほどには、私は生きることに執着はしていなかった。
    こうして抱きしめてもらっても尚、記憶は溢れていくのに。こうして彼女の体温を、声を貰っても尚、それは溢れ落ちていくのに。

    分からなかった。彼処からどう打開したらいいか。まず「死ぬ」ということまで考えられなかったから。
    あのまま放置していたら私は消えていた。この夏から、消えていた。そこを彼女は私の為に命を懸けた。
    どうしてだろう。分からない。涙すら出ないのだ、憶えていないから。

    ────恋人だから?
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    ehara5

    DONE風降と二十四節気を書きたいという野望(その4)
    降谷さんがいない日の話。
    003_啓蟄(3月5日頃) 通勤ラッシュを過ぎた頃に、風見は家を出た。向かうのは上司の自宅だ。今日は非番だったが、三日ほど家を空ける上司に、飼い犬の世話を頼まれていた。名前はハロという。餌の補充と、健康チェック、余裕があれば散歩に連れていく。ついでに、ベランダ菜園の水やりも依頼されていた。
     風見の自宅から降谷の住む町までは数駅だ。最寄り駅からコンビニに寄り道をして、ハロの好きなおやつを購入する。コンビニを出ると十分程度で三階建てのアパートに着いた。
     そこそこの頻度で訪れる自分を、周囲の住民はどう思っているのだろうと風見は思う。独身男性の部屋に、頻繁に出入りする男がいるのはあまり自然ではない。ゆえに風見は人目の少ない深夜に出入りした方がいいのではと提案したこともあった。しかし、人目を忍ぶように来訪する方がよっぽど怪しいと降谷に言われてからは、堂々と昼間に出入りするようにしている。そのためか、風見がアパートの住民に声を掛けられたことはない。昔の助手に飼い犬の世話を頼んでいるとか、ペットシッターを利用しているとか、降谷が当たり障りのない理由をつけているのもあるだろう。
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