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    クロード

    むつき

    DONE頭痛でダウンしているクロードを見舞うサモナーくん +見守るスノウさん
    頭痛持ち 豪奢な装飾が施されたドアへと手を伸ばす。けれどノックするより先に、ドアは内側から開かれた。
    「ようこそおいでくださいました」
     囁くようにして歓迎の言葉をかけてくれたスノウさんは、自分の顔を見つめて目元を和らげてみせた。
     地上一階、建物を入ってすぐのところでガルムに会った。こうして自分が執務室に辿り着くより先に、きっとガルムは忠犬らしくスノウに報告に行ったのだろう。それにこんな立派な施設なのだ。防犯カメラのひとつやふたつ、そしてそのモニターくらい、この執務室のどこかには据え付けてあるに違いない。
    「クロードと約束してたわけじゃないんだけど。ちょうど近くに来る用事があったから、挨拶でもと思って」
     言いながら、でも今日はクロードに会えないだろうと思った。いつものスノウさんなら、うやうやしい一礼と共にすぐに部屋の中へと案内してくれるはずだ。けれどいま自分の目の前に立っているスノウさんは場所を譲ってくれそうには見えなかった。険しい雰囲気というわけじゃない。あくまでも和やかに、そしてきっと何かクロードのための訳があって、彼はそこを塞いでいるんだろうと思った。
    2007

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    MAIKING@karaka_mayoさんのイラストを拝見して思いついた話です。2_16

    クロードがフォドラに来なかったifもの
    2. 結果として祖母の思惑に乗ってしまったカリードだが最後の一線は越えなかった。どこかに冷静な部分はまだ残っていて、だからローレンツの不運をそこで終わりにしてやれたのかもしれない。あれならまだ戯れで済ませられる。
     ローレンツは今、カリードの目の前で身支度を整えている。先程己が汚した彼の白い身体は見れば見るほどサーキの理想からは程遠い。そしてこちらで苦海に身を落とす前はどんな格好をしていたのか分からないが少なくとも奴隷商人が彼に与えた服は何だか似合っていなかった。

    「何か持たされたか?」
    「今身につけている物以外は何も」

     フォドラ語で話しかけてやるとローレンツもフォドラ語で答えた。奴隷は給金を支払われるが主人の許可なしに物品を所有することが許されていない。身体一つ以外は全てが仮初めに過ぎないので給金を払っていたとしても食事も服も小物も主人が用意してやる必要がある。そして奴隷商人の中には買い上げた側の手間を省くため販売価格に着替えや小物の代金を上乗せして予め用意する者もいるがローレンツを扱っていた商人はそうではなかったようだ。
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