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    ジュリ

    鳥渡みき

    DONEお友だちのたまごさんが、私の誕生日によせて書いてくれたカルジュリSSS。
    私の創作するカルジュリちゃんが夫婦になってる大人ロッソの世界線をベースに書いてくれた作品。
    お話も大好きだし、めちゃくちゃ感激して嬉しかったので、掲載許可いただきました。
    ありがとう、たまご先生。
    ※そして1つ前の私のSSS『雨の街を』は、この作品のオマージュです🙂
    大人カルジュリさんが夫婦になってる世界線のSSS


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    レジスターにいる私に、黒髪のつややかな彼女はいつもクロワッサンを2つ、差し出す。
    トレイに並んだクロワッサンは、うちの自慢の一品だ。
    焼きたてなので、トングでつかむとカシュ…と音を立てる。
    優しく扱わないと崩れてしまうので慎重に掴み、持ち帰り用の袋にそっとしまう。

    彼女からお金を受け取り、おつりを返す。
    爪の先まできれいに整えられている彼女を見ると、暮らしを丁寧に営んでいる様子が浮かぶ。
    まるで鈴が転がるような、かわいらしい口調で礼を言って、扉を開け、外へと向かう。

    「いつもありがとう」と私も声を掛ける。
    その声に窓から手を振りながら笑顔を向けてくれる彼女。

    どこにでもいる客のようで、その笑顔に一瞬で魅せられた。
    1か月くらい前からうちの店をひいきにしてくれる彼女は私の特別だった。

    ある日のことだ。

    彼女が店に入ってきたときから、何となくいつもと違うな、と感じた。
    身なりがどうとか、顔つきがどうとか、そういうことではない。
    「いらっしゃい」と声を掛けると笑顔を見せて 947

    百合菜

    DONEアンジェリーク・ジュリリモ
    「ふたりで掴む未来」

    女王候補生のアンジェリークが日々訪れるのは首座の守護聖・ジュリアス様の執務室。
    次第に距離を縮めるふたりだが、ふたりには乗り越えるべき問題がいくつかあり……

    2020年ジュリアス様誕生日創作。

    ※再録です
    「アンジェリーク、今日もジュリアス様のところに行かれるの?」

    飛空都市にきて早くも五十日以上のときが流れていた。
    自室から守護聖たちのいる館に向かうべく歩いていたアンジェリークに話しかけてきたのは同じ女王候補のロザリア。

    「あんたも物好きよね。あのジュリアス様のところに毎日通うなんて」

    あきれ果てたように話すロザリアを見てアンジェリークは気がつく。
    女王試験がはじまった頃は苦手で、話しかけるのはこわいとすら感じていたジュリアス様。それがいつしか毎日会いにいき、ときには私的なことを話すようになった。そして、その時間が自分にとって女王試験の間の大切なひとときになっていることも。
    そんな自分に気がつきつつも、心の中でひとつの疑問が生じる。

    「ロザリアの方がジュリアス様とお似合いの感じがするのに……」

    いわゆる「普通の家庭」で生まれ育った自分とは違い、ロザリアは貴族のお嬢様。
    立ち振舞いも教養も逆立ちしても勝てっこない。だからこそ、ジュリアス様の隣に立ってふさわしいのは自分ではなくロザリアだと思っている。
    それは女王としても、私的な関係としても。
    しかし、ロザリアはジュリアスに関心が 6839

    百合菜

    DONEアンジェリーク・ジュリリモ
    「抑えていた想いは宇宙の危機を招き」

    ジュリアスのもとに入ってきた報告、それは「女王陛下が倒れた」というものだった。
    女王候補生時代、互いに好意を持っている自覚はあった。そして、お互い、宇宙を優先するがゆえ、その想いは殺した。
    しかし、それがあだとなり!?

    ※再録です


    「陛下の様子はどうだ」

    ドアを開けると同時に光の守護聖・ジュリアスはベッドの横にいるロザリアに尋ねる。

    「特に異常はありませんわ」
    「そうか」

    そう言いながらジュリアスはベッドに視線を向ける。
    ベッドには女王であるアンジェリークが瞼を閉じて眠りについている。
    ジュリアスがその知らせを受けたのは3日前のことであった。
    いつものように執務室でオスカーと打ち合わせをしていると、慌てた様子で使いのものがやってきた。

    「光の守護聖・ジュリアス様、大変です。陛下のご様子が!!」

    聞くところによると、執務の最中にアンジェリークは意識を失ったらしい。
    急遽、医者の診察を受けたが、特に異常は見当たらないとのこと。
    「もしかすると、何かを拒絶している可能性もないでしょうか」
    医者のその言葉が気になりつつも、特に大きく容態が変化することもなく、3日が過ぎていった。
    いつも見せる碧の瞳。
    それが瞼の下に隠されていることにジュリアスは心当たりがある。
    だからこそ、この状況が歯がゆい。

    「ロザリア、そなたも看病に疲れているであろう。ここは私が見ているから、少し休むといい」
    「よろしいのですか?」 7657