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    ダニー

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    MEMOダニーさんがハニーレモンカップケーキを焼くお話
    ハニーレモンカップケーキアイツがいたら今なんと言っただろう。どんなことをしただろう。
    そんな風に思うことはほぼない。日常は淡々と過ぎていく。自分でも驚くことに。ハワイを去るアイツに求められたハグに応えたあの時にはこれから始まる日々に耐えることの痛みを想像していたのに。
    あぁ、なんだ。意外と平気だったじゃないか。と思った矢先、思いもよらないところにアイツの影を見る。例えば本当はもう少し少ない量を焼くつもりだったカップケーキのバターの量を多く計り間違った時なんかに。
    バターが50グラムなら砂糖も50グラムにしないと。柔らかくしたバターをホイッパーでふんわりするまで混ぜたところに砂糖を2回に分けて入れて、その都度混ぜる。ひとつまみ加える塩は美味しくなるおまじない。卵一個を解きほぐしてバターの中に少しずつ混ぜていく。一気に入れずにゆっくりゆっくり。小麦粉は80グラム。そこにベーキングパウダーを3グラム混ぜておく。バターのボウルに振るい入れたらゴムバラに持ち替えてさっくりと混ぜる。まだ粉っぽさが残っているうちに切っておいたレモンの蜂蜜漬けを入れて今度は粉っぽさがなくなるまで混ぜる。室温に戻して置いたミルクを30グラムとバニラオイルを2、3滴入れて生地にツヤが出るまで混ぜたら後は型に入れて焼くだけ。
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    かいこう

    TRAININGままならない/ダニーとスティーヴ
    ままならない※s10のドリスの回を見て…勢い任せなのでいろいろあれです


    「おやすみ」
    「ああ、おやすみ」
     部屋の電気が消され、ダニーは靴を脱いだ足をソファに上げた。長いフライトの後だったので伸び伸びと手足を伸ばしたかったが、ソファの座面はそこまで大きくない。自分の身長でも膝を曲げなけりゃならないなんて、とダニーはわざと嘲笑めいたことを思った。思いどおりにはならない。辿り着いたホテルのこの部屋で、差し出されたビールを手に向かい合ったスティーヴの言葉がずっと頭の中に響いていた。暗闇の中でスティーヴが横たわっているベッドに目を凝らす。人生なんてそんなもんだ。今日までのことで思いどおりになったことと、ならなかったことを振り分ければ、断然後の方が多い。そもそも、ハワイに来るつもりなんてなかった。ファイブ・オーに入るつもりも、こんなにも長く暮らすつもりも、排他的なところがあって海が嫌いな自分が故郷だ家族だと愛するつもりも…ソファの上でダニーは身じろぐ。スティーヴのベッドからは何も音が聞こえてこなかった。思いどおりにならない。そうだ、こんなに愛するつもりじゃなかった。ダニーはシャワーを済ませた後の下着姿の自分が、今からスティーヴのベッドにもぐり込む姿を想像してみる。あるいはスティーヴから呼ばれるのだ。悲しみでかすれた声で、こっちに来てくれと。からだがじんわりと熱くなってきた。今いるソファから、スティーヴのベッドへと移動することが、ダニーにとっての思いどおり。だがダニーはこの気持ちをスティーヴに打ち明けるつもりはなかった。だからこの瞬間もまた、思いどおり…例え何やかんやあってそういう仲になっていたとしても、うまく心を癒せるとは限らない。いくらからだが近くても、心の距離もそうだとは限らないのだ。レイチェルとぎすぎすしていた頃が脳裏に浮かぶ。そんな痛みをスティーヴと味わうぐらいなら今の関係のままでよかった。そう、人生は思いどおりになっている。あるいは初めは激しかった恋の熱も、そばにいる時間が長くなるにつれ、どんどんと凪いでいった。今はもう、自分以外の人間と親密になっても胸は苦しくならない。どうかいい人生を送ってくれと願うばかりに、ここ何年かはいい相手をつくれとけしかけもした。どうかいい選択をしてくれ…ああ、でも…人生は思いどおりにはならない…思うに任せられない。自分の、あるいは子どもたちの、
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    わかめごはん

    DONEお題「お前に言ってなかったことがある」
    中の人のイメージから、勝手に歌が上手なダニーさんのお話。
    金曜の夜、二人の酔いも深まったマクギャレット邸で、なんとなく見ていた退屈なアクション映画は、エンドテロップが流れるばかりになっていた。カウチに沈んだダニーは、自分の隣に陣取るスティーヴを見る。その腕はカウチの背もたれの上に伸ばされていて、ダニーの肩には落ちてきていない。
    「なぁ」
    「ん? そろそろ寝るか? 泊まるだろ」
    カウチに寝るダニーのためにブランケットを取ろうと、立ち上がったスティーヴの手をダニーが掴んだ。
    「ギター」
    「なに?」
    「俺がやったギター。持ってこいよ。演奏会しよう」
    「え……今から?」
    「あぁ。嫌とは言わせないぞ、俺がやったんだからな。弾いてるか? あれ」
    「あ、いや……うん。実は、たまに」
    「一人で?」
    「だって、聞かせるやつもいないし」
    「ここにいるだろ。早く持ってこい」
    スティーヴはわずかに逡巡しながらも、二階の自室からギターケースを持って降りてきた。
    テーブルに置いて、観念したように勢いよく蓋を開ける。手にすると、わずかなチューニングで良い音が鳴った。まめに弾いているようだ。
    「何が弾ける?」
    「メジャーな曲なら。コード鳴らすだけでよければ」
    「そうだな。… 1168

    視力検査のC

    MAIKINGそれだから君は厄介さ(未完)①

    ややこしい設定ですが、n巡後の1部舞台でダニーの死から1年後ぐらいで、エリナさんとはまだ会っていません。
    ディオ君の悪意に鈍感なジョナさんと、ジョナさんの心の隙間に付け込みたいディオ君の話。
    友情寄り?でお互いに本心を測りかねてぎくしゃくしている……みたいな関係です。
    ややこしい設定ですが、n巡後の1部舞台でダニーの死から1年後ぐらいで、エリナさんとはまだ会っていません。
    ディオ君の悪意に鈍感なジョナさんと、ジョナさんの心の隙間に付け込みたいディオ君の話。
    友情寄り?でお互いに本心を測りかねてぎくしゃくしている……みたいな関係です。

    それだから君は厄介さ



    a.夕焼けの赤い色は

     ジョースター邸を北に1マイルほど進んだところに、背の低いシダの草が群生する丘陵地があった。
     緑の海が、地平の果てにまで広がっていた。
     そこに黒の頭髪と金の頭髪がふたりぼっちで浮かんでいる。ふたつの頭は夕陽の光に照らされながら、背の低い草原の中を粛々と歩んでいた。
     辺りは草の匂いに満ちて、しっとりとぬれた爽やかな匂いが鼻腔をやわらかく擽(くすぐ)っている。
     にわかに風がごうと吹き、遅れて土ぼこりが髪に絡み付いた。突然の不快感に黒髪の彼は頭を振って思わず空を見上げてしまう。じわりと照りつける陽射しは、いつの間にか鬱々と立ちこめる雲に遮られていた。空は明らかに雨の兆候を示していた。

     ジョナサンとディオは屋敷を離れて丘の上を散策していた。
     暮れ時の冷えた風を体 9822