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    デザイナー

    Ordet_er_frit_

    DONE[准牧] まぷまオンリー第3回のワンドロ企画のお題「〇〇しないと出られない部屋」の短編。
    題して「協力しないと出られない部屋」。
    史上最高に健全な出られない部屋ができました。
    デザイナーマンデル君と、モデルプレストンでおおくりします。
    協力しないと出られない部屋「喜べ、プレストン」
     その声にプレストンはめんどくさそうに振り向いた。マンデルが笑みを浮かべて立っている。
    「例の部屋がとれたぞ」
    「ほんとうか?」プレストンも思わず目を丸くした。

     ファッションウィーク中は、文字通り目が回るほど忙しい。
     ショーの前日の準備を終えたマンデルとプレストンは、足を引きずるようにホテルの部屋へ転がり込んだ。
     街でもトップクラスの高級ホテルのスイート。それに相応しい地位を築いたことへの誇らしさを感じる余裕すらないほどだ。だが、荷物を置いて一息ついたプレストンは部屋を見回して溜息をついた。
    「すごいな」
     ドアを開ければ、少しばかり廊下などがあってから、広々としたリビングが二人を迎える。テーブルには、花が生けられた大きな花瓶。床には現代彫刻のようなオブジェ、洒落たランプ。部屋を横切ってドアを開けると、これまた広々としたベッドルームと、五人くらいは寝られそうなサイズのベッド。ふわりと清潔感のある香りが漂う。ベッドルームを横切るとバスルームの白い扉。その中もこれまた広々としていて、蛇口とボウルは二セットだ。さらにバスルームとは別にシャワーブースもある。奥の扉を開けるともう一つベッドルーム。今日のベッドは別々だろうか、という疑問がプレストンの胸によぎる。
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    Sayu_2l

    DOODLE問:男は建築デザイナーである。依頼人との打ち合わせの際、昼食のカレーを頂くことになった。しかし彼はそれを食べるやいなや、慌てて家に帰った。何故彼は家に帰ったのだろうか?
    バレンタインカヴェアル この家にはカレーの味が二つある。
     スメールにおけるカレーとは家庭料理の代名詞と言っても過言ではない。匂いを嗅げばどこの家のカレーかわかる、と言うくらいだ。どこの家庭にもその家の味というものがある。その中でこの、アルハイゼンとカーヴェが暮らす家には二つの味がある。
     一つ目はそれぞれを形成するに至った二つの味を上手く調和させた味である。アルハイゼンの祖母が教えたカレー、カーヴェの母が教えたカレー、その二つが混ざったものが普段、二人が作る味である。基本的にこの家で作られるカレーはこちらだ。
     もう一つはふと忘れた頃に出てくる、年に一度くらいの間隔で出てくる知らない味である。ベースは二人で作ったカレーなのだが、謎の隠し味が仕込まれているのだ。それを作るのはアルハイゼンである。カーヴェはその隠し味が何なのか、何故突然そちらの味を作るのか全く知り得ない。ただアルハイゼンという男は案外気まぐれな男である。そういうこともあるか、と出てくる度に受け流していた。
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