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    Sayu_2l

    @Sayu_2l

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    Sayu_2l

    DOODLE問:男は建築デザイナーである。依頼人との打ち合わせの際、昼食のカレーを頂くことになった。しかし彼はそれを食べるやいなや、慌てて家に帰った。何故彼は家に帰ったのだろうか?
    バレンタインカヴェアル この家にはカレーの味が二つある。
     スメールにおけるカレーとは家庭料理の代名詞と言っても過言ではない。匂いを嗅げばどこの家のカレーかわかる、と言うくらいだ。どこの家庭にもその家の味というものがある。その中でこの、アルハイゼンとカーヴェが暮らす家には二つの味がある。
     一つ目はそれぞれを形成するに至った二つの味を上手く調和させた味である。アルハイゼンの祖母が教えたカレー、カーヴェの母が教えたカレー、その二つが混ざったものが普段、二人が作る味である。基本的にこの家で作られるカレーはこちらだ。
     もう一つはふと忘れた頃に出てくる、年に一度くらいの間隔で出てくる知らない味である。ベースは二人で作ったカレーなのだが、謎の隠し味が仕込まれているのだ。それを作るのはアルハイゼンである。カーヴェはその隠し味が何なのか、何故突然そちらの味を作るのか全く知り得ない。ただアルハイゼンという男は案外気まぐれな男である。そういうこともあるか、と出てくる度に受け流していた。
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    DOODLE自信が無ーヴェ
    「アルハイゼンのこともっと知りたいから、色々と聞いてもいい?」
     おいおい君はどこのナンパ師だ、アルハイゼンを口説くんじゃない。隅の方で息を潜めているカーヴェは、つい漏れ出そうになったツッコミを酒で押し流した。

     カーヴェという男には公然の秘密が多い。彼自身はバレていないと思っているが周りにはよく知られている、そんな秘密の体を成していないものが多くあった。その内の一つがアルハイゼンとのルームシェアである。何度もカーヴェ自身「僕はアルハイゼンのルームメイトだ!」と言ってアルハイゼンが注文した品を受け取っているので、もはや周囲は彼が秘密にしたがっていると知らないかもしれない。それでも彼に同居について触れる者がいないのは、何故彼らが暮らしを共にしているのかが全くわからないからだ。公然の秘密が多い男ではあるが、破産中の身の上という大変な事実だけはきちんと隠し通せている。それ故に何故アルハイゼンと同居しているのか、彼を慕う後輩や彼と喧嘩しない友人がいないだろうに何故あのアルハイゼンと家を共有しているのか、ブラックボックスと化しているのである。そこで下手につついて蛇を出すわけにはいかないと皆触れようとしない。それ故にカーヴェは同居の事実を隠し通せていると勘違いするのであった。
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    DOODLEDEAD OR KISS(ピュアハイゼン添え)
     不意にキスを阻まれた。思いきり、大きな手のひらで口付けをキャンセルされてしまった。明らかな拒否のポーズに、カーヴェはつい硬直してしまう。今、何があった。アルハイゼンにキスを拒まれた。えっ、なんで。いい流れだったという自負のあるカーヴェは真正面から困惑していた。それ故にアルハイゼンの手のひらに口付けたまま、数秒間間抜けな彫刻になってしまっていた。
    「…………えー、あー……アルハイゼン?」
     名前を呼びかけてみても手は離れない。仕方なしにアルハイゼンの手をぺいっと払い除け、カーヴェは彼の顔を覗き込んだ。
    「……嫌だった?」
     カーヴェは自身のスキンシップ、愛撫がややしつこい自覚があった。それは彼の性格もあるし、アルハイゼンのせいでもある。アルハイゼンがなかなか反応を見せようとせず我慢するから、カーヴェはついやりすぎてしまうのだ。あと単純に触れ合うのが好きというところもある。それ故に一度閨を共にするとアルハイゼンの白い肌には赤い痕が点々と散らばることになるのだが、これまで文句を言われたことは(きちんと服で隠れる範囲に収めているからか)ない。文句を言わないということは許されている、受け入れられているということ。そう考え調子に乗ってきたのだが、まさか。カーヴェは僅かに眉尻を下げ、相変わらずの無愛想を見下ろした。
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