救いのないバットエンドキャプション問題ない方のみどうぞ









　燈矢は、壊れてしまった。

　原因は分からない。父親に見放された事か、それとも、薬の使い過ぎによる、脳の損傷か。あるいは……いや、何を言っても今更だ。
　壊れた燈矢は何もかも忘れてしまって、稚児のように振る舞い、ある日突然青いものが嫌だと、鏡を叩き割って、自身の目玉を潰した。あまりにも衝動的な行為で羽でその蛮行を止めきれず、あの目はキレイだったから勿体無いと少し惜しむ。でも、見えなくなった燈矢は俺に頼るしかなくて、啓悟、啓悟と縋りついてくる姿が可愛かったからこれでもいいかと、そう、思っていた。



「は、っぐ……ぅ、とう、や……」

　最終決戦とも言える戦いで、こんな絶望的な状況でも執拗く抵抗を続けるヒーロー共に手酷くやられ、血塗れの体をひきずって、燈矢のいる家までなんとかたどり着いた。どっちが勝ったのかなんて、もはやどうでもいい。ただ、燈矢に会いたい。

TRIGGER「待ちなさい！」

女の走る足音を、追いかける。
扉を蹴り飛ばし、荒々しく部屋に入った名塚巡は、埃が舞う中、息を切らしながら拳銃の照準をターゲットの体に合わせる。
ターゲットの女は、鮮やかな青いドレスを着ていた。
美しいブロンドがフリルのように肩で踊っている。
巡に追い詰められた。というのに、女は笑っていた。
その視線には憐憫が含まれており、巡は自然と眉間にシワを寄せる。
今日の相棒であった男は、二手に分かれた為に此処にはいない。
自分が彼女を捕まえねば。
男の犬のような使命感で、巡はトリガーに掛けた指に力を込めた。

パァンッと、銃声が響いた。

確かに肩を撃ち抜いた筈だった。しかし、そこに女はいない。
背中に冷や汗が伝う。

ブルース・ウェインとお酒の話　芳醇な琥珀色の液体が優しい音を立ててガラスの器へと落ちてゆく。
　二つの杯が満たされると、アルフレッドは片方をブルースに渡した。
「スーパーマンに」
　ブルースが小さく杯を掲げる。
「英雄に」
　アルフレッドも杯を掲げ、スコッチを喉に流し込んだ。豊かな香りとアルコールの熱が鼻腔に広がり胸を満たしてゆく。
　今日、戦いの果てに斃れた英雄はカンザスの小さな町で葬列に送られて永遠の眠りについた。
　アルフレッドはスピーカー越しに聞いた誠実そうな声を惜しんだ。もし彼が生き延びていたなら、ブルースに大きな影響を与えたかもしれないのに。たぶん、それは概ね良い影響だったに違いない。
　いや、スーパーマンと出会っただけでも、ブルースは変わったと長年仕えてきた執事は認めていた。

暗　殺　者　バットエンド　終n日目
アキが帰ってこない…
オレはこの部屋からは出られられない。
だってここから出たらオレの首が吹き飛ぶからだ。

n日目＋1
アキが帰って来ない
アキが心配だ、でもオレが生きているってことは
アキも生きているのだろう。大丈夫

n日目＋2
久しぶりにテレビをつけた
「〇〇暴力団を制圧しました。組員のうち5名死亡、一名現在行方不明…」
何がおきていているのだろう

n日目＋3
そろそろ食糧が尽きそうだ。
アキどうしたんだろう…心配でしょうがない

n日目＋n
急にドタバタと階段を駆け上がる音を聞こえる
「新開さん！！！」
大きくオレの名前を呼ぶ声…アキ…ではない
「いず…みだ…」
筋肉質の泉田がゴミの山をかき分け、オレに駆け寄り、抱き抱える

暗殺者　バットエンド彼は「アキ」というらしい。
俺を監視する人物。
今日一日はオレの様子を伺っていた。
オレは逆にアキを見つめている。

「オメェ、なんもリアクションしねぇのかよ」
「何って、何もする事ないし」
「あっそ」

アキは諦めたのか、テレビをつけだした
『▲▲会社の…新開隼人の死亡が確認され…』

オレ死んだのか。
「そういう事だからァ。オメェの仲間のお迎えも絶望的ってことだ」
隣に座っていたアキが口角をあげニヤリと笑った。


1日目
アキがハンバーガーをオレに投げつけた。
どうやらご飯らしい。
「食べていいのかい」
「餌が死んだら意味ねェからよ」
ご飯は用意してくれるらしい。
飢死はせずにすみそうだ。
今日もアキを観察する。ふっとした横顔が美人に見えた。