マヨ
nlak_kk
TRAINING巽→←マヨ無人駅で海を眺める話。
(恋をしている) 「海を見に行きませんか」
巽の唐突な誘いにマヨイは一言目を失った。首をかじける姿に慌てて承諾の言葉を返せば、巽は安堵の色を浮かべてマヨイの手のひらに体温を重ねる。
何故あなたはすぐに私に触れるのでしょうか。視線を揺らしながらも、問いかけるために唇を震わせようともしなかった。視線を落とせば、巽の手のひらは未だに両手を温かく包み込んでいる。それじっと見つめていれば、どことなく額がむず痒い心地になる。
「あのぉ、逃げませんので……ですから、そろそろ手を離していただけませんか? 」
もはや口癖のような謝罪の言葉ののち、一度力を込められた手のひらはようやくその体温を離す。指先までもじんわりと温めたそれは、己が離されることを望んだはずなのに、自らの意思であの感触を忘れまいと掴み返しているようだ。そんなはずはない。頭を振る。わずかな振動で三つ編みから後れ毛が逃げ出せば、その毛先すらも彼はとらえた。指先ですっと撫でつけ、元いた毛束へと戻してやる。一瞬うなじに指の腹が触れると、マヨイは思わず顔を上げた。
5435巽の唐突な誘いにマヨイは一言目を失った。首をかじける姿に慌てて承諾の言葉を返せば、巽は安堵の色を浮かべてマヨイの手のひらに体温を重ねる。
何故あなたはすぐに私に触れるのでしょうか。視線を揺らしながらも、問いかけるために唇を震わせようともしなかった。視線を落とせば、巽の手のひらは未だに両手を温かく包み込んでいる。それじっと見つめていれば、どことなく額がむず痒い心地になる。
「あのぉ、逃げませんので……ですから、そろそろ手を離していただけませんか? 」
もはや口癖のような謝罪の言葉ののち、一度力を込められた手のひらはようやくその体温を離す。指先までもじんわりと温めたそれは、己が離されることを望んだはずなのに、自らの意思であの感触を忘れまいと掴み返しているようだ。そんなはずはない。頭を振る。わずかな振動で三つ編みから後れ毛が逃げ出せば、その毛先すらも彼はとらえた。指先ですっと撫でつけ、元いた毛束へと戻してやる。一瞬うなじに指の腹が触れると、マヨイは思わず顔を上げた。
ぽいノ介
DOODLETwitterアイコンにいる生き物を擬人化背中にはつまようじ・脚半はたこ焼きの船・手甲は紅しょうが・帯はマヨ・草履の紐は青のり・ももひきはタコ
2枚目は最初にメモ描きした原案みたいな? 2
hirata_cya
DOODLEビマヨダ。百人一人でぜんぶ倒していたのだとすると、正常な神経してたらいちいち誰が誰って個性で認識してた場合途中で発狂しそうなので、自己防衛で誰が誰だかわからなくなってそうだなという話。こんな話でワンドロに初参加で本当に申し訳ない。反省はしている。手とか足とか千切る描写があります。 2191
ちよど
DONE第26回ビマヨダワンドロに参加させていただきました。お題は「最後」。遅刻してすみません!!
ヨダナさんに白い花を贈られたビマさんの話。
ビマさん「──おまえはそのどれで俺を殺したいんだ?」
「…その全部だ。」 ──これで最後だから教えてやろう。
この花を見て俺は幼い日に聞いたあいつの言葉を思い出したのだ。
毒を飲まされ意識が朦朧とした中で聞いた言葉を俺はずっと幻だと思っていた。カルデアに来るまでは。
「とっとと用件を話して帰れ」
そう吐き捨てるドゥリーヨダナの部屋は豪華な調度品で溢れている。カルナとアシュヴァッターマンを下がらせ、ソファでくつろいでいるドゥリーヨダナを俺は見下ろしていた。
「姫君は憎いから、音楽家は運命だから、戦乙女は英雄だから。──お前はなんで俺を殺そうとするんだ?」
「…そんなもの。おまえが邪魔だからに決まっている」
うそぶいたドゥリーヨダナに俺は匿名で贈られてきた白い花を突きつけた。
1053この花を見て俺は幼い日に聞いたあいつの言葉を思い出したのだ。
毒を飲まされ意識が朦朧とした中で聞いた言葉を俺はずっと幻だと思っていた。カルデアに来るまでは。
「とっとと用件を話して帰れ」
そう吐き捨てるドゥリーヨダナの部屋は豪華な調度品で溢れている。カルナとアシュヴァッターマンを下がらせ、ソファでくつろいでいるドゥリーヨダナを俺は見下ろしていた。
「姫君は憎いから、音楽家は運命だから、戦乙女は英雄だから。──お前はなんで俺を殺そうとするんだ?」
「…そんなもの。おまえが邪魔だからに決まっている」
うそぶいたドゥリーヨダナに俺は匿名で贈られてきた白い花を突きつけた。
bnnbks_nachi
DONE2024/6発行「踊るような日々」の後日談ですウェブボで手紙の塗りつぶし部分が知りたいとメッセージ頂いたので、載せるついでに書きました
二人に擬似家族が出来ているのとシリアスでビマヨダしていないので、手紙だけ見たい方は最後の2枚をご覧ください。 8
mobukuso
DONE最終的に巽マヨに帰結する俺マヨ鬱SSです。俺くんがDVモラハラ男でマヨイがひたすらかわいそう。誰も幸せになりません。鬱勃起できる人しか読まないでください。あいつのせい晩夏の夕日を背にして、茜色に染まるアパートの一室を俺は眺めていた。正面に見える狭い台所には、夕日の明かりに照らされてぬっと伸びる、黒い、1人分の人型。視線を落とすとダイニングテーブルの上には、俺のために用意された食事と、あいつの汚い字で書かれた1枚の紙切れが置いてあった。
「今までありがとうございました。さようなら。」
━
追想
ゾッとするほど真っ直ぐな目で見つめられたあの日から、俺はあいつから妙な距離感を覚えるようになっていた。明らかに返事が素っ気ない。「風呂」と言えば、これまでなら遠慮がちに笑って「準備できてますよぉ」と言っていたのに、最近はこちらを見もせず「いつでも入れますよ」などと生意気な返事をしてくる。叱りつけても、あの目だ。あの目でこちらをじっと見つめてくる。そんなことが、何日か続いていた。
1924「今までありがとうございました。さようなら。」
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追想
ゾッとするほど真っ直ぐな目で見つめられたあの日から、俺はあいつから妙な距離感を覚えるようになっていた。明らかに返事が素っ気ない。「風呂」と言えば、これまでなら遠慮がちに笑って「準備できてますよぉ」と言っていたのに、最近はこちらを見もせず「いつでも入れますよ」などと生意気な返事をしてくる。叱りつけても、あの目だ。あの目でこちらをじっと見つめてくる。そんなことが、何日か続いていた。
mayo_kkkxx
SPOILERサ〜クル機能が生きていた頃、投稿していた面白かった商業BLまとめ(間に他の漫画&小説のまとめもあります)
2023辺りにつくってるので最近のは一枚目にしか入ってないです。
まよの主観でありまよが楽しくまとめをつくっているだけのものなのでコメントがうるさいです。
背景が黒いやつは、メリバ・バッドエンド・3P・暴力表現・倫理観がない、など含んだりするのでお好きな方のみ…ぜひ……… 17
ちよど
DONE第25回ビマヨダワンドロに参加させていただきました。お題は「笑顔」「百王子」です。ビマヨダが森で鬼ごっこする話 ドゥリーヨダナを怒らせたので俺は森を走っている。
陽の光も届かないほど鬱蒼とした森は木々が生い茂り真っ直ぐ走ることも難しい。その上、
くすくすと笑い声が響き、背後から木の実がぶつけられる。振り返れば人影が木々の合間に消えていった。笑い声は重なり、垣間見える人影はひとつではない。
「ドゥリーヨダナ」
呼びかけに返答はなく、ヤツの弟達の笑い声が木霊した。
そもそもの発端は全面的に俺が悪かったことにある。
マスターや他のサーヴァント達がドゥリーヨダナの話題で盛り上がっていたのを聞きかじって奴が何かをしでかしたと早合点したのだ。
それは俺と恋人になってから大人しくしていたドゥリーヨダナがそろそろ騒ぎを起こす頃だと思っていたからだったが、ドゥリーヨダナは真実無実で、マスター達が話していたのはただの与田話だった。
1084陽の光も届かないほど鬱蒼とした森は木々が生い茂り真っ直ぐ走ることも難しい。その上、
くすくすと笑い声が響き、背後から木の実がぶつけられる。振り返れば人影が木々の合間に消えていった。笑い声は重なり、垣間見える人影はひとつではない。
「ドゥリーヨダナ」
呼びかけに返答はなく、ヤツの弟達の笑い声が木霊した。
そもそもの発端は全面的に俺が悪かったことにある。
マスターや他のサーヴァント達がドゥリーヨダナの話題で盛り上がっていたのを聞きかじって奴が何かをしでかしたと早合点したのだ。
それは俺と恋人になってから大人しくしていたドゥリーヨダナがそろそろ騒ぎを起こす頃だと思っていたからだったが、ドゥリーヨダナは真実無実で、マスター達が話していたのはただの与田話だった。
はとこさん
DONE先日やりました、癖パネルから。④は泣くでした。それをビマヨダで書いています。よく考えたら直近であったワンドロで泣かせたのを忘れていました…ので、今回は逆にしました。
このヨダナとビマニキはもうできてます。かつ、当社比割り増しでビマニキを甘くしてみました。が、後半ちょっとアレな場面に突入しますが、生存していますのでご安心下さい…。
お声がけくださり、ありがとうございました!
『落涙』人は、泣く。痛みを感じた時も、悲しいことがあった時も、嬉しくても泣く。目からぽろぽろと水を溢して鼻水を垂らして……いや、それは全員にはあてはまらねぇか。俺が見た泣くってのはそんなのばかりで。
あぁ、あとは悔しくても泣く。それが一番多く、身近で見てきたものかもしれない。あまりに静かに、だが唇を噛み締めて手を振るわせて、ありったけの意地と矜持で声をあげてみっともなく泣くことはしない。が、その目。ほぼ同じ身長のはずなのに、お前は俺を下から見上げるように、目一杯の恨みと怒りを込めて見上げていた。いや……少し、違う。
「ビーマ……!!」
そう。今目の前でそうやっているように。俺を昔と変わらない温度で見つめていた。違うのは、恨みと怒りに混ざって……なにか色が。ちかりと瞬く何かが見えた、そんな気がした。
5427あぁ、あとは悔しくても泣く。それが一番多く、身近で見てきたものかもしれない。あまりに静かに、だが唇を噛み締めて手を振るわせて、ありったけの意地と矜持で声をあげてみっともなく泣くことはしない。が、その目。ほぼ同じ身長のはずなのに、お前は俺を下から見上げるように、目一杯の恨みと怒りを込めて見上げていた。いや……少し、違う。
「ビーマ……!!」
そう。今目の前でそうやっているように。俺を昔と変わらない温度で見つめていた。違うのは、恨みと怒りに混ざって……なにか色が。ちかりと瞬く何かが見えた、そんな気がした。
はとこさん
DONE先日やりました、癖パネル物書き編から。選んでいただきありがとうございました!②は体調不良でした。リク頂きましたビマヨダとカーマちゃんの話です。少しでも…とのことでしたが、ガッツリ絡んでます。
事前にカーマちゃんのイベントなど読み直した結果、このような感じになりました。普段書かない子なので楽しかったです。ありがとうございました!
タイトルはたまたま書き始めたタイミングでかかった曲から…
『愛の亡霊』あーあ、つまらないったらない。けれどそこはマスターたってのお願いなので、嫌で嫌でたまらなかったですけれど、仕方なく。これっぽっちもマスターからの愛なんて期待してないですけれど?あんな顔で名前なんか呼ばれてしまったら、私としてはそんなマスターをドロドロに溶かして、甘やかしてしまいたくてしょうがありませんでしたけど?そこはガマンしました。
それこそ……いつかのように地に這いつくばらせて、嫌だ嫌だなんて可愛く啼きながら私の愛を拒む貴方をまた見てみたい、なんてことは。
とにかく、えぇ。お願いを引き受けました。本当はマスターのお願いでも、私としてはあの男は逆にこれ以上もないほどグズグスに堕としてしまった方が扱いやすくなってWin-Winな気もしましたけど。だって、その要素は初めから全て持ち合わせていましたし?そう。私の大好きなものです。ほら、指先でつん、と軽くつついただけで人間の理性とかってくだらないものは簡単に崩れるものでしょう?だから、今回もそう。えい、と指先であの男の心を、魂をつついただけ。
8434それこそ……いつかのように地に這いつくばらせて、嫌だ嫌だなんて可愛く啼きながら私の愛を拒む貴方をまた見てみたい、なんてことは。
とにかく、えぇ。お願いを引き受けました。本当はマスターのお願いでも、私としてはあの男は逆にこれ以上もないほどグズグスに堕としてしまった方が扱いやすくなってWin-Winな気もしましたけど。だって、その要素は初めから全て持ち合わせていましたし?そう。私の大好きなものです。ほら、指先でつん、と軽くつついただけで人間の理性とかってくだらないものは簡単に崩れるものでしょう?だから、今回もそう。えい、と指先であの男の心を、魂をつついただけ。
永倉泰嵩
DOODLE清書する元気はないけどラフでなら続けられそうなビマヨダのやつ※一部修正前の画像を登録してしまったので、その次に修正後のコマをのっけています(画像削除できない不具合が直り次第差し替え)
追記:最初に想定していた物語からめちゃくちゃ逸れました この2人言うこと聞かなさすぎる 32
raina0317
DOODLEバニーの日ビマヨダ(攻女装注意)ダボジャケバニーって前流行ってたじゃないですか
自分あれが好きなんですよ…
8/27・続き(8/21・バニーの日+ドダナちゃん風バニーわし様)UPしました 5
nlak_kk
TRAINING新婚の巽マヨ。穏やかでやさしい未来の話。ほんの少し🍋イベント要素あり
焼きたての味はあなたとの特別 風がカーテンを揺らし、かさりとアルバムを捲る。何度も開かれたであろうページは幾分か日に焼け、青春が遠く過ぎたものだと語るようだった。部屋に一人分の足音が響くと、厚い表紙がぱたりと閉じられる。ターコイズのレザークロスにあしらわれた四つのスートを細い指先がするりと踊る。
「マヨイさん……っと、すみません。窓を閉め忘れたようで」
エプロン姿の男は、甘い匂いを纏わせてマヨイの細腰を一度抱くと、悪戯げにカーテンを揺らす風を遮る。「巽さん」と名前を呼んだきり静まる部屋で、なおも慈愛に満ちた表情でアルバムに目を落とす彼の指をそっと絡めた。
「懐かしいですな。フランスへ行った時のものですね」
巽が優しく目を細めるとマヨイはこくりと頷く。せっかくですから復習しておこうかと思って、と控えめな言葉が返された。
998「マヨイさん……っと、すみません。窓を閉め忘れたようで」
エプロン姿の男は、甘い匂いを纏わせてマヨイの細腰を一度抱くと、悪戯げにカーテンを揺らす風を遮る。「巽さん」と名前を呼んだきり静まる部屋で、なおも慈愛に満ちた表情でアルバムに目を落とす彼の指をそっと絡めた。
「懐かしいですな。フランスへ行った時のものですね」
巽が優しく目を細めるとマヨイはこくりと頷く。せっかくですから復習しておこうかと思って、と控えめな言葉が返された。
hirata_cya
MAIKINGこのあいだ上様の舞台を観に行ってついやってしまった現パロビマヨダ国民的人気アイドルビマニキと個性派俳優ヨダぴが二十年後に舞台で一日限りの奇跡の共演をするビマヨダ 高い位置より降り注ぐスポットライトの白い光が、人影ふたつを照らす。
一人は腰中ほどまである藤色の髪に着流し。もう一人は尻っぱしょりをした白い小袖に紺の股引、そして顔には金色で塗られた鬼の面。背丈は同じくらい。双方ともに筋骨隆々とした体格の男。
さっきまで周囲できらめく模造刀を振り回していた端役たちは、光の届かない舞台袖ギリギリの位置へ下がって膝をついている。
一息。
それのみで、6畳間の端と端ほどにはあった筈の間が、瞬きの間に詰められる。
鬼面の高い位置で結われた髪を、薙ぐ棍棒の残像が掠める。頭を狙って打ち抜かれた一撃を膝を沈めて回避した鬼は、低い位置からすくい上げるように伸び上がり、得物にしている金棒をブン回す。
2128一人は腰中ほどまである藤色の髪に着流し。もう一人は尻っぱしょりをした白い小袖に紺の股引、そして顔には金色で塗られた鬼の面。背丈は同じくらい。双方ともに筋骨隆々とした体格の男。
さっきまで周囲できらめく模造刀を振り回していた端役たちは、光の届かない舞台袖ギリギリの位置へ下がって膝をついている。
一息。
それのみで、6畳間の端と端ほどにはあった筈の間が、瞬きの間に詰められる。
鬼面の高い位置で結われた髪を、薙ぐ棍棒の残像が掠める。頭を狙って打ち抜かれた一撃を膝を沈めて回避した鬼は、低い位置からすくい上げるように伸び上がり、得物にしている金棒をブン回す。