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    ヤクザ

    torafuzame_

    MOURNINGぷろぺし 転生後は日本人
    どヤクザ×大学生 出会っても無い…
    名前思いつかないので男と青年になってます
    わかりづれ〜〜 収拾付かなすぎて序章て感じで終わっていいですか(いいですよ)
    俺は本物の海を知っている。その海が何処の海なのかも分からない。見た事すらない。だが、俺にとって記憶の中のあの海こそが本物の海なのだ。幼い頃から慣れ親しんだ、この鈍い虹色が畝る腐った港は、本物の海なんかじゃあない。

    「──、──さん」
    名前を呼ばれ、男はうっそりとそちらに首を曲げた。いつもであれば名前を呼ばれたら直ぐに何だ、と尊大な声で返事をするものだが。男の様子を見て金髪のチンピラ然とした青年はこう思った。
    鬼の目にも涙。

    汚いこの場末の港を眺めてぼんやりとしている時でさえその全身から気魄のようなものを放つ男にそんな冗談を気安く言えるはずもなく、チンピラは続けた。
    「親父が呼んでました。早く行かないとマズいっすよ」
    思い当たる節があるのだろう。男は凛とした眉根をキツく寄せて、ああ、と低く返事をした。


    「ただいまあ」
    バイトを終え、古臭い一軒家の引き戸を開ける。
    「うひー、さみぃ」
    「おかえり。もう、だから言ったじゃないの。いくら気に入ったからって、こんな季節にタンクトップなんて早いわよ」
    良くも悪くも母親らしい母親は、廊下の奥から顔を出して青年に声を掛けた。
    「うるせえやい。上 1971