ヴァイ
mitu26_43
PROGRESSヴァイオリニスト仁×アンドロイド笹の一話目。手直しするかもしれないけど尻叩き用。 タイトルはだいぶ前に考えててダブルミーニングっぽいしこのままでいこうとかなったやつです 2359niesugiyasio
PAST原作軸エルリ連作短編集『花』から再録17『花』(最終話)リヴァイは巨人のいない世界で生きている。
花南の港から来た列車がシガンシナに向かっている。乗客の一人が外の空気を入れようと窓を開ける。
窓から入った風でリヴァイの髪が揺れる。
「今、甘い香りがしましたね。あ、花が咲いてる。そうか、パラディ島は今、春なんだ」
風が運んだ花の香が彼らの鼻先を過ぎったようだ。
リヴァイがポケットからハンカチを出し、目許を押さえる。
「目にゴミが入っちまった」
連れの少年が優しく微笑んだのが、リヴァイにはばつが悪かったようだ。
「すっかり、涙もろくなっちまってな。年だな」
白状し、改めて涙を拭く。
「まあ、ファルコ。お前からしたら、何言ってんだ、オッサン、てめぇよく泣いてんじゃねぇか、って言いてぇところだろうが」
「そんなこと言いませんよ。リヴァイさんは、故郷に帰ってきたんですから、懐かしくて当然です」
6868窓から入った風でリヴァイの髪が揺れる。
「今、甘い香りがしましたね。あ、花が咲いてる。そうか、パラディ島は今、春なんだ」
風が運んだ花の香が彼らの鼻先を過ぎったようだ。
リヴァイがポケットからハンカチを出し、目許を押さえる。
「目にゴミが入っちまった」
連れの少年が優しく微笑んだのが、リヴァイにはばつが悪かったようだ。
「すっかり、涙もろくなっちまってな。年だな」
白状し、改めて涙を拭く。
「まあ、ファルコ。お前からしたら、何言ってんだ、オッサン、てめぇよく泣いてんじゃねぇか、って言いてぇところだろうが」
「そんなこと言いませんよ。リヴァイさんは、故郷に帰ってきたんですから、懐かしくて当然です」
niesugiyasio
PAST原作軸エルリ連作短編集『花』から再録16『希望』再び仲間達の巨人化を目の当たりにすることになったリヴァイ。
希望ジークさえ討てば終わる。そんな思いがリヴァイにはあった。だが願望に過ぎなかった。
確かに地鳴らしは止まった。超大型の爆発により巨大な骨巨人も消え去った。しかしまだ終わってはいないと、思い知らされている。
また、奪われた。仲間を皆、奪われた。
目を覆いたくなるようなスラトア要塞の光景をリヴァイは冷静に受け止める。ラガコ村と同じやり方。コニーのそのひと言で迅速に行動することができたのは、巨大樹の森でジークに部下を奪われた経験が効いているからだろう。
要塞全体が煙に取り巻かれた。全員が、足の多い虫のような光る生き物が発した煙を吸ったはずだ。だがマーレの軍人達に変化はない。エルディア人だけが巨人化した。九つの巨人の力を有する者とアッカーマンだけが例外だ。
1237確かに地鳴らしは止まった。超大型の爆発により巨大な骨巨人も消え去った。しかしまだ終わってはいないと、思い知らされている。
また、奪われた。仲間を皆、奪われた。
目を覆いたくなるようなスラトア要塞の光景をリヴァイは冷静に受け止める。ラガコ村と同じやり方。コニーのそのひと言で迅速に行動することができたのは、巨大樹の森でジークに部下を奪われた経験が効いているからだろう。
要塞全体が煙に取り巻かれた。全員が、足の多い虫のような光る生き物が発した煙を吸ったはずだ。だがマーレの軍人達に変化はない。エルディア人だけが巨人化した。九つの巨人の力を有する者とアッカーマンだけが例外だ。
niesugiyasio
PAST原作軸エルリ連作短編集『花』から再録14『まなざし』オディハから飛び立った飛行艇の中でリヴァイは思う。
まなざしいつだったか、お前と、話したことがあったな。
何のために生まれてきたか、何のために生きているかというような話だ。
俺はこんなふうに答えたかと思う。誰かの胸に種を残すためじゃねぇかと。遺志という名の種だ。
俺のまわりで生きて死んでいった奴らを思い返し、そう考えた。俺自身については、考えるのを放棄した。考えるより先に体が動くたちだからな。
だがこの頃、わかってきた。
俺は何のために生きているのか。残された種を育てるためだ。遺志という名の種が、芽を出し、育って、花を咲かせ、実を結ぶ。そんな未来のために、生き続けている。
お前の残した遺志が俺に力を与える。そういった言葉を、俺はかけたこともあればかけ損ねたこともあるが、いつだって気持ちは同じだった。
1274何のために生まれてきたか、何のために生きているかというような話だ。
俺はこんなふうに答えたかと思う。誰かの胸に種を残すためじゃねぇかと。遺志という名の種だ。
俺のまわりで生きて死んでいった奴らを思い返し、そう考えた。俺自身については、考えるのを放棄した。考えるより先に体が動くたちだからな。
だがこの頃、わかってきた。
俺は何のために生きているのか。残された種を育てるためだ。遺志という名の種が、芽を出し、育って、花を咲かせ、実を結ぶ。そんな未来のために、生き続けている。
お前の残した遺志が俺に力を与える。そういった言葉を、俺はかけたこともあればかけ損ねたこともあるが、いつだって気持ちは同じだった。
niesugiyasio
PAST原作軸エルリ連作短編集『花』から再録13『旧敵』オディハに停泊中の船上でピークはリヴァイと話す。
旧敵停泊中の船上から、ピークはオディハの夜空を見上げる。この空の下、世界の各所で地鳴らしが進行している。暗澹たる気持ちになる。
岸のドックでは飛行艇の準備が行われている。終わり次第、出発となる。イェレナから話を聞き出すことができ、目的地をスラトア要塞に決定できたのは幸いだった。
デッキに誰か出てきた。壁伝いに歩いている。リヴァイだ。リハビリに少しでも体を動かしておこうとしているのか。ピークに気づくと、彼は足を止めた。
「話しかけても?」
「ああ」
「ジークについてなんだけど、始祖に取り込まれているって話だったよね。ジークが死ねばエレンは始祖を制御できなくなり、地鳴らしも止まる。ハンジさんの予想では」
リヴァイはジークの殺害を目的としている。ジークを殺せば地鳴らしが止まる。撤退する飛行船と壁巨人の行進を為すすべなく見るしかなかったマガトとピークに、彼らはそう言って協力体制を敷くことを持ちかけてきた。
2847岸のドックでは飛行艇の準備が行われている。終わり次第、出発となる。イェレナから話を聞き出すことができ、目的地をスラトア要塞に決定できたのは幸いだった。
デッキに誰か出てきた。壁伝いに歩いている。リヴァイだ。リハビリに少しでも体を動かしておこうとしているのか。ピークに気づくと、彼は足を止めた。
「話しかけても?」
「ああ」
「ジークについてなんだけど、始祖に取り込まれているって話だったよね。ジークが死ねばエレンは始祖を制御できなくなり、地鳴らしも止まる。ハンジさんの予想では」
リヴァイはジークの殺害を目的としている。ジークを殺せば地鳴らしが止まる。撤退する飛行船と壁巨人の行進を為すすべなく見るしかなかったマガトとピークに、彼らはそう言って協力体制を敷くことを持ちかけてきた。
niesugiyasio
PAST原作軸エルリ連作短編集『花』から再録12『不屈』リヴァイを助けたハンジ。
不屈ハンジは数え切れないくらい何度も思ったものだ。
ああ! エルヴィンが生きていたら!
もちろん、口に出すことはない。出さないからこそ、暴れ回りたくなる。八つ当たりで、机や椅子を蹴ったり殴ったりすることもある。かえって痛い思いをして、余計に情けなくなる。エルヴィン自身にも恨み言を言いたい。なぜ私を後継の団長に指名した?
思考が一巡りすれば落ち着いてくる。
エルヴィンが生きていたら、私はこんな苦労をせずにすんだのに。
団長でなければ、こんな重い責務を背負い込まずにすんだのに。
そういう、まったくもって身勝手な思考だ。エルヴィンにすべて押しつけたかったのだ。
リヴァイがなぜエルヴィンに注射を打たなかったか、分かる気がする。重責から解放してやりたかった。そんな気持ちがあったのではないか。ハンジの知らないところでエルヴィンは苦しんでいたのかもしれない。他の兵士を犠牲にして蘇ったとなればさらなる重荷となることも予想できた。
2095ああ! エルヴィンが生きていたら!
もちろん、口に出すことはない。出さないからこそ、暴れ回りたくなる。八つ当たりで、机や椅子を蹴ったり殴ったりすることもある。かえって痛い思いをして、余計に情けなくなる。エルヴィン自身にも恨み言を言いたい。なぜ私を後継の団長に指名した?
思考が一巡りすれば落ち着いてくる。
エルヴィンが生きていたら、私はこんな苦労をせずにすんだのに。
団長でなければ、こんな重い責務を背負い込まずにすんだのに。
そういう、まったくもって身勝手な思考だ。エルヴィンにすべて押しつけたかったのだ。
リヴァイがなぜエルヴィンに注射を打たなかったか、分かる気がする。重責から解放してやりたかった。そんな気持ちがあったのではないか。ハンジの知らないところでエルヴィンは苦しんでいたのかもしれない。他の兵士を犠牲にして蘇ったとなればさらなる重荷となることも予想できた。
niesugiyasio
PAST原作軸エルリ連作短編集『花』から再録11『川のほとり』雷槍の爆発で重傷を負ったリヴァイ。
川のほとり人の気配に、リヴァイは顔を上げた。
なんだ、あんたか。
ケニーだった。リヴァイは自分が落胆を覚えていることに気づく。エルヴィンかと、期待していたらしい。
ケニーは何も言わない。表情もよく見えない。リヴァイは勝手に喋ることにする。
ケニー、あんた、巨人化の注射、打たなくてよかったよな。アッカーマンは、巨人にならねぇらしい。巨人化をもたらすジークの脊髄液が、ワインに仕込まれていた。俺も部下達と同様に飲んだが、ビリビリ来ただけで体は変化しなかった。
ところで、あんた、何しに来たんだ?
まさか、俺を迎えに来たのか?
いや、そんなガラじゃねぇな。俺があんまり無様だから、可笑しくなって出てきたってとこか。そんなんだからてめぇはいくつになってもツメの甘ぇドチビのネズミなんだよとでも言いてぇか? ああ、その通りだ。
1199なんだ、あんたか。
ケニーだった。リヴァイは自分が落胆を覚えていることに気づく。エルヴィンかと、期待していたらしい。
ケニーは何も言わない。表情もよく見えない。リヴァイは勝手に喋ることにする。
ケニー、あんた、巨人化の注射、打たなくてよかったよな。アッカーマンは、巨人にならねぇらしい。巨人化をもたらすジークの脊髄液が、ワインに仕込まれていた。俺も部下達と同様に飲んだが、ビリビリ来ただけで体は変化しなかった。
ところで、あんた、何しに来たんだ?
まさか、俺を迎えに来たのか?
いや、そんなガラじゃねぇな。俺があんまり無様だから、可笑しくなって出てきたってとこか。そんなんだからてめぇはいくつになってもツメの甘ぇドチビのネズミなんだよとでも言いてぇか? ああ、その通りだ。
niesugiyasio
PAST原作軸エルリ連作短編集『花』から再録⑨『仇』巨大樹の森でジークに部下を巨人化させられたリヴァイは、かつてエルヴィンとかわした会話を思い出す。
仇巨大樹の森が、巨人の死骸から立ちのぼる蒸気で曇る。三体の巨人の足音が遠ざかっていく。立体機動で有利に戦うためには、この森から出すわけにいかない。急く心をリヴァイは抑え、ガスと刃の補充にかかる。過ぎし日の声を聞く。「ガスと刃を補充していけ」時間を惜しむリヴァイにエルヴィンはただ命じた。
なあ、エルヴィン。あの頃は、まだ何も分かっちゃいなかったな。
探りをいれるための作戦だった。思惑通りに事が運び、未知の巨人であった女型をおびき出すことができた。兵団内に密通者がいることも分かった。だがあまりにも多くの兵士が犠牲になった。
あの戦いで、どれだけ死なせたか。リヴァイの脳裏に犠牲となった部下の顔が浮かぶ。
今、巨大樹の根元では、リヴァイが討伐した巨人が蒸気を上げ、消えていこうとしている。ほんのちょっと前までリヴァイの部下達だった巨人だ。
2340なあ、エルヴィン。あの頃は、まだ何も分かっちゃいなかったな。
探りをいれるための作戦だった。思惑通りに事が運び、未知の巨人であった女型をおびき出すことができた。兵団内に密通者がいることも分かった。だがあまりにも多くの兵士が犠牲になった。
あの戦いで、どれだけ死なせたか。リヴァイの脳裏に犠牲となった部下の顔が浮かぶ。
今、巨大樹の根元では、リヴァイが討伐した巨人が蒸気を上げ、消えていこうとしている。ほんのちょっと前までリヴァイの部下達だった巨人だ。
niesugiyasio
PAST原作軸エルリ連作短編集『花』から再録⑦『森』巨大樹の森で、リヴァイはジークを見張る。
森巨大樹の森をリヴァイが初めて訪れたのは調査兵団に入って間もない頃だった。どこの森だったかは、定かでない。まだ地理を把握できていなかった。恐らく、ウォール・マリア南部、シガンシナから最も近い森だったのではないか。調査兵団に入ったとはいえ兵士になるつもりはなく、当時分隊長だったエルヴィンの殺害を目論む身だった。共に地下街から出てきたファーランとイザベルと、昼なお暗いこの森は計画の実行におあつらえの場所ではないか、などとひそひそ話をしたものだ。ただ単に殺すのでなく、エルヴィンが持っているという書類を奪わねばならなかったから簡単でなかった。私室や執務室に隠してある可能性もあったが、身につけて持ち歩いているということも考えられた。実際、懐に何か忍ばせているようにも見えた。スリの要領で盗めないか。そう考えて巨大樹の森での訓練中、立体機動で飛んでいるさなかにすれ違い、懐のものをかすめ取る作戦を試みた。しかし残念なことに主にミケに邪魔されて近づくことすらできなかった。
2849iwannacry
DOODLE書きかけの練習作品ここからBLのR18になっていく予定だけどまだなんもしてない
攻 ヴァイド ちょっとマッドっぽい魔法使い
受 コール 冷静な剣士
幼馴染ですでにくっついてる 2220
niesugiyasio
PAST原作軸エルリ連作短編集『花』から再録⑥『海の向こう』リヴァイはコーヒーを啜りつつ物思いに耽る。
海の向こうコーヒーのにおいが鼻先を過ぎる。どんな場所であってもこのにおいを嗅げば、熾火のようだった火が燃え上がる。炎がリヴァイの全身を包む。その炎とは、殺意だ。哀しみを糧に燃えさかる怒りだ。獣の巨人を仕留めようという意志だ。
初めてコーヒーを見た時、なんだこの汚水は、とリヴァイはたじろいだものだ。それまで嗅いだことのない匂いのする液体はおよそ飲み物とは思えぬ黒さで、地下街のどぶ川を思わせた。豚の小便よりなお酷い、悪臭を放つ糞尿混じりの汚水だ。口にすれば形容しがたい味がした。苦いとしか言い表しようがなかったが、もっと違う味がした。殺意や怒り、怨念といった感情が入り混じり真っ黒になった味だ。敵に対する感情のみならず、逃した自らに対する失意や叱責の念も含まれる。
5106初めてコーヒーを見た時、なんだこの汚水は、とリヴァイはたじろいだものだ。それまで嗅いだことのない匂いのする液体はおよそ飲み物とは思えぬ黒さで、地下街のどぶ川を思わせた。豚の小便よりなお酷い、悪臭を放つ糞尿混じりの汚水だ。口にすれば形容しがたい味がした。苦いとしか言い表しようがなかったが、もっと違う味がした。殺意や怒り、怨念といった感情が入り混じり真っ黒になった味だ。敵に対する感情のみならず、逃した自らに対する失意や叱責の念も含まれる。
niesugiyasio
PAST原作軸エルリ連作短編集『花』から再録⑤『苦い味』ニコロはリヴァイに頼まれコーヒーを淹れることになってしまった。
苦い味いつからそこにいたのだろう。片付けが一段落し、ふと振り返ったニコロは、食堂の片隅に人影を見つけ、それが誰だか分かって危うく悲鳴を上げるところだった。
「ニコロ、だったな」
マーレ兵捕虜は大勢いるが、名前と顔を覚えられてしまった者はごく僅かだろう。ほとほと運が悪い。パラディ島の調査のため、派兵された。ニコロの乗った船は一番乗りで着いたはいいがあっさり捕らえられてしまった。ひ弱に見えたせいかニコロは一人連れ出され、後続のマーレ軍に人質として晒された。
「コーヒーってやつを淹れてもらいてぇんだが」
リヴァイ兵士長は隅のテーブルの端っこに掛けていた。イェレナの提案でパラディの兵士達にマーレ料理を振る舞うことになった。その一日目を終えたばかりで、食堂は屋外にテントを設えてテーブルと椅子を並べた仮設のものだ。彼はいなかったが、昼間には調査兵団の面々が来た。食後はコーヒーか紅茶か選ばせる方式を取った。彼らとってコーヒーは未知の飲み物だったようだ。その話を聞いて来たというところか。
4635「ニコロ、だったな」
マーレ兵捕虜は大勢いるが、名前と顔を覚えられてしまった者はごく僅かだろう。ほとほと運が悪い。パラディ島の調査のため、派兵された。ニコロの乗った船は一番乗りで着いたはいいがあっさり捕らえられてしまった。ひ弱に見えたせいかニコロは一人連れ出され、後続のマーレ軍に人質として晒された。
「コーヒーってやつを淹れてもらいてぇんだが」
リヴァイ兵士長は隅のテーブルの端っこに掛けていた。イェレナの提案でパラディの兵士達にマーレ料理を振る舞うことになった。その一日目を終えたばかりで、食堂は屋外にテントを設えてテーブルと椅子を並べた仮設のものだ。彼はいなかったが、昼間には調査兵団の面々が来た。食後はコーヒーか紅茶か選ばせる方式を取った。彼らとってコーヒーは未知の飲み物だったようだ。その話を聞いて来たというところか。
niesugiyasio
PAST原作軸エルリ連作短編集『花』から再録②『旧友』最終奪還作戦から帰還しなかった同期を思い出しながら酒場へ入ったナイルはリヴァイに出くわす。
旧友トロストの街を訪れるたびナイルはあの日のことを思い出す。帰還の報を受け、急く気持ちを抑えながら通りへ出れば、凱旋を祝う歓声に包まれた。街は祝勝一色に染まっているかに思われた。しかしナイルの心には影が差していた。仰ぎ見た壁上に立つ影はあまりにも乏しかった。労い、そしてひと言詫びるはずだった友人との再会は遂にかなわなかった。
かつて最前線だったこの街が今は復興の拠点である。一度は荒廃したウォール・マリアが再び人の住める地になりつつある。
日が暮れかけていた。所用はすべて終えたが出張者用の宿舎にまっすぐ帰る気にはなれなかった。酒場街に足が向いた。どうも飲みたい気分のようだ。特にあてもないので目についた酒場に入った。
3776かつて最前線だったこの街が今は復興の拠点である。一度は荒廃したウォール・マリアが再び人の住める地になりつつある。
日が暮れかけていた。所用はすべて終えたが出張者用の宿舎にまっすぐ帰る気にはなれなかった。酒場街に足が向いた。どうも飲みたい気分のようだ。特にあてもないので目についた酒場に入った。
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DONE【风虚(風虚)】現パロ。风が何か言いたげだが原因がわからず、谛に相談する虚の話。元ネタはタイのBLドラマ。ヴァイオレット・フィズのカクテル言葉は「私を覚えていて」。2023/4/3 5maru◎
DONEエルヴィンが右腕を失くして帰ってきた頃、(クソ。コイツに右手がなかったら、俺のことを思い出さなくなるじゃねぇか)
ってリヴァイが悔しくて思っていたらな〜と思って書いた、悔い選後のエルヴィンの右手の話。
諸説あるけど、刃を受け止めたのは右手だといいなと個人的に思ってる。 4
niesugiyasio
DONE原作軸。オニャンコポンにエルヴィンのことを尋ねられたリヴァイが分隊長と新兵だった頃を思い出したりする話です。ALWAYSこの島初となる港に、夕闇が降りてくる。水平線にかすかな残照がみえるが手前の海は漆黒で空恐ろしい。
リヴァイは地下から出てきたばかりの頃にシガンシナの壁上から見た壁外の大地を彷彿とした。未知の世界を前にしている。
港はまだ建造中だが、完成の日も近い。既にできあがっている区画もある。今日の仕事を終えた作業員がお互いに労いの声を掛け合いながら宿舎に引き上げていっている。
港建造の立役者であり、現場の監督官でもあるオニャンコポンがリヴァイを見つけ、声をかけてきた。完成した桟橋に鹵獲した艦船を移す計画などを聞く。彼はついさっきまでハンジと一緒だったようだ。
「ハンジの相手を任せちまってすまねぇな。話が長かったりして、困ってねぇか?」
6700リヴァイは地下から出てきたばかりの頃にシガンシナの壁上から見た壁外の大地を彷彿とした。未知の世界を前にしている。
港はまだ建造中だが、完成の日も近い。既にできあがっている区画もある。今日の仕事を終えた作業員がお互いに労いの声を掛け合いながら宿舎に引き上げていっている。
港建造の立役者であり、現場の監督官でもあるオニャンコポンがリヴァイを見つけ、声をかけてきた。完成した桟橋に鹵獲した艦船を移す計画などを聞く。彼はついさっきまでハンジと一緒だったようだ。
「ハンジの相手を任せちまってすまねぇな。話が長かったりして、困ってねぇか?」
千瞑(senbei)
DOODLE進撃の巨人 リヴァイ夢医務室勤務の夢主。兵士ではない。
リヴァイ視点シガンシナ区での勝利後
調査兵団の生き残りは俺を含めて9人しかいなかった。
目の前の女は仲間の死を悲しみ、俺の代わりに涙を流す。
この女に「泣くな」と言う言葉は意味をなさない。
出会ったときからそうだった。
次から次へと湧き水のように流れ続ける涙をぬぐおうと触れようとすると「もう大丈夫だから」と泣き止んで俺から離れていく。
いつもならそうだった。
だが、今日はそうならなかった。
「〇〇…」
名を呼んで涙を指ですくうと、大粒の涙をこぼしながら俺を見つめる。
何も言わないのをいいことに女の腕をそのまま引いて、胸に押し付ける。
「落ち着くまで貸しといてやる」
289調査兵団の生き残りは俺を含めて9人しかいなかった。
目の前の女は仲間の死を悲しみ、俺の代わりに涙を流す。
この女に「泣くな」と言う言葉は意味をなさない。
出会ったときからそうだった。
次から次へと湧き水のように流れ続ける涙をぬぐおうと触れようとすると「もう大丈夫だから」と泣き止んで俺から離れていく。
いつもならそうだった。
だが、今日はそうならなかった。
「〇〇…」
名を呼んで涙を指ですくうと、大粒の涙をこぼしながら俺を見つめる。
何も言わないのをいいことに女の腕をそのまま引いて、胸に押し付ける。
「落ち着くまで貸しといてやる」
10scapturebook
REHABILI現パロエルリヴァハンでリヴァイ視点可もなく不可もなくな仲のエルヴィンとハンジさんがルームシェアしてる事故物件の天井裏に宿無しリヴァイが住みつく話
リヴァイの妹がミカサちゃんでエレミカ設定あり
*毎日15分ずつ書く練習です
設定も何も決められなかったので、継ぎ足して書いていくので前後で矛盾したり飛んだりすると思います
まとまったら手直ししてpixivに再upする予定です
天井裏より愛を込めて 四月一日、ついに帰る場所がなくなった。
多少の所持金と残高もカードもあるが出来るだけ温存したい。
身内はいるが年内の式を前提に同棲しているので、そこへ間借りする訳にもいかない。有り難い事に義弟になる男も学生時代から慕ってくれているので、そのまま同居の形で居座っても妹も安心するだろう。しかし兄の見栄がある。見栄を張って早々に家を出たが、良い歳して実家ではなく妹夫婦の新居に転がり込むなんて、例え太陽が西から昇ってもあってはならない。
その太陽が昨日と変わらず西へと沈もうとしている。昨日アパートの契約が切れた自分は今夜からの寝床を決めかねていた。いつもより早く桜の舞う季節が来たとはいえ、星が輝く頃になると芯まで冷える。
10342多少の所持金と残高もカードもあるが出来るだけ温存したい。
身内はいるが年内の式を前提に同棲しているので、そこへ間借りする訳にもいかない。有り難い事に義弟になる男も学生時代から慕ってくれているので、そのまま同居の形で居座っても妹も安心するだろう。しかし兄の見栄がある。見栄を張って早々に家を出たが、良い歳して実家ではなく妹夫婦の新居に転がり込むなんて、例え太陽が西から昇ってもあってはならない。
その太陽が昨日と変わらず西へと沈もうとしている。昨日アパートの契約が切れた自分は今夜からの寝床を決めかねていた。いつもより早く桜の舞う季節が来たとはいえ、星が輝く頃になると芯まで冷える。
Carrotshirix2
DOODLE7周年お祝い絵の元ネタ系記載漏れ
・2枚目、シュヴァインとトンが左手に持ってるドリンク→コラボドリンク
・6枚目、子ゾンハムが踏んでる紙→なんでも起承転結(4コマ) 8
koga_hrt88
DONECoC:紫暮 豪 (シクレ ゴウ)【虹が崎がヒーロー!レインボーズ】HO:ヴァイオレット
闇堕ちダークヒーローのスーツアクター
本人としてはかわいいのとカッコいいのどっちも好きだしどっちもやりたい、なので仕事だから割り切って切り変えてるというよりは、むしろ役得でどっちも気に入っている感じです。 18
花式 カイロ
DOODLEなんかちょっと前に鍵で載せたやつです。モノ君の「ノワ(→)ヴァイ」です。暗いしちょっとノワールが可哀想な上にヴァイスが冷酷な風に感じられる部分もあるかもしれないんですけど、この二人は基本こういう関係です。でもちょっと本編より誇張はした 4白猫さん
TRAINING連作の内新しい人間関係に葛藤する主人公潤と音願叔父上のお話。
登場人物
天宮潤 主人公 ヴァイオリニスト兼ピアニスト兼人気芸能人兼天宮グループ兼白鳥グループ取締役
天宮音願 主人公の叔父 精神科医兼心療内科医兼指揮者兼チェリスト兼天宮グループ&白鳥グループ取締役
白鳥斎 主人公の従兄 白鳥グループ代表取締役常務兼経営戦略室長兼チェリスト兼ヴィオラニスト兼ピアニスト 15045
sarai_cos
MENU【新任スミス先生は方向が一緒なので毎日リヴァイ先生を迎えに行ったり帰りも送ったりしていないだろうか】と思い撮影してみました。リヴァイ先生は家から白衣着ないだろうとは思っているのですが、今回はパッと見でリヴァイ先生とわかりやすいように仕様です、ご了承ください…!! 2