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    主人公

    sushiwoyokose

    DOODLEめたふぁ~の読書感想文です 主とルイ エンディングまでの全てのネタバレを含みます 
    主人公の名前は「リンドウ」です。
    彼方へ送る追憶の一束※主人公の名前は「リンドウ」です

    幼少の砌、閉ざされたかの故里で過ごした記憶はひどく曖昧に混濁している。穏やかな風を浴びればほのかな懐かしさが過ぎり、ひとけのない静けさにこれ以上ない安寧を覚えるのは確か。しかし人里離れた森の奥、閉ざされた静かな村を見て胸に滲む感想はといえば御伽噺のようだなんて少し他人行儀なものだ。あるはずの思い出が霞んでいるのは、魂と体の分離があまりに長く続いたせいだろうと説いてくれたのはグルデアだった。どこへでも駆けていく願望を形どった己の記憶に、幼子のまま眠っていた己の記憶が、まだうまく結合し切っていないらしい。
    「よいしょ……っ、と、あいてっ」
    朝露に濡れた草花をかき分け、新緑の空気を胸いっぱいに吸い込んだのも束の間。額に衝撃を感じ、ややあって頭を打ったのだと理解した。呪いから解放され、時を戻した体は遅れた成長期を迎えている。その速度は目覚ましく、昨日はぴったりだったローブが朝起きると丈が足りないなんてザラなことだった。お忍びに出向く際に使っている抜け道も、いくつか通れなくなってしまったものがある。記憶に誘われるようにして潜った木のうろに頭をぶつけたのも、きっと覚えより背丈が伸びてしまっているからに違いなかった。くすくすと微笑むように緑が揺れている。妖精にでも見られたのだろうか、後でガリカに揶揄われなければいいのだが。
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    🥗/swr

    DOODLE※精神的不快感を煽る描写・暴力描写
    Bloodborne 人形夢SS連作まとめ。
    獣狩りの夜に狩人の夢を訪れた狩人が、夢の中の人形に入れ込んでいく話。
    ※夢主は原作本編の主人公ではありません
    ※狩人の性別明示はありません
    webオンリー「君の夢は燃えているか」合わせの書き下ろしです。(2024/11/15)
    たとえばそれは、造花のような【Ⅰ】
     最初に出会った時、彼女はもの言わぬ物体だった。
     ヤーナムに流れ着いた狩人は、天上を思わせる不可思議な場所で、「彼女」の姿を見た。
     庭先に打ち捨てられているように置かれていた人形に歩み寄り、じっと観察する。人形というもの自体は決して珍しいものではなく、記憶が朧げな狩人もまた、それを今までに見たことがあるということは覚えていた。しかしこんなにも精巧な人形を目の当たりにしたのは初めてであり、人形という道具にさして強い思い入れがあるわけではなかった狩人でさえ、目を見張ってその姿に息を呑んだ。
     陶器のように白い肌、透き通るようなガラスの瞳。着せてある衣装も上品で、細かな刺繍や精巧なブローチまであしらわれている。 しかし全体としては気取りすぎない雰囲気で、どこかあたたかい、親しみやすさを覚えるような感じもあった。
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    Asahikawa_kamo

    PAST四神パロ。モブ旅人(性別不問)が四神の治める国を旅する話です。今回は白虎編で〆。前の話を読まないと分からないです。
    モブが主人公のためとにかく喋るし出張ります。あと特殊設定の嵐。
    旅人と四神 四、白虎 長い長い山道を、数日ほどかけて降りきったその先。少し開けた山の中腹から見えたその街並みは、盆地の中に石造りの建物が所狭しと並んでいる。高いものはないが、綺麗な四角を描いた個々の白は道を挟んで両隣に整列し、今まで訪れた領たちとは一風変わった景色をかたち作っていた。美しい街並みに感嘆の溜息を吐きながらも、旅人はゆっくりと下り坂を降りていく。目的地であった白虎領は、既に目と鼻の先に迫っていた。
     西に位置する白虎領は、この国の政治と学問を担う街だ。他の領と違い、この領だけが石で出来た建物を纏っている。どうやら聞くところによると、国に関する重要な書物や巻物を厳重に保管するためだという話らしい。確かに火災や洪水という点に置いては木より石の方が丈夫なのだから、理には適っているのだろう。ただ、それ以上にきちりと切り取られ置かれた白石が一寸の隙間もなく組み上がり建物を作っているさまは、一種の美術品にも見て取れた。
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    Asahikawa_kamo

    PAST四神パロ。モブ旅人(性別不問)が四神の治める国を旅する話です。今回は青龍編。前の話を読まないと分からないです。
    モブが主人公のためとにかく喋るし出張ります。あと特殊設定の嵐。
    旅人と四神 二、青龍 朱雀領南西部に位置する商街、桔梗の市。朱雀領の中でも一番に大きく、また長いとされているその商街は南北、表通りと裏通り、そして昼夜で様々な色を粧し込んでいる。
     南の表通りは新しく港から取り入れられた輸入品や様々な食材、生活雑貨、衣服を売る店が立ち並び、飲食店も多い。対して裏通りは領から認可された店のみが賭博場を経営しており、その賭けごとも多岐に渡っていた。
     通りを北に遡っていけば領の名にもなっている氏神、朱雀の居住地として据わる霊山である朱明山の麓へと繋がっており、そこにはこれまた朱雀領では観光地の一つとなっている温泉群と宿集落が軒を連ねていた。お土産屋や一服のための茶屋などが並んでいる表通りもまた、南と同様観光客や旅人の行き交いが多い。そんな北の裏通りに繋がる道はたった一つの大門だけで、日の高いうちは静かに門を閉じているが、日が暮れると大人のみが訪れることのできる遊郭街に通ずる唯一の道となる。絢爛豪華で華美な服を纏い、眩しいほどの簪を挿し込んだ人々が妖艶に笑みつつ、店の窓際で手招きをするのだ。
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    Asahikawa_kamo

    PASTあまりにも中二病がすぎるrf異能パロ。気狂いが途中で覚めたためにお話も途中で終わってます。
    特殊設定がすぎる、中二もすぎる、今回の主人公はid。まじで特級呪物と化した。ゆるして。
    異能パロ① 人が異形の生物に変貌する現象は、遡れば十九世紀後半のヨーロッパから始まっているとされていた。とある小さな村で起こったその悪夢の始まりは、現代の魔女裁判を彷彿とされる疑対象の磔刑と火炙りで一度は途絶えたとされていた。が、気付かぬうちに世間の認知外で少しずつ、病魔のように広がっていたのだと誰かは言う。
     『それ』になった者は、関節の痛みから始まる。身体中の関節が軋み出し、気が付かぬうちに短期間で身長が──否、四肢が伸びるのだ。そうして足と手が細長い生物と化した後、全身が白く変化し、人間であった意識も面影も失われては、ただ人を襲うだけの異形と化す。故にそれを人は、白化獣ゲファレナと呼んだ。
     二十世紀も半ばをとうに折り越した日本。首都、東京。紅蓮に沈む夕焼け空を少しばかり見上げていたとある青年は、現代では珍しい黒の羽織りを翻しながら歩いていた。グラデーションになった青緑の裾は、既に失われかけている新緑を彷彿とさせる。揺れるブロンドグレーの淡い光彩は、その奥に潜んでいる青空にも良く似た双眸を隠しながら、少しの風を起こしつつ人気のない雑居ビル群の中を進んでいた。
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