ポイパスで絵文字100連打!

加筆

ytd524

作業進捗何でも屋:呪術亭
再録本用 加筆修正作業進捗

大体こんな感じで整えていますよ〜っていうサンプルの先出し(気が早い)
多分一番修正加わるのが1話なので、これがマックスだとお考えください!
ねぇ、聞いた? 〇〇ちゃんのこと。
 もちろん! 怖いよねぇ。だってみんな一緒にいたのに、突然いなくなっちゃったんでしょ?
 そう! その時一緒にいた子、ジジョウチョウシュ? 受けてるって。
 すごい、テレビみたい!
 でも、話すことみんな一緒なんだって。『ずっとお話してたのに、振り向いたらいなくなってた』って。
 すごい、すごい! あれみたいだね! なんだっけ、あれ。ほら……あぁ、そうだ──

 『かみかくし』




何でも屋:呪術亭 - 01




「本当にここであってんのかな……」
 自宅の最寄り駅から隣駅まで、自転車に乗って約二十分。どちらかといえば都心部に近いそこは、土曜日なこともあって人通りもそこそこ多い街であった。商店街入り口のアーケードを潜ってからは自転車を降りて手押ししているけれど、立ち並ぶ店はどれも普通にあるそれらと変わりない。
 服屋、パン屋、喫茶店、ゲームセンター。左右へと視線を動かしながら一歩ずつ慎重に歩いたって、やはり目に見える店が変わることはない。
 やはり、タチの悪い悪戯かなにかなのだろうか。はぁ、とため息を吐きながら少年──虎杖は、一度足を止めて手元のスマートフォンを見直した。

『貴方のお悩み、解決します! 何でも屋:呪術亭』

 まるで『テテーン!』という効果音が聞こえてきそうな、原色背景に踊るレインボーカラーのワードアート。どうみたって胡散臭いサイトには違いないのだが、今の虎杖にはこれぐらいしか縋れるものがなかった。だからこそこんな休日に、自宅の最寄りにだってありそうな商店街まで足を運んだのだ。
 それなのに。サイトの下の方までスクロールしていった先に書かれている住所は、間違いなくこのアーケード街を示しているはずなのに、肝心の店舗がどこにも見当たらないのだ。そもそも、こんな見た目も中身も胡散臭い店が、人目につきやすい商店街のど真ん中にある方がおかしいのだけれど……。
 どうしたものかと視線を上に向けた、その時だった。

 ツキ、ン。

 頭の中に直接刺激を与えられたような、そんな感覚。外からじゃない、脳のど真ん中……そう、眉間の奥とかその辺り。
 突然のことに、虎杖は思わずぎゅっと目を閉じてしまう。だが直後、再び開いた視界の中に見えた場所に、心が強く引き寄せられる感覚に陥った。
 商店街の中に立ち並ぶ、なんの変哲もないただの一店舗。シャッターが閉じられているから今日は定休日か、それともテナント募集中なのか。だが虎杖の心は間違いなく『ここだ』と叫んでいた。その気持ちのまま足を進めていくと、シャッターの左隣にスタッフ用と思わしきドアがあることに気がつく。迷うことなくチャイムを押すと、昔懐かしいビーッという電子音が聞こえてきた。その電子音に返されるのは『開いてます』という機械音。いや、機械を通して聞こえてくる人の声であった。取手に手をかけ、ガチャンと下に下ろすと、その人の言葉通り、ドアは何に遮られることもなく手前へと開かれる。その先に見えた光景は、想像していたものは真逆のものであった。
 玄関に靴箱、スリッパ、廊下。どこから見ても一般家庭のそれと変わりない、普通の入り口だ。店舗のすぐ横にあるから、てっきりシャッターの向こう側と繋がっているものと思い込んでいた虎杖は、思わずその場でぽかんと立ち尽くしてしまう。このままだと知らない人の家にお邪魔してしまうことになるのではないか、それに手元には乗ってきた自転車だってある。一体どうしたものかと悩むが、その悩みは一瞬で立ち消えた。
「まぁ、玄関の中に置かせてもらえばいっか」
 唐突に浮かんだ自身の思考回路に疑問を覚えることもなく、虎杖は自転車ごと玄関へと入り、ドアの鍵をガチャリと内側から閉めた。そのまま置かれているスリッパに足を通し、廊下の奥へとまっすぐ進んでいく。そうして行き着いた先、ふたつ目のドアを開くと、そこはだだっ広いリビングに繋がっていた。

 真っ白、というのが第一印象だった。壁も床も白くて、真ん中に置かれたテーブルセットは淡いクリーム色をしている。窓から差し込む自然光が反射して少し眩しく感じるその空間の中で、ただ一箇所だけ黒い色が存在していた。
 そこは──いや、『その人』は、白いシャツに黒のスラックスを合わせ、黒々とした髪を無造作に流しながらすっくとその場に立っていた。芯の通った真っ直ぐな立ち姿に、まるでその人自身がこの空間の空気を作り出すインテリアの一部であるように思え、虎杖は一瞬だけ呼吸を止めてしまう。だが、その空気は青年が動いたことによって一瞬で霧散された。パタ、と軽く足音を立てながら近づいてきたその人が、よくよく見ると青年とは言い難い、少年に近い年齢をしていると分かったからである。とはいえ、まだ中学校にも入学していない虎杖からすれば年上であることに違いはないのだが、それでも緊張は解けるというものだ。
「どうぞ。お掛けください」
「えっ? あっ、はい!」
 テーブルの隣に立った少年は、軽く椅子を引いてから虎杖に声を掛けてくる。ドアの近くで棒立ちになっていた虎杖は、慌てて少年の正面まで駆け寄ると、ガタッと音がなるほど、勢いよく椅子へと腰を下ろした。その様子に少年はぽかんとした表情を浮かべるが、すぐに視線をふっと和らげ、向かいの席へとそっと座る。その一連の間も、少年からは軽い物音しか発されなかった。
「お越しくださりありがとうございます。呪術亭の伏黒です」
「あっ、どうも! 虎杖です!」
「ここは『何でも屋』と謳ってはおりますが、基本的に依頼を受けるか受けないかは内容によって判断しております。特に虎杖様のように、義務教育を終了していない方の場合、お受けできる内容なども限られて参ります」
「……はい!」
「適当に返事してもバレますよ」
「あ、やっぱり? でも難しい言葉って眠くなるからさぁ……てか、伏黒? さんも、子供相手なんだから普通に喋ってくれて大丈夫! っすよ!」
「いえ、一応虎杖様も依頼主なので……といっても、理解してもらえなかったら意味ないか」
「おう」
「じゃあざっくばらんに。依頼を受けるかどうかは聞いてから決める、いいな?」
「わかりやすい! わかった!」
 ぱぁ、と表情を明るくした虎杖は、だがすぐにその色を暗くする。そうして何も置かれていないテーブルの上を見つめた後、意を決したように視線を勢いよく上げた。
「あのっ、俺のクラスメートが『かみかくし』にあって! そいつのこと、探してもらえませんか!」
「……神隠し?」
 一般的でない単語に首を傾げた伏黒へ、虎杖は続けて説明をしていく。

 虎杖の通う小学校で三日前、とある事件が発生した。クラスメートである少女が一人、帰宅途中で行方不明になったのだ。少女は近所でも評判の良い優等生で、その日も友達同士、四人で一緒に帰っている途中だったのだという。全員で会話をしながらいつものルートで帰路へとついていたのだが、それは細い路地を抜けた時、突然起こった。
 少女だけが忽然と、その場から消えてしまったのだ。
 路地に入るまでは間違いなく一緒にいた。進んでいる間もみんなで会話し続けていた。だがどんな話をしたかまでは定かではなく、その会話に少女が加わっていたかどうかは覚えていない。
 つまり、彼女たちはこう証言をしているのだ。
『路地に入ってから出るまでの間に、少女だけが消えてしまった』
『まるで、神隠しにでもあったかのように』

「警察もお手上げだって言ってるらしくって。だから、その子のこと探してほしくて、ここに来たんだ」
「お前はそいつと仲が良かったのか?」
「いや、別に。少し話したことがあるくらい」
「ただのクラスメート相手に、お前がここを見つけてまで頼み込んでくる理由は何だ」
「えっ、だって知ってるやつがいなくなったんだぜ? 見つけてやりてぇじゃん」
「そんなもんか?」
「……それに、さ」
「あ?」
「いなくなったまんまで、生きてるかどうかもわかんないってさ。辛いだろ」
「……」
「その気持ち、すっげぇわかるから……だから、俺にできることがあるなら。できる限りのことはしたいんだ」
 そうして目を伏せると、虎杖はぎゅ、と口を左右に結んだ。その様子を正面から見つめながら、伏黒は深い色を宿した翡翠の瞳を瞬かせる。そうしてしばらくの沈黙の後、凛とした声でその空間を裂いた。
「わかった」
「っほ、ほんとに!?」
 伏黒の返答にわかりやすく喜色の声を上げた虎杖の両手が、勢いよくテーブルの上に叩きつけられる。「うるせぇ」と小さく眉を顰められるが、それでも嬉しいことに変わりはない。諦め半分だったのだ、少しでも希望の糸が繋がったことに、胸の奥がほっと安堵の色を宿す。
 そんな虎杖の視線をよそに、伏黒はテーブルの端、カウンター側に立てられているフォルダから一枚のクリアファイルを取り出した。透明なそこから透けて見える文字量の多さに、きっと書類か何かなのだろうと予想をつけ、虎杖はビシッと姿勢を正す。そのまま続くであろう説明を大人しく待っていると、伏黒はクリアファイルから取り出したそれを見、眉間にシワを寄せた。
「依頼という形で受けるとなると、きちんとした手順を踏んで『契約』を結ぶ必要がある。分かるな?」
「うんうん」
「とはいえお前、まだ小学生だろ? そうなると、今すぐここで契約を結ぶってことができねぇ」
「えっ!? じゃあ俺、依頼できねぇの!?」
「いや、手順を踏めば問題ない。まずはここに書いてあることを読んで──」
「えぇー、別にいいじゃん。読むのは保護者に任せちゃえば」
「いや、いいわけないでしょ……って、え?」
「ん? え、あれ?」
 伏黒と虎杖のやりとりに、突然凛とした声が割って入ってくる。その声は虎杖には聞き覚えのない、明朗とした大人の声であった。突然のことにあれ、と首を傾げていると、トントンと軽い足音がリビングに響き渡る。その音が聞こえてくる方向、入ってきたドアへと視線を向けると、ドアのすぐ隣、手すりだけついたベージュ色の階段を一段ずつ降りてくる男性の姿が目に入った。

 白を基調とした、清潔感あふれるその空間の中に現れたその男性は、言葉に表すならまさに『異質』そのものであった。最初、伏黒の姿を見たときに感じた『インテリアの一部』といった感想は一切出てこない。まるで彼はそう、この空間を支配する主人のような、そんな『異質』さである。
 足元から首元まで、顔にかけたサングラスまでも黒一色に染め上げたその人は、唯一その頭髪だけが眩いほどの白銀を宿しており、それもまた、虎杖に威圧感を与える要因となっていた。
 だが、その威圧感は男性が伏黒に向けて口を開いた瞬間にサァ、と消え去っていく。
「ちょっと、起きてて大丈夫なんですか。昨日だいぶ遅かったですよね」
「あれくらいじゃあモーマンタイ! というか、恵一人に店番任せるわけにもいかないでしょ〜。まだ仕分けもできないんだから」
「いつの話してんですか。むしろ最近はほとんど俺一人で回してますよね?」
「僕が嫌いなもの、そのいち〜! ジャジャンッ、減らず口!」
「別にこれは減らず口でもなんでもないです」
 まるで軽口の応酬とでもいうように、男性は伏黒との会話をテンポ良く進めていく。なんとも気の抜けた会話であった。だが虎杖は、その光景を見てもやはり先ほどまで感じていた違和感が拭い去れないでいた。胸の奥、どこかヒリヒリと焼けついたような感覚が残ったまま離れない。だがその原因も理由も、虎杖には全く予想がつかず、ただ二人のやり取りを見つめるしかできないでいた。
 そうして下まで降りてきた男性の手が伏黒の肩へと回されたかと思うと、ピシリ、と音を立てるように部屋の空気が固まった。サングラスから覗きみえる両の瞳が、真っ直ぐに虎杖へと向けられる。
 まるで何かを見定めるかのような強い視線に、思わず虎杖の背中がビシッと真っ直ぐに伸ばされた。まるで息が止まってしまったかのように、指先一つ動かすこともできない。

 はたしてその時間が続いたのは何秒か、何分か。その空気を破壊したのは、またもやサングラスをかけた男性、その人であった。
「うんっ、いいんじゃない? 僕も手伝うよ」
「は? アンタも来るんですか?」
「だって神隠しでしょ? さすがに恵一人だけだと心許ないんじゃないの?」
「いやまぁ、そうなんですけど……大丈夫ですか。まだ本調子じゃないんでしょう?」
「僕を誰だと思ってるのさ。余裕に決まってるでしょ」
 再びぽんぽんと交わされる会話を受け、虎杖はようやく自分の呼吸が戻ってきたことに気がついた。同時に、先ほどまで残っていた感情もどこかにすぅっと消えていった気がする。そしてようやく虎杖は、先ほどまでの空気をこの男性が意図的に作り出していたのだということに気がついた。
 ……なるほど、目の前のこの人は、あれだ。落差が激しいのだ。
「んで、契約書は?」
「まだですよ。進めようとしたところでアンタが邪魔してきたんでしょうが」
「邪魔なんてしてないじゃん! 失礼な! はぁ〜い、これが契約書ね!」
「えっ、あ、あざっす!」
 テーブルの上を滑らせて渡されたものは、やはり予想した通り、文字がずらっと並ぶ書類であった。ふりがななんて振られていない、しかも見たことのないような単語がずらりと並ぶそれを読み解けというのか。既に眠くなりそうな虎杖を前にくつくつと喉から笑うと、黒づくめの男性は人差し指で文字をなぞりながら一つずつ説明し始めた。
「この契約書はつまり、君が依頼をして、僕たちがそれを引き受けましたよっていう証。で、お金とか色々絡んでくるからね、小難しく説明してるの」

一、支払いは成功報酬です。失敗した時は一切の代金を頂きません。
二、代金は依頼完了後一ヶ月以内に振り込み、または店舗で直接お支払いください。
三、依頼内容の変更は受け付けません。その場合は新規での依頼受付となります。
四、依頼遂行によって呪術亭に害があると判明した場合、キャンセルとなる可能性があります。
五、依頼達成によって損害が発生しても、呪術亭では一切の責任を負いかねます。

「簡単に言うとこんな感じね。オーケー?」
「なぁなぁ、この三番に書いてある『内容の変更』って?」
「んー、例えば『肉じゃが作って』って依頼を受けたのに、途中で『やっぱりカレーがいい』って言われてもダメだよーってこと。その時は肉じゃがの代金もらって、カレーの代金も上乗せになるの」
「あー、なるほど。じゃあさ、この最後のは? そんがいが、発生?」
「そうねぇ。奥さんが夜逃げしたから探して! って言われて、蓋開けてみたらヤーさんの愛人になってたとか?」
「うわぁ」
「そんで、逆に奥さんの方から命を狙われることになっても、こっちは知りませんよ〜って感じ」
「なるほど、わかりやすい!」
「小学生相手になんて説明してんだよ」
 ふんふん、と頷きながら一番下の署名欄にたどり着き、虎杖はそのまま自身の名前を書こうとリュックからペンを取り出そうとする。だが、その手は男性によって制された。
「っていうのを踏まえて、まずは一度保護者に相談!」
「えぇー!」
「言っただろ、今すぐ契約は結べねぇって。こういうのは保護者の同意がいるんだよ」
「うー、子供ってめんどくさい……」
「いいじゃない子供。今のうちに堪能しなよ」
「大人ってみんなそう言うけどさー」
 言いながら不貞腐れる虎杖に、男性はふむ、と顎に手を当てて考え込む。そして思いついたと言わんばかりに「そうだ!」と高らかに声を上げた。
「じゃあ出血大サービス! 子供の君には特別価格で依頼を受け付けちゃおう!」
「えっ、マジ!?」
「マジマジ。よかったねぇ、子供で! というわけではい、恵。ここ、千円ね」
「はぁ!? 千円って、アンタ正気ですか!?」
「え、ダメ?」
「ついこの前も代金踏み倒されたばっかでしょーが! ただでさえ少ない依頼なのに、そんな適当な安価で……!」
「……もしかして恵ってば、こんな子供から一気にお金巻き上げるつもりなの!? やだぁ、こわぁ〜い!」
「本気でぶん殴りますよ……!」
「まぁ恵がなんと言おうとこれはもう決定事項! はいっ、保護者と内容確認して、問題なかったらまたここにおいで」
「え、あ、あざっす!」
 受け取った書類を目で確認し、虎杖はリュックの隙間に折れないようにと差し込んだ。そうして一度頭を下げると、不機嫌そうな様子の伏黒の隣で、男性がにっこりと手を振ってくる。
「またね、ユウジ」
 玄関に置きっぱなしにしていた自転車をコロコロと押しながら、商店街の真ん中をまっすぐ歩いていく。そしてアーケードを潜り道路へと切り替わったところで右足をあげ、サドルに両足を乗せた。

(あれ、そういえば俺、あの人たちに名前言ったっけ?)

 首を傾げながらも体重を乗せると、自転車は一気に加速していく。ふと覚えた疑問はすぐに遠くへ過
ぎ去り、虎杖はまっすぐ、自分の家への道のりを急いで行った。7036 文字
ポイパスで広告非表示!  
ポイパスで広告非表示!  
ポイパスで広告非表示!