Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    卒業

    deundeuun

    MENUキ学軸🔥🎴
    高校を卒業し、パンの専門学校を出て、実家のパン屋に戻ってきた🎴と、キ学で先生を続ける2人の話。
    初夏 梅雨の晴れ間というやつか、とてつもなく暑い日。今日はいつもよりサンドイッチがよく出る。サンドイッチ用の食パンが無いから、小さなロールパンにハムや、トマト、レタスを入れたミニサンドが定番になりつつある。妹達からのアイディアもあって、最近では自家製レモンチーズクリームを入れて冷やしたものも出している。クリームの上に小さなカットレモンを置く。見た目も涼やかで食べても美味しい。最高だな、と頷く。店の外に出ると日傘の女性とぶつかりそうになった。もう夏が来たのか。かまどパン、臨時店長はそう思った。

     パン屋はズバリ熱い。涼しいのはレジがある商品棚の周りだけ。厨房はなかなか熱い。うちは具材も手作りだから、ずっとずっと火がついてるようなもんだ。涼しく感じるのは商品を出しに行くときと、冷やすパンを冷蔵庫に入れるときだけ。熱中症も怖いから、時折水分を摂るために外に出るけど、まぁ外も暑い。だけど、実家のパン屋に戻ってきてから俺の楽しみは、この外に一瞬出ることなんだ。たまたまだけど、店の厨房出入り口とキメツ学園の職員室用出入り口が道を挟んで向かい合ってるんだ。車が1台通れるかな?くらいの狭い道。つまりまあまあ学校に近い。学生の頃は遅刻しなくて良かったけど、やたら親が見てくる学生生活は微妙なものだった。と、今日も自分の水筒を持って俺はドアを開けた。
    837

    You_sk_0424

    DONE2023/05/04に頒布した流三短編小説本「嘘みたいな春だった」より、「二時間だけのバカンス」です。
    高校時代両片思いだったのに付き合わなかった二人が、卒業後に偶然出会い燃え上がる話です。(注・二人とも彼女がいる)

    「嘘みたいな春だった」pixivサンプル→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19775328
    BOOTH通販もpixivから!
    二時間だけのバカンス やたらと重いドアを開けると、狭い部屋の真ん中にキングサイズのベッドが鎮座していて、その露骨さに思わず苦笑を浮かべた。当然、こういう施設があることも、自分が利用できることも知識としては知っていたが、どこか都市伝説のような存在で、いざ自分が今そこに居るのだと思うと軽く眩暈がした。
     そして隣に立っているのが、数年越しに会った高校の頃の部活の後輩、流川であることもいまだに信じられなかった。

     俺は高校時代、流川のことが好きだった。と言っても、それが恋なのだと受け入れたのは高校を卒業し、数年経った後だった。
     触れてみたいだとか、笑わせてみたいだとか、もっとよく知りたいだとか、人生で初めて抱いた感情だった。それ故に、高校生の自分はそういう感情を抱く相手が部活の後輩の男だと信じたくなかったのかもしれない。
    3659