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    奇跡

    1_raru3

    PASTpixiv未掲載作品。小さな奇跡だったかもしれない話とセカイの秘密の話。
    とある座長のもしも話 セカイを守るための戦いに参加すると決めた帰り道。ショーユニットの若き座長でありセカイの創造主である少年、天馬司は物思いに耽っていた。頭に浮かぶのは先ほど聞かされたセカイの裏側の話。彼の、彼らのワンダーランドのセカイを襲う怪物たちは他の、本当の想いが消え去って壊れてしまったセカイから襲ってきているのだと聞いた。もしも、自分が本当の想いをあのまま忘れ去ったままだったとしたら。あの賑やかなワンダーランドは壊れて怪物の庭になってしまっていたということだろう。
     ふと、司は今までのことを振り返る。自分達が何かひとつでもピースをとりこぼしていたとしたら、自分達とこのセカイは存続されなかった可能性があったのかもしれない。もしも、司がオーディションを受けに行ったあの日に、えむが司のことを見つけていなかったら。えむと初めて出会ったあの日、類がパフォーマンスをしていなかったら。ある意味全ての始まりであった初公演の日にネネロボが充電切れを起こさなかったら。司があの日にセカイに行かなかったら、行ったとしてもあのうさぎを笑顔にできなかったら。あの時に咲希のぬいぐるみだと気が付かなかったら。崩れる可能性のあるもしもは意外とすぐに司の頭に思い浮かんだ。
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    osatousarasara

    DOODLECURI●の粉雪ひっさしぶりに聞いたら降ってきたので頑張りました。センチメンタルきょうじくん冬の日の奇跡に遭遇するお話。時間無くて推敲あんまし出来なかったので誤字脱字あったらごめんなさい(普段もそんなしてないのでは???)
    君を呼ぶ雪「あ〜何度目やコレ?ま、ええか。よお狂児ィ、お勤め御苦労さんっと」
    チン、とグラスが擦れ合い歓声をあげる。ありがとうさんです、と短く揃えられた頭を下げつつ、相手のグラスの中身が自分のものに飛び込まないよう器用に避けた。
    初夏の日差しを日中たんまり浴びた喉に黄金色の炭酸酒はよく沁みるらしく、アニキ分の小林は嬉しそうに目を細めて飲み下していく。
    先の台詞の通り、成田狂児が灰色の虜囚から人間に戻って数日、あちらこちらで祝杯の誘いを有り難く頂戴し、いささか食傷気味になってきた時分を見計らったように、ちょっと付き合えやと誘われた先が、こじんまりとした小料理屋での二人きりの一席であった。
    言うて鉄砲玉になったわけでも誰ぞを庇ったわけでもなし、貰い事故みたいなもんで名誉もクソもあらしませんわ。と独りごちると、ええやん、みぃんな祝うてくれるんやから貰っとき、とドスドス脇を小突かれた。
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    のくたの諸々倉庫

    DONEいずれ永遠へとつながる奇跡/鍾タル人というものは不変の日常に、「いつもと同じ」であることに安堵しながらも、望む以上を与えられれば絶望する生き物だと聞いた。
    「おはよう先生、元気してる?」
    「……ああ、公子殿か。そうだな、健康状態が良好かどうか……という意味でなら、おそらく元気であるだろうよ」
    「はは、どうしたのその言い方。まるで心は元気じゃない、みたいに言ってるように聞こえるけど」
     俺の部屋を訪ねるなり、ソファにどっかりと腰を下ろした公子殿。人好きのする笑顔を浮かべ、けれど深海のように濁る瞳で──しばし思案の海に沈む俺を、「先生?」と不思議そうに呼んだ。
    「どうしたのさ、本当は体調悪いんじゃないの?」
    「……お前たちが異常だと、病的だと呼ぶ事柄について……少し考えを巡らせていた」
    「へえ、例えば?」
    「例えば……そうだな、公子殿はもし今この瞬間から、その身が不老の存在になったとしたならばどうする?」
    「難しい質問だねえ……まあそれが誰に言われたか、どんな瞬間にどのように言われたかでも信じるか信じないかは変わるね。不老かどうかなんてさ、そこそこ時間が経たないと分からないだろうし……というかそこ、不死はつけなくていいの? 1804

    XMASOG

    DOODLEお題ガチャ「大事故に遭ったものの奇跡的に軽傷で済んだわしが、セックスのやり方についての記憶“だけ”喪失していると発覚した」「……んぅ…」
    どこやここ。薬品の匂いがする。調合の途中で寝てしもたんやろか?
    「こはくっち! よかったァ、目が覚めて」
    「こはくちゃん心配したぜ…猫助けるためにあんなでかい木登ってよぉ…」
    「……。」
    「どうしたんだよこはくちゃん。まさか俺っちのことがわかんねーとか言い出すんじゃねぇだろうな? 俺はともかく、藍ちゃんのことは――」
    「こはくっち、おれたちのことわかる?」
    「……燐音はんと、ラブはん」

    どうやらわしは、事故にあったらしい。小さい猫はんが中庭の高い木に登って降りることができなくなっていたのを助けに行ったんやけど、天辺近くで猛烈な風が吹いてそのまま落ちてしまった。
    幸い、猫はんにもわしにも大きな怪我はないという。
    燐音はんはわしの具合をCrazy:Bのみんなに報告するために先に星奏館に帰ってしまった。病室はわしとラブはんの二人きりになった。
    「無事で本当によかったよォ〜…」
    「心配かけてえろうすんまへん。木登りには自信あったんやけどなぁ」
    「あんな風、いくら鍛えてても無理だよォ! もうすっっごい突風だったんだから」
    と言うラブはんの目元は赤い。
    「目ぇ赤くなっとる」
    「… 1998