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    小説

    ナンデ

    DOODLE手放したことなんてなかったよ

    前世記憶有り・現代世界転生・年齢逆転のアレルノ
    呟いたものをふわっと小説にしたふわっとした小話なのでふわっと読んでください。ふわふわ。
    千年隣に居させて欲しい、貴方の蒼と魂の ルノーの未練は永くアレインを独りにしたことだった。未練は後悔と混ざりあって執念に変わる。生きていた頃と同じように、ルノーの魂は熱く燃えて、魔法ではなく科学が蔓延り、馬ではなく低燃費軽自動車が走り回る世界に生まれる時に「今度こそ、あの方を置いていきたくない」と大層踏ん張った。その結果が、これだ。
    「ルノー……久しぶり」
    「陛下……」
    「はは、良かった。覚えていてくれたんだな。……もう陛下じゃないし、殿下でもないけど」
     いたずらっ子のように微笑む、かつての恋人は見るからに上等のスーツを着ていた。薄青のシャツに、あの紋章を思わせる濃い青のネクタイをしめている。目元には少し皺が寄っていた。慣れた着こなしと落ち着いた表情は、大人の男そのものだった。問題は、ルノーが着ているのが学生服だと言うことだ。県内でも有数の進学校の創立当初から変わらないレトロな学ランに、夏休み明けに新調したスニーカー。抱えているのは教科書が詰まったナイロンリュックで、これは高校入学の祝いに祖父母に買って貰ってから一年半と少し、大事に使っているものだった。
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    シオクマ

    INFO2025/8/17のインテックス大阪合わせの小説新刊のサンプルです。
    ※サンプルのため実際の構成と異なります。13人の書き方の目安にどうぞ。

    あたたかくなる×東京タワーRED。コラボの設定をこねくりまわしまくった、300%妄想の二次創作です。
    四宮さん、自由さん周辺のうんぬんかんぬんを、全員で解決するためにわちゃわちゃする話です。CP要素無し。
    P.238/文庫サイズカバー付き
    【新刊サンプル】親愛なる25時のサンドリヨンへ、さようなら。【第一章:澄空(すみぞら)に咲く、明日の太陽とともに。】(※全文)

     他人に手紙を出したのなど、何年ぶりだろう。
    正直受け取ってくれているかも、まともに読まれるかもわからない。捨てられている可能性だってある。しかし、今夜中は待つと決めた。
    僕から一方的に押し付けた、この待ち合わせ場所で。
     次第に初夏の気配を孕み始めた昼間の陽気も、太陽が沈んでしまえば途端になりを潜める。地上二百五十メートルにある東京タワーのトップデッキは寒いくらいだ。
     涼しい夜風に、僕のアイボリーの外套が揺れる。
     熱帯夜は、未だ遠い。
    「──怪盗リコリス」
     滑舌の良い、爽やかな声が僕の背を軽く叩いた。今の彼の声には、これまで幾度となく追われてきた際に投げつけられたような棘はない。この穏やかな声音が生来のものなのだろう。
    20603