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    屋敷

    ce_ss111

    DONEフィガロと精霊と北の国のおはなし
    フィガロ中心  小説


    *双子の屋敷を出たあと世界征服時代よりずっと昔
    *北に居を構えたフィガロのなんでもない朝のひとときをほんの少しだけ覗いてみました
    *CPなしで名前のあるキャラの登場があります


    *フィガロが森を散策したり、箒で空を飛んだり、森や泉を訪れるなんでもない日常のひとときを覗いてみました





     北の国の雪深い森に、目覚めの光が密やかに語りかける。宵闇の空の縁が仄かに白く色付く時、ゆっくりと光をその身に馴染ませるように、夜明けが闇を溶かし始めた。森の木々は真白な衣を纏い、時折吹き荒ぶ冷たい風に、その身をゆらゆらと燻らせている。
     屋根を滑る雪の音色が、静かな朝に歌うように響き渡る。まもなく聞こえたどさりという雪の落下音に、んぅ、と掠れた声を漏らしながら、フィガロはふんわりと膨らんだ羽根布団の中で身を捩った。
    「……、」
     この氷風吹き渡る季節には、この地を燦々と照らすあたたかな太陽が登るわけではない。厚く重たい雲が覆う空の向こう側に、音もなく静かで冷たく濡れた朝がゆっくりと登ってくる。じっくりと白んでいく空は、やがて、世界を乳白色に染め上げていく。
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    norarikurari031

    DONEデザワ黄色本の初期設定チャラ南城×短髪屋敷にやられて書きました。あんまり本編との差が出なかった気がするんですが、楽しんでいただければ幸いです。
    内容的には「本命(短髪屋敷)の気を引きたくて女の話ばっかするけどいざ短髪屋敷がそういう気配を出すと臆病になっちゃう南城×そんな南城の本命が自分なの知ってるけど色々と癪だから踏み出さずに南城の理性崩壊をじりじり待ってる短髪屋敷」です。
    始まりの夜(デザワ黄色本ジョーチェリ)「流石に平手打ちはねーよなぁ。そもそも付き合ってるわけでもねーのにさ」
    「色っぽくて脚綺麗で、よかったんだけどなぁ。一回きりでお別れになっちまった」
    「出勤前に顔に紅葉模様、マジでかっこつかねーよな。スタッフも呆れてたし、本当に災難だったわ」
     生返事をしながら、今夜はタイミングが悪かったなとため息が出る。複数の依頼の納期に文芸誌に連載中のコラムの締切が同じ週内に被った先週は忙しく、食事も出来合いの総菜や弁当で済ませていたせいで、いい加減舌が物足りなくて。
     ほぼ二十日ぶりに閉店後の店を訪れた俺を、幼馴染は嬉しそうに笑って迎え入れた。上等な白とアンティパスト数品を並べたカウンターに、エプロンを外し、コックコートのボタンを上から三つ外して勝手に並んで座ると、聞いてもいないのに最近バーで出会ってお持ち帰りした「尻は軽いくせに、独占欲がとプライドが強い」女への苦言を並べる。男女問わず交友関係だけはやたら広い男だ。他に聞かせる相手などいくらでもいるだろうに。
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    mkm_ao

    MENU🍳「おまえとふたりで朝食を」A5/30ページ 2022/3/27発行
    掌編連作ごはん本。
    9話後、南城が桜屋敷邸に泊まり込みで薫の日常生活を手伝っている設定。
    両片想い→告白&両想いに至るまで。

    自家通販 https://mkmatome.booth.pm/items/3705681
    おまえとふたりで朝食を憂愁のカルボナーラ「来週には脚のギプスが外れることになった」
    「おお、よかったじゃねぇか」
     ランチ営業が終わるタイミングでシア・ラ・ルーチェに立ち寄った薫が診察の結果を告げると、虎次郎は破顔した。
    「リハビリは必要だがな」
     もう、おまえの手を借りずとも生活に支障はない——そう伝えれば、今度は眉間にシワを刻む。
    「うれしくないのか?」
     薫の指摘に虎次郎は「あ〜……」と相槌ともつかない声を漏らして厨房へと入り、「パスタでいいかぁ?」と間延びした口調で訊いてきた。
    「任せる」
     愛抱夢にボードで殴打されて負傷したあと、薫は一時的に実家に戻るか、手伝いを雇って自宅での生活を続けるかの選択を迫られた。そこへ「俺が手伝うよ」と虎次郎が名乗りを上げたのだ。確かに虎次郎ならば、薫を抱き上げて介助できる腕力があるし、気心も知れている。何より、美味い飯にありつけることが約束されているではないか。薫に否やはなかった。
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    yuukei213648

    DONE6/18「謎めく厄災のミステリオ」にて展示の小説。
    ラスティカとファウストが西の国の貴族の屋敷に「夜になるとひとりでに鳴り出すフルート」という異変を解決しに行く話。
    パス外しました!
    カメリアローズの物語 夜になると、一人でに鳴り出すフルートがあるのだという。
     その調査のため、西の国のとある貴族の屋敷に向かうことになったのは、ラスティカとファウストだった。賢者は申し訳なさそうに、近頃依頼が立て込んでいて、手が空いている魔法使いがこの二人だけだったと言った。けれど、音楽に精通しており、西の国の貴族の生まれであるラスティカと、自身の家業である呪いだけでなく様々な分野の魔法に詳しいファウストならば、きっと異変を解決してくれるはずだとも言った。ラスティカとしては賢者にそう言われれば悪い気はせず、そのフルートが鳴らす音色にも興味を惹かれ、お気に入りの東の魔法使いであるファウストと一緒の任務だと聞いて喜んだ。ファウストはといえば、この先の苦労を思ってため息を吐いたし西の国の貴族には嫌な思いをさせられた事があったので渋い顔をしたが、他ならぬ賢者の頼みであるので引き受けた。同年代のラスティカと話が合うわけではなかったが、西の魔法使いとはいえ一対一ならば比較的なんとかなるものなのだ。
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