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    彼岸花

    桜餅ごめ子

    DONE #晩夏_魔術師とあの子は
    二次創作ホラー企画「晩夏、魔術師とあの子は」( https://togetter.com/li/2209738 )用作品です。
    「ストーリー5 彼岸花の川」を使用。
    企画終了までもう少し。最後までお楽しみ頂ければ幸いです!
    尚この小説自体は100%私の性癖(ヘケッッッ!!!!!)で構成されています。
    この世で一番怖いのは 目を開くと、そこは知らない部屋だった。ボクはそこで、見覚えのないベッドに寝かされていた。
    「……?」
     しかし、ボクは少しも驚かなかった。それどころか、恐怖や警戒、疑念といった、本来なら発生するはずの感情が全くわかなかった。
     ベッドの中から周囲を見渡す。やはりどこもかしこも記憶にない。窓の外に広がる彼岸花畑も、遠くで流れるメロディも、部屋に漂う甘い匂いも、何もかも。異常事態であるはずなのに、心は警報の一つも鳴らさない。だが、ボクの論理的な思考が叫んだ。この状況はおかしい、ここから逃げ出さなければならない、と。
     自分でこの部屋に来た覚えはない。ならば誰かに連れてこられたのだろう。一体誰が? 何のために? 分からない。推理しようにも手がかりがない。まずはこの甘い匂いの発生源を辿り、少しでも情報を得よう。ボクはそう思い至ると、ベッドから下りた。
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    akiajisigh

    DONE2023年11月紡ぎ松のお題…漸く上がりました。
    先日上げた冒頭も、後半に合わせて微修正。

    内容無いのにこの文字数。
    雰囲気を味わっていただければ。

    ほぼ描写ないですが白ランカラ松×白ラン一松です。
    昭和初期くらいですが、時代も彼岸花についてもにわかググり知識で書いてます。
    参考にされませぬ様。
    曼珠沙華 幼い頃、約束をした。
    「この火の花がさくころ、かならずむかえに行く」
     遠い田舎の少年と別れて十余年。
     その日、真っ直ぐな目で誓った少年は今——

     隣に住んでいる。



    「お前もよくやるねぇ一松ぅ」
    「…」
     ニヤニヤと、完全に揶揄う顔のおそ松兄さんをギロリと睨んでも、効果はないし現状も変わらない。
     現状。
     この捻れ拗れた現状を打破する方法を、そもそもおれは知らない。だから『よくやる』も何もないのだ。続けるしか出来ない。他に良案があるなら教えて欲しい。ため息をついて、これまでに何度も辿った記憶をもう一度振り返る。



     事の発端は、十年ほど前。小学校就学の前年にまで遡る。どうにも気弱で兄の後ろに隠れてばかりのおれを心配した両親は、自立心を養う為に一年ほど、遠戚の家へ預けた。生活に不自由は全く無かったが、そんな事情など理解できない五歳児には霹靂だった。元の家からはきっと捨てられたのだと思い込んで塞ぎ込み、周囲に馴染む事など到底できなかった。
    12201