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    盗賊

    時緒🍴自家通販実施中

    TRAININGお題:「昔話」「リラックス」「見惚れる」
    盗賊団の伝説を思い出すネロが、ブラッドリーとの初めてのキスを思い出すお話です。軽いキス描写があります。
    かつての瞳 ブラッドは酔うと時折、本当に時折昔話をする。
     普段はそんな様子など見せないくせに、高慢ちきな貴族さまから後妻を奪った話だとか(彼女はただ可哀想な女ではなく女傑だったようで、しばらく死の盗賊団の女神になり、北の国の芸術家のミューズになった)、これもやはり領民のことを考えない領主から土地を奪い、追いやった後等しく土地を分配したことなど、今でも死の盗賊団の伝説のうちでも語り草になっている話を、ブラッドは酒を飲みながらした。俺はそれを聞きながら、昔の話をするなんて老いている証拠かなんて思ったりして、けれど自分も同じように貴族から奪った後妻に作ってやった料理の話(彼女は貧しい村の出で、豆のスープが結局は一番うまいと言っていた)や、やっと手に入れた土地をどう扱っていいのか分からない領民に、豆の撒き方を教えてやった話などを思い出していたのだから、同じようなものなのだろう。そしてそういう話の後には、決まって初めて俺とブラッドがキスをした時の話になる。それは決まりきったルーティーンみたいなものだった。
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    おりや🎤

    DONE #ひふ幻ドロライ
    お題「怪談」

    ⚠️ひふ幻/SS/全年齢

    📚と二人で身を寄せ合って生きてきた🥂。いつものように夜のひとときを過ごしていると、凄まじい轟音と共に何かが砂漠に落ちてきて…。

    ⚠️ヒプクエ要素を含む、独自St☆llaパロ
    ※話術師→盗賊ですが、ゆくゆくは、しっかり話術師×盗賊になる二人です。
    君を連れ去る銀色の「——乾いた砂漠を吹き抜けていく、ヒュオオ、ヒュオオという寂しげな音に気を取られていると、不意に、背後からびちゃりと濡れた音がした」
     水晶の街を流れる清流のように涼しげなゲンタロウの声が、普段よりも低く、重々しげに言葉を紡いでいく。
     見渡す限りの砂、砂、砂。そんな砂漠の一角にある岩山の洞穴で、俺は寝台代わりに敷布をかけた細長い物入れに、ごろりと横になっていた。
     首元で一まとめに結んだ金の髪は、あと少しで毛先が鎖骨に届く。近々、はさみを入れて整えなきゃな。
     仕事用の貴族じみた上質な外套や、フリルの飾り袖がついたシャツなどはすべて、寝台を兼ねたこの物入れの中に仕舞ってある。
     代わりに身につけているのは、ねぐら用の安価な服だ。麻布で作られた、だぼっとしたシルエットの長袖シャツとズボンを身にまとい、ゲンタロウと二人きりの静かな時間を堪能している。
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    niwa

    DONE盗賊団時代のブラネロ。他にも付け足してインテの本になります。
    悪党にまつわる吟遊詩さあみなさまお待ちかね。お話には必ず悪役が必要です。
    今からお話ししますのは北の大盗賊団。
    北の宝という宝を盗むだけでは飽き足らず、
    東の城から上等の細工品を、西の名高い美女を、
    中央に集まる東西南北の交易品のことごとく、奪うはやさは疾風のよう。
    南の海風も彼らの凍てつく心を溶かすことは叶わない。
    悪逆非道の限りを尽くす彼らこそ
    泣く子も黙る死の盗賊団、
    首領は名高きブラッドリー・ベイン、
    その名を聴いたら震えて眠れと申します……

    スカーラバの市へ行くのかい
    パセリ、セージ、ローズマリーにタイム
    そこに住む人によろしく言ってくれ
    かつて愛した人なんだ

    これは中央の国におすまいの賢者様のふるさとの歌です。
    古い民謡だそうですよ。美しく悲しいしらべでしょう。みなさんも一度は耳にしたことがあるのでは? あっというまに流行りましたからね。特に西の国では演奏するたびに大喝采、老いも若きもそらんじているという噂。この歌は遠い北の国まで伝わって、死の盗賊団、その恐ろしい頭目、その片腕、熊の生き胆や赤子の血が好物という、悪名高き血の料理人、ネロ・ターナー。その血まみれの唇にも、このうつくしいしらべは乗ったのです。
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