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    目覚め

    ParAI_t

    DONE「オトメ勇者版週末創作一本勝負」の参加作品です。テーマは第一回の「勇者の目覚め」と「笑顔」のつもり。
    本当はストレートにお題を解釈したメイン寄りの話にしようと思ってたんですけど、「6月だしジューンブライドネタは入れたいよな…」とか欲を出し変則的な話になりました。まあ、今月またそんな感じのテーマ来たらもっかい書けるしいいよねって←
    タイトルに指輪と雄弁をかけたつもりはあるけど、指輪でてきてないな…。
    はじまりは銀色な / クロアス 祭壇へと長く伸びる赤い絨毯を、アステルは歩いていた。天井のステンドグラスから注ぐ光は、淡い彩りで床に影を落としている。一歩、また一歩とそちらへ近づいていけば、永遠の愛を誓う相手の様子がはっきりと見えた。
     着慣れない裾の長いドレスやこれからの一連の儀式に緊張しているアステルへ、『大丈夫だ』と言うように優しい眼差しが向けられる。とくんと胸が高鳴ると、張りつめていた気持ちは身体の奥から沸き上がる柔らかで温かい想いに解されていった。足が進むごとに、これから始まる未来への喜びと幸福が満ちていく。祭壇の前に着く頃には、頬が色づく理由は希望に溢れたものに変わっていた。そのまま、いつの間にか諳んじる事ができるようになった宣誓を終え、隣の男性と向かい合う。
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    おかゆ

    DOODLE夜中に目覚めるグレイのビリグレ 焦点の合わない視界に、ぼんやりとした灯りと横顔が映る。これが夢なのか現実なのか判断がつかないまま、そこにいるであろう彼の名を呼ぶ。
    「ビリーくん……」
     ほとんどささやきのような声なのに、周りの静寂のせいかいやに響いた。当然彼も聞き留めて、そっとこちらに顔を向ける。
    「……グレイ? 起きてるの?」
     寝言かどうか判断しかねているのだろう。その声は先ほどの自分の呼びかけに負けず劣らずさやかなもの。しかしどんなに小さくても、愛しい人に名を呼ばれれば心臓はとくんと脈打つらしい。
    「ビリーくんこそ……どうかしたの? お仕事?」
     眠りにつく時には隣にいたはずのビリーは今、ベッド横のデスクでノートPCを開いている。目覚めた時にもあると勝手に思っていた温もりが無いことが寂しいことなのだと、またひとつ彼に教わった。
    「ん、ちょっとネ。急ぎで確認しなきゃいけないことができて……。ごめん、起こしちゃったよね」
     暗闇に慣れてきた眼がビリーの表情を捉える。ゴーグル越しでない大きな瞳がこちらを見つめている。暗いから当然といえば当然だ。
     まだモニターの灯りは少し眩しくて、ブランケットを目元まで引き上げる。 1439

    takami180

    PROGRESSたぶん長編になる曦澄その6
    兄上が目覚める話
     粥をひとさじすくう。
     それを口に運ぶ。
     米の甘味が舌を包む。
     藍曦臣は粥の器をまじまじと見つめた。おいしかった。久しぶりに粥をおいしいと感じた。
     添えられた胡瓜も食べられた。しゃりしゃりとしている。
     包子も口にできた。蓮の実の包子は初めてだった。さすがに量が多くて大変だったが、どうにか食べ切りたいと頑張った。
     食事を終えて、藍曦臣は卓子の上、空の器をながめた。
     たった三日で人はこれほど変わるものなのだろうか。
     首を傾げて、ふと気が付いた。
     そういえば、阿瑶は。
     あれほど、いつも共にあった金光瑶の影がない。目をつむっても、耳を澄ませても、彼の気配は戻ってこない。
     騒々しい町の音だけが藍曦臣を取り巻いている。
    「阿瑶」
     返事はない。当然である。
     藍曦臣は静かに涙を落とした。
     失ったのだ。
     ようやく、彼を。
    「阿瑶……」
     幻影はなく、声も浮かばず、思い出せるのはかつての日々だけである。
     二人で茶を楽しんだ。花を見た。幼かった金宗主をあやしたこともあった。
     そこに江宗主がいることも多かった。
     今やありありと目に浮かぶのは彼の顔だ。
     喜怒哀楽、感情を素直 2851

    時雨子

    DONE遡って見てくれた方がいらしたのかしら~ありがとうございます~
    もちろんいつも見に来てくれてる?方々?も!

    サントラの「ガルグ=マク大修道院の日常」をアラーム設定にしてから目覚めが最高なんですが二度寝はします(いつもそう)
    春眠暁を覚えず…あと5年寝たい。
    眠いから睡眠の話とか安直なネタ出しよくするけど内容は全然実体験を直接ネタにしてない

    修道院の鐘の音が聞こえて、どれくらいの時間が経っただろうか。
    眩しい。ほとんど動かせない頭の角度を僅かに変えて目線を動かすと、修道院の石造りの窓から光が差し込んでいるのが目の端に写った。
    ああ、微かに階下からの喧噪も聞こえる。下働きとして働いてくれている者たちはもちろん、軍の皆も起きだしている頃だろう。保護した戦災孤児の跳ねるような高い声に、修道士達の静かな話し声、せわしない足音と、見回りをする飛竜や天馬の羽ばたく音。今日の食堂の当番は誰なのだろうか。炊事も、洗濯も、掃除も。その他にも様々な雑務の工面を先生やセテス殿を取り纏めとしてやってくれているのだろう。
    俺も、先生やギュスタヴに殆ど丸投げしていた軍の管理やら資金やらの仕事を引き取ってやらねばならない。
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    chachasuke550

    DONEイッサクンが三ヵ月間目覚めない話発作が起きた。いつもより酷かった。
    普段薬漬けにしてあるのは発作を軽減し、頻度を減らすのがほとんどの目的だった。
    嘔吐による吐血、呼吸困難...今回は痙攣まで起きてしまった。
    狭い臨床室のベッド、イッサはチューブや線に繋がれて横になっていた。呼吸はまだ戻らず、口にはチューブが突っ込まれている。生かされている、まさにそんな感じだった。傍らにいたチッチは一息ついて、あらかじめ部屋にあった丸椅子に座る。パソコンを眺め、今回の記録を取る。油断はできない、まだ何がどうなるかわからないと自分に喝を入れた。
    ....
    一週間後。呼吸もある程度戻り、酸素マスクに付け替えられた。衛生のため、服を取り替えてやった。チッチはほとんどの時間をそこふぇすごしていた。意識が戻って、いつもみたいに大丈夫だと笑ってくれるのを待っていた。布団の中の手を握った。暖かい、まだ生きていると安心した。
    ....
    一ヵ月後。普段は二週間程度で意識はある程度戻る。しかし、一ヵ月もあると流石に心配になる。何度も瞳孔を確認して、生きていることを確かめていた。機器が表示するメーターもそれを示していたが、チッチは焦りを感じていた。もしかし 1323