Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    しんした

    PROGRESS8月東京の七灰原稿進捗①です。
    灰原くんを亡くしたあとの七海が、灰原くんが残した言葉を読み返すなかで灰原くんへの想いと向き合うお話。ほぼ七海の独白・回想ですがハピエンです。
    でも七海がひとりなので書いていて辛いので進捗upしました。

    推敲はしていないのでおかしな部分はスルーしていただけると助かります。
    8月七灰原稿進捗①一.Re:Re:Re:Re:無題



    二年の夏。
    残暑の厳しい、いつもと変わらない何でもない八月のある日。
    灰原が、死んだ。





    開けっ放しだった窓から吹き込む風の肌寒さに、七海は手元の文庫本から顔を上げた。
    今日は午後から自習だった。自習といっても課題は出るのだが、期限までに提出すればどこで何をしていてもいいと言われたので、さっさとプリントを片付けて寮の自室へ戻っていた。
    文庫本に栞を挟んだ七海は椅子から立ち上がって、ふわりとカーテンがなびく窓際へと足を向けた。
    どうやら、しばらく積んだままでいた本の世界にすっかり浸っていたらしく、カーテンの向こうの空は随分と陽が傾いていた。昼間の日向にいるとまだ少し汗ばむ時もあるが、季節は着々と歩みを進めていたらしい。太陽という熱源を失いつつある秋の夕暮れ時の空気が、ワイシャツの薄い生地を通り抜けて身体を冷やしていく。
    5639

    mmmmmmochi

    DONEホラー/台牧

    ◇ 今回のレギュレーション
    1.文字数
    5000文字

    2.言わせる言葉
    「怖くなんてない」

    3.登場させる小物
    懐中電灯🔦

    4.仕草、行動
    驚いて尻餅をつく
    コール、コール、コール 電話が鳴る

     ウルフウッドの暮らしに影がさす時、それは必ず訪れる。



     ウルフウッドがひとりの時を見計らうように電話が鳴る。
     聞きなれたコール音がたわんだように、多方向から強烈な圧力をかけ無理やり歪ませたように聞こえたらそれが合図だ。
     鳴り響く歪なコール音は今すぐ逃げ出したいような、逆に音の元に走りたくなるような焦燥感をウルフウッドに与えた。
     始めは無視しようと頑張るのだが、どうにも我慢できなくて受話器を取る。
     そんなことの繰り返しだ。
     この電話について誰かに話したことがない。話したかった相手とは電話を取った後、必ず会えなくなるためだ。
     

     ウルフウッドはしがないサラリーマンだ。主に大きな工場や病院向けの薬品を取り扱っている、いわゆるBtoBの企業である。それなりのシェアを占めているため業界の人であれば社名を知っている人も多いだろう。それ以外にも、これは社にとってみれば大変不本意なことであろうがブラック企業ということでも有名であった。
    6581

    さじろうろん

    DONEホラー

    ◇ 今回のレギュレーション
    1.文字数
    5000文字(できなかったごめん)

    2.言わせる言葉
    「怖くなんてない」

    3.登場させる小物
    懐中電灯🔦

    4.仕草、行動
    驚いて尻餅をつく
    ホラー 台葬現パロ 葬小学生なので注意⚠️…………

     近所の寺で鬼ごっこをしていた日のことだった。
     集まる子どもたちの顔ぶれはいつもと同じで、放課後から夕方過ぎの鐘が鳴るまでの間、彼らは気兼ねなく戯れている。
     鐘が鳴ると、子どもたちは一人、また一人と帰宅していく。
     引っ越してきたばかりのニコはそれが少し不満であり、寂しくあった。境内の砂利の中にぽつんと立つ大きな石にまたがって一人空を見上げていた。
     ニコの両親は帰りが遅いから鐘が鳴った時刻に帰宅してもまだ家の中はがらんどうだ。まだ慣れない新しい我が家は子どもには少々息詰まるところがあった。
     自宅が顕著なのかもしれないけれど、この国の家というのはどうにも部屋がひとつひとつ狭くて壁と天井が近く感じる。木で出来ているからだろうか、時折人がいないのにぎしりとどこかでなにかが軋むのも気味が悪い。一人きりでなければ気にはならないのだけど、両親が帰ってくるまでの小一時間がニコにはここのところあまり好きな時間ではなくなっていた。
    11475