TF
流菜🍇🐥
DOODLETF主ルチ。TF主くんとルチが死者の日の供養をする話。死者の日 ハロウィンが終わると、町は一気に日常へと戻っていく。浮かれた人々は仮装を解き、町にはごみの山だけが残るのだ。町を綺麗にするボランティアの姿と、間近に迫るクリスマスを宣伝する広告が、交互にテレビから流れてくる。人々はイベントさえ楽しめれば、本来の目的などどうでもいいのだろう。
しかし、僕とルチアーノにとっては、ここからがイベントの本番だった。ハロウィンのお祭り騒ぎが終わると、次には死者の日がやって来る。死者の模造品であるルチアーノにとって、この日は何よりも重要な一日らしい。旧モーメントの前に向かっては、悲劇の犠牲者に祈りを捧げていた。
「ねえ、今年も、モーメントの前に行くんだよね」
死者の日が間近に迫った朝、僕がそう尋ねると、ルチアーノはゆっくりと顔を上げた。僕の口から出た言葉に驚いたのか、大きく目を広げている。すぐにいつもの表情に戻ると、淡々とした声で言葉を続けた。
4060しかし、僕とルチアーノにとっては、ここからがイベントの本番だった。ハロウィンのお祭り騒ぎが終わると、次には死者の日がやって来る。死者の模造品であるルチアーノにとって、この日は何よりも重要な一日らしい。旧モーメントの前に向かっては、悲劇の犠牲者に祈りを捧げていた。
「ねえ、今年も、モーメントの前に行くんだよね」
死者の日が間近に迫った朝、僕がそう尋ねると、ルチアーノはゆっくりと顔を上げた。僕の口から出た言葉に驚いたのか、大きく目を広げている。すぐにいつもの表情に戻ると、淡々とした声で言葉を続けた。
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DOODLETF主ルチ。ハロウィンの夜に繁華街に行く2人の話。ハロウィン 季節が秋へと移り始め、半袖では肌寒くなってくると、ハロウィンの季節がやってくる。町はかぼちゃやダークなモチーフで溢れ、至るところでイベントの広告を見かけるようになるのだ。雑貨屋は部屋に飾るアイテムを前面に並べ、スーパーはオレンジや紫に彩られたファミリーパックのお菓子を並べる。どこもかしこもハロウィン一色だから、嫌でも季節の変化を意識させられた。
そんな季節が来ると、僕はどうしても考えてしまうのだ。今年のハロウィンは、どんなことをして過ごそうか、と。せっかくルチアーノと一緒にいられるのだから、なにもせずに終わらせてしまうのは勿体ない。でも、子供らしい仮装やイベントの参加を提示すると、彼は話も聞かずに拒絶するのだ。
7966そんな季節が来ると、僕はどうしても考えてしまうのだ。今年のハロウィンは、どんなことをして過ごそうか、と。せっかくルチアーノと一緒にいられるのだから、なにもせずに終わらせてしまうのは勿体ない。でも、子供らしい仮装やイベントの参加を提示すると、彼は話も聞かずに拒絶するのだ。
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DOODLETF主ルチ。TF主くんが家に出没したGをルチに退治してもらう話。G 洗面所から出ると、僕は真っ直ぐにキッチンへと向かった。冷蔵庫の扉を開けて、中から冷やした麦茶を取り出す。コップに注いで口に運ぶと、水分が身体の中を満たしていった。しばらくの間その場に佇むと、ゆっくりと麦茶のボトルを手に取る。
冷蔵庫の扉を開けると、ボトルを同じ位置に戻した。少し考えてから、マーガリンを片手に食品棚へと歩み寄る。厚切りの食パンを手に取ると、表面にマーガリンを塗り込んでいく。オーブントースターの扉を開けると、三分に設定してスイッチを入れた。
踵を返して背後を振り向くと、再び冷蔵庫の扉を開ける。マーガリンを中に戻すと、ついでにベーコンと卵を取り出した。トースターが焼き上がる前に、食器棚からお皿を取り出すことも忘れない。全てを机の上に置くと、棚からフライパンを取り出した。
4094冷蔵庫の扉を開けると、ボトルを同じ位置に戻した。少し考えてから、マーガリンを片手に食品棚へと歩み寄る。厚切りの食パンを手に取ると、表面にマーガリンを塗り込んでいく。オーブントースターの扉を開けると、三分に設定してスイッチを入れた。
踵を返して背後を振り向くと、再び冷蔵庫の扉を開ける。マーガリンを中に戻すと、ついでにベーコンと卵を取り出した。トースターが焼き上がる前に、食器棚からお皿を取り出すことも忘れない。全てを机の上に置くと、棚からフライパンを取り出した。
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DOODLETF主ルチ。ルチがTF主くんの本棚にあったミステリー小説を持ち出す話。ミステリー お風呂から上がると、僕は真っ直ぐに自室へと向かう。先に入浴を済ませたルチアーノが、ベッドの上で僕を待っているのだ。『待っている』などという言葉を使っているが、そこに色っぽい意図は少しもない。いつの間にか、僕の部屋で夜更けまでの時を過ごすことが、日々の習慣になっていたのだ。
室内に足を踏み入れると、僕はベッドの上に視線を向ける。子供用の寝間着に身を包んだルチアーノが、ど真ん中に寝転がっていた。僕の家の僕の部屋だというのに、遠慮する素振りは微塵も感じられない。彼らしいと言えば彼らしいが、これも心を許してくれている証拠なのだろう。
彼はうつ伏せに寝そべったまま、手元に何かを広げていた。真っ直ぐに視線を向けるたまま、一定の間隔で手を動かしている。普段なら雑誌やゲームを手にしているのだが、今日はそのどちらでもないらしい。不思議に思って近づいてみると、その正体はすぐに分かった。
4688室内に足を踏み入れると、僕はベッドの上に視線を向ける。子供用の寝間着に身を包んだルチアーノが、ど真ん中に寝転がっていた。僕の家の僕の部屋だというのに、遠慮する素振りは微塵も感じられない。彼らしいと言えば彼らしいが、これも心を許してくれている証拠なのだろう。
彼はうつ伏せに寝そべったまま、手元に何かを広げていた。真っ直ぐに視線を向けるたまま、一定の間隔で手を動かしている。普段なら雑誌やゲームを手にしているのだが、今日はそのどちらでもないらしい。不思議に思って近づいてみると、その正体はすぐに分かった。
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DOODLETF主ルチ。ルチがTF主くんの服をもらってぬいぐるみの服を作る話。ひとつ前の話の続きです。ぬい服 モンスターの起こした鋭い旋風が、正面から全身を覆いつくした。衝撃に耐えきれなくて、僕はその場に尻餅をつく。風の勢いはまだ止まらずに、身体を押し付けながら大地を滑らせていった。砂の敷き詰められたグラウンドに擦り付けられて、腕に仄かな熱を感じる。衝撃で細かい砂が巻き上げられて、視界が茶色に染まっていった。
吹き付ける風が収まると、僕はなんとか身体を起こした。ゆっくりと手足を動かして、怪我をしていないかを確かめる。打ち付けられた腕とお尻が痛むが、目立った外傷はないらしい。念のために擦り付けられた腕を見るが、服が少し破れただけだった。
「僕の勝ちだ。……全く、人間って言うのはだらしないな。もっと衝撃に慣れないと、これからの戦いにはついていけないぜ」
5320吹き付ける風が収まると、僕はなんとか身体を起こした。ゆっくりと手足を動かして、怪我をしていないかを確かめる。打ち付けられた腕とお尻が痛むが、目立った外傷はないらしい。念のために擦り付けられた腕を見るが、服が少し破れただけだった。
「僕の勝ちだ。……全く、人間って言うのはだらしないな。もっと衝撃に慣れないと、これからの戦いにはついていけないぜ」
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DOODLETF主ルチ。TF主くんがルチにペアのテディベアを贈る話。ペアベア その日、僕は悩んでいた。
ルチアーノに贈るためのアイテムが、何一つ思い付かないのである。僕たちは付き合いが長いから、既に大抵のアイテムを贈ってしまっていた。こうなれば、手頃な価格のギフト商品という手段は選べない。だからといって無難な消耗品を渡すと、ルチアーノは唇を尖らせるのだ。
「またカードプロテクターかよ。こんなものを山ほどもらっても、僕には使うデッキがないだろ。結局君のデッキに使うことになるんだから、何も意味が無いじゃないか」
確かに、言われてみればそうなのだ。ルチアーノは娯楽や競技としてデュエルをしているわけではないから、デッキをひとつしか持っていないのである。デュエリストにとってはいくつあっても足りない周辺アイテムも、彼にとっては不用品でしかない。だからといって、食べ物にシフトしても、同じものを何度も贈ったら飽きられてしまう。
4093ルチアーノに贈るためのアイテムが、何一つ思い付かないのである。僕たちは付き合いが長いから、既に大抵のアイテムを贈ってしまっていた。こうなれば、手頃な価格のギフト商品という手段は選べない。だからといって無難な消耗品を渡すと、ルチアーノは唇を尖らせるのだ。
「またカードプロテクターかよ。こんなものを山ほどもらっても、僕には使うデッキがないだろ。結局君のデッキに使うことになるんだから、何も意味が無いじゃないか」
確かに、言われてみればそうなのだ。ルチアーノは娯楽や競技としてデュエルをしているわけではないから、デッキをひとつしか持っていないのである。デュエリストにとってはいくつあっても足りない周辺アイテムも、彼にとっては不用品でしかない。だからといって、食べ物にシフトしても、同じものを何度も贈ったら飽きられてしまう。
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DOODLETF主ルチ。都市伝説番組がイリアステルの的外れな考察をしている様子をTF主くんとルチが見てる話。都市伝説 椅子に腰を下ろし、温めたばかりのお弁当をつついていると、部屋の隅に光が走った。淡い金色の粒子が舞い散り、ひとつの人影を作り出していく。既に日常茶飯事となっている、ルチアーノの自宅訪問である。一瞬だけそちらに視線を向けると、僕は再び食事に戻った。
リビングに足を踏み入れたルチアーノは、真っ直ぐにソファへと向かった。重い音を立てて腰を下ろすと、挨拶もせずにテレビのリモコンに手を伸ばす。
「少し、テレビを借りるぜ」
「おかえり。いいけど、どうかしたの?」
含むような発言が気になって、僕は彼に問いかける。普段の彼であれば、断りなど入れずにリモコンに手を伸ばすのだ。わざわざ口にすると言うことは、僕に知らせたい何かがあるのだろう。その予測は正しかったようで、彼は嬉々として語り始めた。
4540リビングに足を踏み入れたルチアーノは、真っ直ぐにソファへと向かった。重い音を立てて腰を下ろすと、挨拶もせずにテレビのリモコンに手を伸ばす。
「少し、テレビを借りるぜ」
「おかえり。いいけど、どうかしたの?」
含むような発言が気になって、僕は彼に問いかける。普段の彼であれば、断りなど入れずにリモコンに手を伸ばすのだ。わざわざ口にすると言うことは、僕に知らせたい何かがあるのだろう。その予測は正しかったようで、彼は嬉々として語り始めた。
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DOODLETF主ルチ。TF主くんとルチがトークショーのために人混みに突撃する話。お互いが転びかけた時に支えるシチュが書きたくて書き始めたものです。トークショー 休日の繁華街は、今日も人で溢れていた。歩道は行き交う人々で埋め尽くされ、通り抜けられそうな隙間はない。前からも後ろからも人が来るから、一部は車道へとはみ出していた。隣では車道を走る何台もの車が、速度を落とすことなく前進している。風圧で歩行者の髪が揺れているのが、歩道にいる僕にでも分かるくらいだ。
そんな人の群れを掻き分けながら、僕は何とか前へと進む。少し離れたところに、ルチアーノの真っ赤な髪が見えた。しっかりと繋いだ二本の腕は、限界まで伸ばされて張り詰めている。彼は時折こっちを振り返ると、彼は催促するように腕を引いた。
彼の機嫌を損ねないように、僕は急いで歩を進める。ルチアーノが通った隙間を通ろうとして、慌てて踏み出した足を引く。前方からやってきた男の人が、隙間を埋めてしまったのだ。おとなしく通りすぎるのを待ってから、開いた隙間に身を滑らせた。
4960そんな人の群れを掻き分けながら、僕は何とか前へと進む。少し離れたところに、ルチアーノの真っ赤な髪が見えた。しっかりと繋いだ二本の腕は、限界まで伸ばされて張り詰めている。彼は時折こっちを振り返ると、彼は催促するように腕を引いた。
彼の機嫌を損ねないように、僕は急いで歩を進める。ルチアーノが通った隙間を通ろうとして、慌てて踏み出した足を引く。前方からやってきた男の人が、隙間を埋めてしまったのだ。おとなしく通りすぎるのを待ってから、開いた隙間に身を滑らせた。
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DOODLETF主ルチ。TF主くんとルチがコンセプトレストランに行く話。レストラン「ねえ、ルチアーノ。今度、ここに行ってみない?」
入浴を済ませ、自室のベッドの上に腰を下ろすと、僕はルチアーノにそう言った。手元にある端末の画面には、レストランのホームページが表示されている。少し顔を上げると、ルチアーノはそれを覗き込んだ。
「なんだ? デュエルモンスターズレストラン……?」
サイトにを眺めながら、ルチアーノは小さな声で呟く。彼の言う通り、端末に表示されたサイトのトップには、『デュエルモンスターズ』の文字が並べられていた。少し下に載っているのは、有名モンスターのイラストである。ページを下にスクロールすると、今度は料理の画像が並び始めた。カレーやパスタといった定番のメニューだが、ひとつだけ普通のレストランと違うことがある。
5616入浴を済ませ、自室のベッドの上に腰を下ろすと、僕はルチアーノにそう言った。手元にある端末の画面には、レストランのホームページが表示されている。少し顔を上げると、ルチアーノはそれを覗き込んだ。
「なんだ? デュエルモンスターズレストラン……?」
サイトにを眺めながら、ルチアーノは小さな声で呟く。彼の言う通り、端末に表示されたサイトのトップには、『デュエルモンスターズ』の文字が並べられていた。少し下に載っているのは、有名モンスターのイラストである。ページを下にスクロールすると、今度は料理の画像が並び始めた。カレーやパスタといった定番のメニューだが、ひとつだけ普通のレストランと違うことがある。
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DOODLETF主ルチ。寒くなってきた明け方にTF主くんがルチを抱き枕にする話。抱き枕 気がついたら、真っ白な空間に立っていた。
周囲を見渡してみるが、近くに人の気配はない。それどころか、色彩を放つ物質の姿すら見えなかった。辺り一面が真っ白に染まっていて、一切の色が失われているのだ。視界を焼くような目映い光が、僕の瞳を貫いている。
光から瞳を逸らすように、僕は自分の手元に視線を向けた。視界に入ったものを見て、僕は悲鳴をあげてしまう。そこにあるはずの僕の身体は、真っ黒な影に染まっていたのだ。身体と服の境界線さえも、黒に溶け込んで分からなくなっている。
言い様の無い恐怖を感じて、僕はその場に座り込んだ。背筋に冷たいものが走って、身体が小刻みに震える。しかし、僕の身体が震えているのは、恐怖のためだけではなかったのだ。この真っ白な空間は、鳥肌が立つほどに肌寒かった。
3153周囲を見渡してみるが、近くに人の気配はない。それどころか、色彩を放つ物質の姿すら見えなかった。辺り一面が真っ白に染まっていて、一切の色が失われているのだ。視界を焼くような目映い光が、僕の瞳を貫いている。
光から瞳を逸らすように、僕は自分の手元に視線を向けた。視界に入ったものを見て、僕は悲鳴をあげてしまう。そこにあるはずの僕の身体は、真っ黒な影に染まっていたのだ。身体と服の境界線さえも、黒に溶け込んで分からなくなっている。
言い様の無い恐怖を感じて、僕はその場に座り込んだ。背筋に冷たいものが走って、身体が小刻みに震える。しかし、僕の身体が震えているのは、恐怖のためだけではなかったのだ。この真っ白な空間は、鳥肌が立つほどに肌寒かった。