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    クリスマスケーキ

    かわな

    DONE付き合っているガスウィルがクリスマスケーキを食べる話。幼少ねつ造あります
    サンタクロースのゆくえ少し遅くなったけど、クリスマスケーキを買ったんだ。一緒に食べようぜ。
    そう言ってガストが持ってきたケーキをみたとき、不意に幼かったときのことを思い出した。赤と白で出来たサンタクロースの砂糖菓子が、雪のようにふわふわの生クリームの上にちょこんと座り、ウィルに優しくほほえんでいる。
    「サンタさんだ。どうしたんだ、これ?」
    ウィルが尋ねると、ガストはいたずらが成功した子どもみたいな顔でにっこりと笑った。



    小さかったころ、毎年クリスマスパーティーをした。家は花屋を営んでいるからクリスマスはいつも忙しかったけれど、クリスマスとニューイヤーのあいだ、ほんの少しの時間ができる日があって、その日がスプラウト家のクリスマスだったのだ。街はあっというまにクリスマスの衣装を脱ぎ捨ててニューイヤーの装いに変わりつつあるけれど、スプラウト家のリビングにだけはまだクリスマスがとどまってくれている。クリスマスツリーとリース。妹二人と一緒に世話をした真っ赤なポインセチア。ウィルはいつもリビングに入ると一気にわくわくした。クリスマスというのは、そんな不思議な力を持っていると本当に思っていたのだ。
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