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    一夜

    ゆめの

    MEMO2023年11月25日-27日開催の『星明かりの交響曲 第2楽章』で発行予定の浮唯本「花の浮橋」の新刊サンプルです。

    一夜をともにした翌日、浮葉が「あなたと見たいものがあるのです」、そう唯に告げてきて連れてきたのは目黒川。
    そこで唯が目にしたのは……。

    ※軽微な加筆修正をする可能性があります。
    花の浮橋 サンプル①「朝か……」
    目を開けたときに見える景色がいつもと違うことに気がつく。
    隣にはすやすやと寝息を立てている浮葉の姿があった。
    「夢じゃなかったんだ……」
    浮葉と肌を重ねる夢を見たような気がしたが、夢ではなく現実だったらしい。
    隣にいる浮葉の存在も、唯の身体を襲う倦怠感も、そのことが幻ではないと伝えてきた。
    「そういえば……」
    昨夜、ここに来てからスマホに触れていない。事情を察するものがいるにせよ菩提樹寮に帰ってことで心配を掛けてしまっているかもしれない。
    唯はリビングに行き自分のカバンからスマホを取り出すことにした。
    浮葉を起こさないようにそっとベッドから出ると、自分がいつもと違う服装をしていることを思い出す。
    浮葉が貸してくれたパジャマだ。女性的な美しさを持つ彼であるが、サイズがブカブカなところにあらためて彼が男性であると思い知る。
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    桜庭🌸

    DONE #杏千版ドロライ お題「フリー」お借りしました。
    杏千 / キメ学軸
    「雪見だ〇ふく」と「一夜の秘密(ド健全)」を共有した兄弟が、やがて杏千になっていくお話🍨
    はんぶんこ「千寿郎、兄と悪いことをしよう」
     にやりと笑った兄は、汗をかいた俺の手を引いてベッドを出た。両親の部屋と空っぽの自分の部屋の前を忍び足で通り、階下に降りる。キッチンに繋がるドアの蝶番の擦れる音すら気になって、慎重にドアを閉める。ぱっと明かりがついたのに驚いたが、センサーライトによるものだ。足元から広がる光の中で、兄が冷凍庫を開けている。流れ漏れた冷気が、ひやりと頬をなでる。その横で何かを探す兄の横顔は、実にうれしそうだ。「悪いこと」をしようとしているとは思えない。兄の真意がわからない。廊下に続くドアの擦りガラスが明るくならないことを祈っていた。
    「ほら、千寿郎。お待たせ」
     兄の声にほっとして振り向くと、「悪いこと」にしてはちっぽけな、見慣れたものが差し出された。すでにパッケージは剥がされているが、そのアイスの名はすぐにわかった。真っ白な大福が、和菓子切用のスペースまで設けられた専用の容器にぽよんと二つ並んで納まっている。外の柔らかい皮と固すぎないアイスの組み合わせがたまらない、俺の大好きなアイスだ。
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