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    生きる

    しんした

    PROGRESS3月インテの七灰原稿進捗です。
    生存if30代後半の七灰が古民家で暮らすお話。
    暮らし始めたところまで書けたので、とりあえず暮らすぞーってなった部分までをあげました。
    生きるってどういうことかな、ということを多少真面目に考えて書いたつもりですが上手くまとめられているかは分かりません。七灰はいちゃいちゃしてます。
    推敲まだなのでいろいろとご了承ください。
    続き頑張ります。
    3月七灰原稿進捗②.




    呪術師という職業は一応国家公務員に分類されている。高専生時代から給料が支払われるのはその為で、呪術師のみが加入できる特別共済組合という制度もあり、規定年数納税すれば年金も支給されるし、高専所属であれば所属年数に応じた金額の退職金も支払われる。
    「うーん。まあ、別にお金に困ってるわけじゃないし、退職金のこととかそんな気にしなくてもいいよねぇ」
    デスクトップディスプレイに表示された細かな文字列を追っていた灰原は、椅子の背にもたれて小さく言葉を漏らした。
    真っ黒にも程があるブラックな呪術師という職業も、書類上だけ見ると就業規則や福利厚生など案外きっちりと定まっている。給料も一般的な国家公務員とは比較にならないくらいだ。(もちろん、呪術師の仕事内容を考えると当然のことだと思う)
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    キツキトウ

    DONE2024/1/12
    「朝に炊き立てのご飯を食べる」

     布団に潜り、考えていたら何時の間にか眠りについていた。今が何時かも知らないままぼぅとしていたら、身体の底から生きる音が聞こえてきて。
     だから久しぶりにご飯を炊いてみた。そしておかずには昆布の佃煮と卵を選んだ。……明日は塩鮭を焼いてみようかな?

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    小説SS。
    「朝に炊き立てのご飯を食べる」.
    .
     こつん――、こつん――、こつん。

     背後から、小さく乾いた音がする。
     ハッとして振り向くと、月だけが照らす暗い空から何かが落ちてくる。それはきらきらと光る何かで――。
     辺りが暗いのに、それがきらりと光るから。だからそれを見つける事が出来た。

     身を屈め、真黒な地面に点々と転がる粒を一つ摘まんでみた。それに温度はなく、けれど白く淡く光る粒は月の光にも等しく思えた。鉱物のように煌めき続けている。

    「……ああ、月から落ちてきているんだ。月が涙を流してる」

     自嘲で駆けていく息が白い。月の舟の下で、また一粒音がした。

     前に向きなおりそして俯く。濡れた瞳に溜まった粒がまた一つ落下してはさよならをしていく。
     足元の水面から離れると、雲間を照らした粒を握ってそっと橋から離れた。
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