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    toaru_otaku_

    DONEこは斑オメガバース短編。
    pixivにアップロード済みの
    君は気持ちの良いひと
    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19789906
    の前日譚のようなものです。全年齢。
    透明な証 うなじをさする。
     ふとしたときに、そっと首の後ろをさする。そんなクセがついたのは、こはくと番になった頃からだ。自覚した頃にはやめられなくなっていて、人前でその仕草をしなければいいかと、その点にだけ気をつけるようにはしている。
     番になったときの噛み跡はもうとっくにきれいに完治している。痛みもないし、特別何か感じるものがあるわけでもないのだが、あの頃の自分は割と追い詰められていたのかもしれない。そんな、あるはずのない痛みに縋るような仕草が癖になってしまうだなんて。

    「暑いん? 髪、結おうか。」

     ぱっと斑は振り向いた。見れば、洗面所の入り口でこはくが壁に凭れてこちらを見ている。
     斑が借りているアパートの一室での、朝のことである。昨日まで重たいヒートを起こしていた斑は、散々こはくの身体を貪ったあとだった。下着しか身に着けていない少年の腰回りや肩、首筋に青あざができているのを見て、額に手をやる。理性が働いているときは気を使えるのに、少し気を抜くとこれだ。自分が必死になってしがみついた痕跡を見つけてしまうと、どうにも気恥ずかしさといたたまれなさで表情に困る。
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