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    バルト

    amei_ns

    DOODLEがんばるトールと知らない呂布の雷飛 トールは、これまで人を愛したことがなかった。初めてだ。初めて、他者を愛しいと感じた。慈しみ、愛でたいと思った。しかし、そう思った相手というのが問題だ。その相手というのは、呂布奉先。ラグナロク一回戦を戦った人間である。そう、人間なのだ。
     神と人間。そのロマンスの話は数多くあれど、ほとんどが人間の側の創作であり、事実ではない。人間たちの間で、ゼウスなど恋多き神として知られているが、なにが、なにが。実際のゼウスは戦闘変態嗜虐愛好神である。いつ見てもすごいなこの言葉の圧。
     実際の神は人間など歯牙にかけないものが多く、トールの恋は多難であった。けれどトールは諦める気などさらさらなかった。数多の困難をその力で打ち砕き、解決してきたトールにとって、この程度のことなど乗り越えられないはずがないと思っていた。トールは口が上手くないから、まず口達者な神を自らの協力者にした。その者は初めから協力的だったのでよかった。そこからじわじわと手を広げ、トールが人間に恋をしているという話を固めた。事実そうなのだからしかたがない。ときには反対派を見せしめにしたりしつつ、浮遊層を懐柔し、人間との恋を是とさせていった 1266