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    勇者

    ka2chahan

    MEMO『怪異に巻き込まれる勇者達の話』(1)
    現パロで勇者達4人が不思議な出来事に巻き込まれていく話です。
    怪異に巻き込まれる勇者達の話 1 この村はおかしい。そう確信したのは夕食の後だった。
     招かれた屋敷で夕食を出してくれるのかと思っていたら、村の中心にある公会堂へ連れて行かれた。公会堂に入ると数え切れないほどの靴が置かれていて、何やら奥から大勢の男達らしき声が聞こえてきた。
    「客人が来ると村人総出で歓迎するのがシキタリなのです」
     シキタリ、という語に当てはまる漢字はあるのかとふと考えてしまうほどに、この村に来てから何かとその言葉を聞いた。「村に来た者は全員この屋敷に泊めるシキタリなのです」「黄昏時を過ぎてからは村から出てはいけないシキタリがあるのです」過疎化真っ只中の山奥の村にはこういったシキタリと呼ばれるルールが存在するとは聞いたことがある。実際、かなりの田舎の村落出身のトワに聞くと村にだけ伝わる習慣などがあるようだった。今どきナンセンスだな、とブレは感じるが、こういったものは余所者に否定されることにとても敏感だ。郷に入っては郷に従え、とむかしの人はよく言ったものである。あえて反抗することもないだろう、とブレは不可解さを感じながらも黙っていたし、皆も特段異を唱えなかった。今思えば、皆口にすることの危険さを本能的に感じ取っていたのだろう。ざらりとした何かが体にまとわりつく奇妙な感覚を受けたのはブレだけではなかったようだ。
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