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    斎藤

    mayura_BL

    PAST猛者と無敵の日記念おめでとうございます&ありがとうございます!記念に初めて書いた斎藤さんと沖田さんの話を再録します。過去から現在のカルデアへ、みたいな話で、邪馬台国の時に居ても立ってもいられず書きました。長いのでお時間のある時ご覧いただければ幸いです。
    猫の話猫の話

    「安心してよ」

     僕は自分で言っておきながら自分のこの言葉のあまりの軽薄さを思った。

    「斎藤さんが安心なんて言うとおちおち寝てられませんね」

     だから当たり前のように沖田ちゃんは笑ってそう言い返してきた。そりゃあそうだ。だけれど、彼女にはもう、昔のように適当言わないでください!なんて言って飛び掛かってくる身体的余裕も、精神的余裕もなかった。代わりにこほんと小さな咳をして、笑った。

    「でも、お任せするしかないですね、これじゃあ」

     枕元の愛刀をゆっくり振り返って沖田ちゃんは言った。

    「猫がね、斬れないんです」
    「は?」
    「黒猫。来るんですよ、庭に。でも斬れない」
    「危ないよ、そんなことしてちゃあ」

     そっと彼女が刀に掛けた手の上から、自分の武骨な手を重ねて止めようとする。止めようとしたのか、ただ彼女の手に触れたかったのか、分からない。
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    tomoe1218

    DONE2020/5/5発行のるろ剣夢アンソロジー「花綵-はなづな-」(@ruroken_ym_x )に寄稿させていただいた斎藤一夢小説です。再録解禁になったので早速。わたしは常に再録したいマンなので……ポイピク使ってみたかっただけなので、いずれ支部にも上げます。アンソロジー、まだ在庫あるみたいなのでよろしかったら〜。素敵なるろ剣夢がたくさん見れます。表紙からやべーですんで……
    【るろ剣】だいきらいなひと【夢】 人は私を小町と呼ぶ。もちろん本名ではないのだけど、いつの間にか定着してしまった。親しみが込められた呼び名だし、嫌なわけではなかったからそのままにしている。
     どうして小町なのか。理由は単純。私が蕎麦処で働く小町娘だから。ただ真面目に働いているだけなのに、蕎麦小町なんて呼ばれるようになっていた。率直すぎて素直に喜べないけれど、町に溶け込めているならそれでいい。
    「はい、天ざる二ツ、お待ちどおさま」
    「ありがとうねェ、小町ちゃん」
     私が働く蕎麦処は小さな店で、寡黙な店主、店員も私ともう一人だけだ。もう一人の店員である静さんは初産を控えていて、いまはお休みを取ってもらっている。なのでいまは実質二人でこの店を切り盛りしていた。幸いというかここは大通りではないし、お客さんも気心の知れた常連さんばかりなのでなんとかやれている。私が蕎麦小町ともてはやされた頃はご新規さんもたくさんいたけど、何度も繰り返し通ってくれるのは親父さんの蕎麦にこそ惚れた人だけなのだ。
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