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    妖怪

    みずひ梠

    DONE【元祖妖怪松】
    社に住まう妖怪六兄弟の長男と次男のお話
    ※なんとなく非公開にしていたものをなんとなく公開に戻しました
    昔話と嘘うららかな陽光にあてられて、昼寝から目を覚ました。眠れる事は幸せだ。あたたかい夢を見れる。今日も、遥か昔の懐かしい日々の夢を見た。可愛らしい弟達と暮らす今の日々も勿論悪くは無いが、彼らの過去の悲痛さを思い起こすと胸が痛む。それ故に過去が変わり無く今、未来に続いていたらと思わずには居られない。それは不可能だと分かっていても。
    そうくだらない物思いに耽っていた折、何時の間にやらすぐ傍にいたカラ松が声を掛けてきた。
    「おそ松」
    「ん、どったのカラ松?」
    「また、『過去』の事を考えていただろう」
    「なははっまあねぇ」
    「……そろそろ教えてくれないか」
    「過去に何があったのか、を」
    「あー……」
    いつくかの過程を経て大天狗と相成ったカラ松は、神力を有している上に千里眼を使用出来る。千里眼とは『視る』神力の総称で、遠くを視る事やら箱の中身を視る事やら思考を覗く事やらが可能だ。しかしまだ未熟なカラ松は少ししか扱う事ができず、思考も断片的にしか拾えない。だからこうやって追求してくる。そんな時困るのが、神力を有する者なら必ず使用出来る術“読心”の一端、嘘を見破る力である。
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