tokino816
DONE以前交流会用に書いたネップリ短編の曦澄のやつだけですがハロウィンでかぼちゃネタのギャグなのでクスッと笑ってください蓮花塢かぼちゃ事変秋とくればカボチャである。
カボチャの用途は広い。
焼いてもよし。煮てもよし。汁物にするもよし。焼き菓子にも冷たい菓子にも出来る。
金凌が妙な本を読んできたらしく、どこか遠い国の異教徒たちが行うらしい秋祭りの話を、目を輝かせて江澄に語ったのは少し前のことだった。
なんでも、秋の収穫と先祖の霊が帰ってくるのを祝い、カボチャを飾ったり食べたり、子供たちにお菓子を配ったりするのだという。なぜカボチャと先祖の霊とお菓子配りがつながるのかはよくわからないが、まあ大体、祭というのはそういうものだ。楽しい行事であれば末永く続き、起源が何であったかはどうでもよくなる。
そして、カボチャ尽くしの食卓というのも面白そうだと、江澄自身も少し思ってしまったのもあって、その祭に合わせて小さな宴をすることにした。
2682カボチャの用途は広い。
焼いてもよし。煮てもよし。汁物にするもよし。焼き菓子にも冷たい菓子にも出来る。
金凌が妙な本を読んできたらしく、どこか遠い国の異教徒たちが行うらしい秋祭りの話を、目を輝かせて江澄に語ったのは少し前のことだった。
なんでも、秋の収穫と先祖の霊が帰ってくるのを祝い、カボチャを飾ったり食べたり、子供たちにお菓子を配ったりするのだという。なぜカボチャと先祖の霊とお菓子配りがつながるのかはよくわからないが、まあ大体、祭というのはそういうものだ。楽しい行事であれば末永く続き、起源が何であったかはどうでもよくなる。
そして、カボチャ尽くしの食卓というのも面白そうだと、江澄自身も少し思ってしまったのもあって、その祭に合わせて小さな宴をすることにした。
じゃむ
TRAININGえびも様のBLポーズデッサン集で曦澄をもっとイチャつかせたい練習の記録ポーズはトーレスからの改変あり
期間は10月11日〜22日の12枚
+23日〜11月5日の追加6枚
色分まで・線画・素体の3種盛り
🐉🐈⬛あり年齢操作ありデザインごちゃまぜです 55
oriya16kf
DONE #2022曦澄真ん中バースデー 参加作品龍猫AU
龍神曦臣×猫魈江澄のお話。
※諸所の設定をものすごく創作しております。
罠にかかった晩吟が困っていると、空から白い衣の龍神が舞い降りて・・・。
ギリギリすぎて、タイトルまで考えられず仮題となっています。
pixivに入れる時にもう一回考えます。(10/28pixivに書き下ろしを入れてのせました)
真名を聞かせて「最近親分、元気なくないか?」
黒や茶や、白や斑、様々な毛色の猫又たちが、マタタビの木の枝を囓りながら、噂話をしていた。
ここは雲夢。蓮花湖とその周りの平地、そして低い山が連なっている。人も多く栄えてもいるが、緑豊かな場所だ。
その山あいの、人里から隔離された場所に、猫又などの、動物が変化したあやかしが多数集まっていた。彼らは長生きした猫たちが変化した者で、尾を二本持っている。まだまだ新米猫又の彼らは、一本は元々ある長い尻尾だが、もう一本は短い。
「でも時々山の上で叫んでたり、見晴らしのいい一番高い木の上に乗って、よく東を眺めているぞ。」
「東になんかあんのかな?」
「東なんか、姑蘇っていう場所しかないだろ?」
12789黒や茶や、白や斑、様々な毛色の猫又たちが、マタタビの木の枝を囓りながら、噂話をしていた。
ここは雲夢。蓮花湖とその周りの平地、そして低い山が連なっている。人も多く栄えてもいるが、緑豊かな場所だ。
その山あいの、人里から隔離された場所に、猫又などの、動物が変化したあやかしが多数集まっていた。彼らは長生きした猫たちが変化した者で、尾を二本持っている。まだまだ新米猫又の彼らは、一本は元々ある長い尻尾だが、もう一本は短い。
「でも時々山の上で叫んでたり、見晴らしのいい一番高い木の上に乗って、よく東を眺めているぞ。」
「東になんかあんのかな?」
「東なんか、姑蘇っていう場所しかないだろ?」
0Raya0
DONE曦澄真ん中バースデーおめでとうのお話。(2022.10.22)前回上げた下記のお話、昇仙AUの続きのふたりです。
https://poipiku.com/198124/7626973.html
或る秋の一日 ある日のこと、家で江澄が先日入手したばかりのスマートフォンをいじっていると、ジーッと来客を知らせる音が鳴った。茶坊への客か? と思いながら、のそりと立ち上がり玄関の扉を開くと、そこには小包を持った配送業者が立っていた。荷物に心当たりはなく、同居している藍渙からも特に何も聞いていなかったものの、配達先は確かに自宅になっていたためサインをして受け取った。
……という出来事があったのを、ふたりで夕飯を食べた後、唐突に思い出した。仙となった身であるので、別に飲食を喫さなくても問題なく生きてゆけるが、食は江澄の楽しみのひとつである。今日は季節柄、いい蓮根が手に入ったので久しぶりに蓮根排骨湯を作ったのであった。相変わらずの好物は、染み渡るようなやさしい味がした。
2708……という出来事があったのを、ふたりで夕飯を食べた後、唐突に思い出した。仙となった身であるので、別に飲食を喫さなくても問題なく生きてゆけるが、食は江澄の楽しみのひとつである。今日は季節柄、いい蓮根が手に入ったので久しぶりに蓮根排骨湯を作ったのであった。相変わらずの好物は、染み渡るようなやさしい味がした。
_nishikigi_
DOODLE真ん中バースデーにあげたい🐉🐈⬛AU曦澄の冒頭です!プロットの時点で字数やばそうなのでシリーズになります(たぶん)龍王の嫁取り「嫁入り……ですか?」
広大な蓮花塢の最奥、雲夢江氏の直系と宗主が許した者しか立ち入れない私邸の一室で、澄んだ鈴のような声が響く。思ったより高い声を出してしまった。気恥ずかしさと戸惑いに揺れるこころに感応したかのように、江澄の二又に割れた尾がぞわぞわと逆立つ。
「そうだ」
無慈悲な父の声が響く。常に穏やかな笑みを絶やさない江楓眠にしては珍しく、わずかに眉間に皺が寄っていた。なんで俺が。男なのに。なにより、雲夢江氏はどうなる。叫び出したい気持ちを抑えながら、そっと父の傍らを見遣る。こんなこと、母である虞紫鳶が許すはずがなかった。実際、その母は最大級に怒りをはらませた表情で紫電がばちばちと音を立てて煌めいていた。虞紫鳶が口を開こうとしたその刹那、傍らの男が立ち上がった。
629広大な蓮花塢の最奥、雲夢江氏の直系と宗主が許した者しか立ち入れない私邸の一室で、澄んだ鈴のような声が響く。思ったより高い声を出してしまった。気恥ずかしさと戸惑いに揺れるこころに感応したかのように、江澄の二又に割れた尾がぞわぞわと逆立つ。
「そうだ」
無慈悲な父の声が響く。常に穏やかな笑みを絶やさない江楓眠にしては珍しく、わずかに眉間に皺が寄っていた。なんで俺が。男なのに。なにより、雲夢江氏はどうなる。叫び出したい気持ちを抑えながら、そっと父の傍らを見遣る。こんなこと、母である虞紫鳶が許すはずがなかった。実際、その母は最大級に怒りをはらませた表情で紫電がばちばちと音を立てて煌めいていた。虞紫鳶が口を開こうとしたその刹那、傍らの男が立ち上がった。
1025tongtong
DOODLEお題:プレゼントいつもありがとうございます お借りします 第二弾です
藍義臣お誕生日の話 江澄から兄上へプレゼント
まだお互いの心の距離はある感じです 珍しく江澄からの矢印が大きいです 7
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PROGRESS『恋煩iい』進捗です。1月の曦澄イベント時にある程度形になってればいいなあ。でも、この前にも先にも続くのでガンガン直しが入りそう。とりあえず早くスケベが描きたい 110Raya0
DONE兄上お誕生日おめでとうのお話。(2022.10.8)昇仙AU曦澄です。現代に生きているので現代AUでもあります。
幸せのかたち。
或る仙の日常 陽が山の稜線に隠れそうな頃合い、ちいさな田舎街の石畳をひとり、のんびりした歩調で上りゆく男がいた。肩から黒い鞄をひとつ掛け、服装は至って普通のシャツにパンツといったこの街でもよく見る風合いである。しかし、飛び抜けて目立つ優美な風貌をしていた。
男はひとつ角を曲がると、小さな路地裏に入り進んだ先の扉のベルを鳴らした。ジーッと音が鳴り、少し待つ。すると足音がし、ガチャッと扉が開かれるとともにあたたかな光が部屋の中から差した。
「おかえり、思ったより早かったな」
「汽車の便数が多くなっていて」
もう汽車じゃないぞ、ずいぶん前から電気駆動だからな。そう笑いながら出迎えた男も少し厳しめの面立ちをしてはいたが、また美貌の持ち主だった。
5000男はひとつ角を曲がると、小さな路地裏に入り進んだ先の扉のベルを鳴らした。ジーッと音が鳴り、少し待つ。すると足音がし、ガチャッと扉が開かれるとともにあたたかな光が部屋の中から差した。
「おかえり、思ったより早かったな」
「汽車の便数が多くなっていて」
もう汽車じゃないぞ、ずいぶん前から電気駆動だからな。そう笑いながら出迎えた男も少し厳しめの面立ちをしてはいたが、また美貌の持ち主だった。
yaji1_md
DONE心が疲れてしまった晩吟くんの話④今回はこちらが晩吟視点(書き下ろし)です
曦臣視点4はこちらhttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18489303
(曦臣視点はツイートをまとめて手を加えたものです) 7337
yuno
DONE #曦澄ワンドロワンライ のお題『秋の味覚』に挑戦。お芋の精ワールド。阿澄が藍渙にお嫁入りする話を童話風に書いてみました。2022/10/02 00:11 up
【曦澄】その後二人は末永く幸せに暮らしましたとさ「できた!」
こんがり焼き揚げられた丸いお芋に阿澄は目を輝かせた。
匂いも香ばしくてとても美味しそう。これなら小さかった阿澄のお芋もきっと美味しく食べられる。
父上や母上にも喜んでもらえるかしらと期待に満ち満ちた眼差しで振り向いた阿澄に応えるように藍渙も頷いた。
「いい匂いがしますよ。とても美味しそうです」
「ありがとう! 藍渙のおかげだ」
「ふふ、私は作り方を調べただけです。作ったのは阿澄ですよ」
貴方が頑張ったのだと目を細めれば、阿澄は嬉しそうに破顔した。
「味見をしよう? 一番は藍渙に食べてほしいんだ」
「それは光栄です。ではお先にひと口……」
はい、熱いから気をつけて。
そう言って阿澄が器用に菜箸でひとつ摘んで差し出す。藍渙はあーんと口を開けた。
4071こんがり焼き揚げられた丸いお芋に阿澄は目を輝かせた。
匂いも香ばしくてとても美味しそう。これなら小さかった阿澄のお芋もきっと美味しく食べられる。
父上や母上にも喜んでもらえるかしらと期待に満ち満ちた眼差しで振り向いた阿澄に応えるように藍渙も頷いた。
「いい匂いがしますよ。とても美味しそうです」
「ありがとう! 藍渙のおかげだ」
「ふふ、私は作り方を調べただけです。作ったのは阿澄ですよ」
貴方が頑張ったのだと目を細めれば、阿澄は嬉しそうに破顔した。
「味見をしよう? 一番は藍渙に食べてほしいんだ」
「それは光栄です。ではお先にひと口……」
はい、熱いから気をつけて。
そう言って阿澄が器用に菜箸でひとつ摘んで差し出す。藍渙はあーんと口を開けた。
urami_imop
MOURNING曦澄ワンドロ⑤お題:お月見
現代AU(日本的なふわふわ設定)
夫夫設定
嫉妬深い曦臣と社畜澄の夜のデートのお話です。是非、ラストは声優さんの声で脳内再生してください
月が綺麗ですね、なんて陳腐な言葉よりもずっと その日、休みの曦臣は今朝は折角の休日を一緒に過ごせない事に拗ねていた。
外では明るく朗らかな彼も江澄の前では子どもの様に我儘を言うし時には泣き言も零す。随分と甘えられたものだ。
愛しい人の誘惑を振り切り、平日よりも人の少ないオフィスで仕事に勤しんだ。
昼休み、拗ねた曦臣が泣きじゃくる白兎のスタンプを5つも送ってきた。時間を少し空けて、黒猫がチラチラとこちらを伺うスタンプも送ってきている。正直、ちょっとキモい。しかしこういう所も可愛くて仕方ない。
早く会いたい、そうメッセージアプリの中では素直になれる。我ながら自身の天邪鬼にはほとほと呆れる。給湯室で隠れて失笑してしまった。
「ははっ! 仕事、早めに……終わりそうだ、と」
2068外では明るく朗らかな彼も江澄の前では子どもの様に我儘を言うし時には泣き言も零す。随分と甘えられたものだ。
愛しい人の誘惑を振り切り、平日よりも人の少ないオフィスで仕事に勤しんだ。
昼休み、拗ねた曦臣が泣きじゃくる白兎のスタンプを5つも送ってきた。時間を少し空けて、黒猫がチラチラとこちらを伺うスタンプも送ってきている。正直、ちょっとキモい。しかしこういう所も可愛くて仕方ない。
早く会いたい、そうメッセージアプリの中では素直になれる。我ながら自身の天邪鬼にはほとほと呆れる。給湯室で隠れて失笑してしまった。
「ははっ! 仕事、早めに……終わりそうだ、と」
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MOURNING曦澄ワンドロ④お題:声
閉関中、誰とも会話しないでいたら音が聞こえなくなる曦臣。
以前から彼に片思いしていた晚吟は偶然訪れた雲夢不知処で白い影を見かける
お題にかなり苦労した思い出があります
ゆめうつつ 藍宗主の閉関のついては世家だけでなく近隣の民でさえ憂いていた。
それほど藍曦臣という人物は人に愛されている。争いで物事を解決する事を良しとせず、人と人を繋ぎ合わせる事で答えを見出そうとする姿に多くの者が彼に憧れと期待を抱いているのだ。
藍曦臣が閉関していると家僕から聞いた江晚吟の反応はそうか、の一言だった。続けて、藍宗主が閉関しようがどうでもいい、と冷たく言い放ったが彼の本音はそうではなかった。
彼は座学中の頃から藍曦臣に密かに懸想している。だから内心はずっと彼のことが気になり執務も放り出してしまいたい。彼を煩わせるもの全てを取り除き、また陽の光の元に顔を覗かせてくれないか、と江晚吟は望んだ。
3717それほど藍曦臣という人物は人に愛されている。争いで物事を解決する事を良しとせず、人と人を繋ぎ合わせる事で答えを見出そうとする姿に多くの者が彼に憧れと期待を抱いているのだ。
藍曦臣が閉関していると家僕から聞いた江晚吟の反応はそうか、の一言だった。続けて、藍宗主が閉関しようがどうでもいい、と冷たく言い放ったが彼の本音はそうではなかった。
彼は座学中の頃から藍曦臣に密かに懸想している。だから内心はずっと彼のことが気になり執務も放り出してしまいたい。彼を煩わせるもの全てを取り除き、また陽の光の元に顔を覗かせてくれないか、と江晚吟は望んだ。
urami_imop
MOURNING曦澄ワンドロ③お題:手紙
邪祟の影響で声を出せなくなった江澄と
沢蕪君の恋の始まりのお話です。
沢山読んでいただけてとても嬉しかったのを覚えています。
花を欺く貴方の顔容 金凌の夜狩に江宗主が付き添うことはよく知られている。そこまで若き金宗主を大切にしているのだが、江澄にはもう一つ狙いがあった。狙いと言うより下心が正しい。
夜狩の規模には大小あるが、四大世家に来るものは大抵が大きな噂である。陳情を聞きつけて駆けつければ、他の仙師達と出くわすことは少なくない。何の因縁か、金凌は藍氏の少年達と鉢合わせる事が多く手柄も奪われがちだった。その事を江澄は咎めはしないし、金凌もこの歳でようやく友人と呼べる者が出来て喜んでいた。
しかしそれは同時に成長の証でもあった。若き宗主の金凌はもう江晚吟に情けなく泣きつく事も、助けを求める事もないのだ。それでも彼の為だと下手な嘘をついて近場の街で見守り続けた。
2091夜狩の規模には大小あるが、四大世家に来るものは大抵が大きな噂である。陳情を聞きつけて駆けつければ、他の仙師達と出くわすことは少なくない。何の因縁か、金凌は藍氏の少年達と鉢合わせる事が多く手柄も奪われがちだった。その事を江澄は咎めはしないし、金凌もこの歳でようやく友人と呼べる者が出来て喜んでいた。
しかしそれは同時に成長の証でもあった。若き宗主の金凌はもう江晚吟に情けなく泣きつく事も、助けを求める事もないのだ。それでも彼の為だと下手な嘘をついて近場の街で見守り続けた。
遙直輝
DONE #曦澄ワンドロワンライお題「秋の味覚」お借りしました。相変わらずの遅刻、そしてタイムオーバー(1+2hくらい)。ワンとはなんだろう…すみません。出来上がってるふたり。ふわっと、ふわっとお読みくださいまし。 10
_nishikigi_
SPUR ME春宵一刻のその後曦澄の冒頭です。尻叩きに!月が昇り始めた夜半、蓮花塢の厨に男ふたりが忙しなく動いている。正確には一人が動き回り、もう一人がその男について回っているだけではあるが。
「魔法のようだ」
ついて回っている方の男がぽつりと呟く。藍曦臣は、意気揚々と料理の手伝いを申し出て、つい先ほど蓮花塢の主人にあなたは手を出すな!と免職を申しつけられたばかりだった。まな板の上で大ぶりの鯇魚(タンユイ)の頭を落としながら、江澄が片眉を上げてにやりと笑った。魚の下処理を終えてさっと油にくぐらせると、何やらみじん切りにした野菜と水に溶いた片栗粉を追加して、小鍋の蓋を閉じる。同時並行で細長い麺を茹でながら、今度は水にさらした蓮根を取り出し、目にも止まらぬ速さで薄切りにしていく。厨でひときわ存在感を放つ大鍋に油をうすく引き、葱、生姜、辣椒、そのほか藍曦臣の知らぬ色とりどりの薬味が放り込まれると、ジュワッという音を立てて水蒸気がもくもくと上がった。江澄の体格のわりに細い首筋から、汗の粒が流れ落ちていく。なんとなく、目を離せなかった。江澄が思い出したように呟いて、我に返る。
1246「魔法のようだ」
ついて回っている方の男がぽつりと呟く。藍曦臣は、意気揚々と料理の手伝いを申し出て、つい先ほど蓮花塢の主人にあなたは手を出すな!と免職を申しつけられたばかりだった。まな板の上で大ぶりの鯇魚(タンユイ)の頭を落としながら、江澄が片眉を上げてにやりと笑った。魚の下処理を終えてさっと油にくぐらせると、何やらみじん切りにした野菜と水に溶いた片栗粉を追加して、小鍋の蓋を閉じる。同時並行で細長い麺を茹でながら、今度は水にさらした蓮根を取り出し、目にも止まらぬ速さで薄切りにしていく。厨でひときわ存在感を放つ大鍋に油をうすく引き、葱、生姜、辣椒、そのほか藍曦臣の知らぬ色とりどりの薬味が放り込まれると、ジュワッという音を立てて水蒸気がもくもくと上がった。江澄の体格のわりに細い首筋から、汗の粒が流れ落ちていく。なんとなく、目を離せなかった。江澄が思い出したように呟いて、我に返る。
遙直輝
DONE昨日の仕事中の妄想(仕事しろ)現代AU叔父甥の曦澄添え。いや曦澄は匂わせるくらいしかおらんです。ただ阿凌に「なんで」って言わせたかったとです。出来心が、カッとなったヤツです。ふわっと読んで下さい… 7
urami_imop
MOURNING曦澄ワンドロ②お題は犬、でした
正直、この時の私は何が書きたかったの?ってくらい話がまとまってない🙏なむ
大好きで仕方がない犬
夜狩の帰り、江澄は姑蘇へ向かうことにした。前々からしつこく魏無羨から雲深不知処へ来る様に言われていたのだ。
要件を尋ねても教えないものだから無視していたが、流石にここまで無視すると次会った時に何をされるかわからない。どうせ帰ってもまた執務に追われて外に出る機会を作るのは難しい。
いくつか寄り道の理由を並べながら御剣していたが、少し先の空で稲妻が走る。先程から雲行きは怪しかった。
しかし予想以上に変化が早い。次第にぽたりぽたりと江澄の頬に雨粒が落ちる。
(田舎め……どこか雨宿りできる場所はないのか)
山道の中、小さな民家を見つける。この辺りは人が住み着くほど、穏やかな地形ではないためこれ以上探しても時間を食うだけだろう。ここで雨宿りさせてもらうことにした。
2830夜狩の帰り、江澄は姑蘇へ向かうことにした。前々からしつこく魏無羨から雲深不知処へ来る様に言われていたのだ。
要件を尋ねても教えないものだから無視していたが、流石にここまで無視すると次会った時に何をされるかわからない。どうせ帰ってもまた執務に追われて外に出る機会を作るのは難しい。
いくつか寄り道の理由を並べながら御剣していたが、少し先の空で稲妻が走る。先程から雲行きは怪しかった。
しかし予想以上に変化が早い。次第にぽたりぽたりと江澄の頬に雨粒が落ちる。
(田舎め……どこか雨宿りできる場所はないのか)
山道の中、小さな民家を見つける。この辺りは人が住み着くほど、穏やかな地形ではないためこれ以上探しても時間を食うだけだろう。ここで雨宿りさせてもらうことにした。
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MEMOねたいっぱい食べるきみが好き朝から忙しく食べる暇もなくてふらふらの曦臣が偶然入った居酒屋は思っていたよりも美味しく満足していた。
ほろ酔い気味で他のお客さんと世間話をしていたらお客のひとりが「そろそろハムちゃん来んじゃねえか?」と言い出し店主も「もうそんな時間だったかあ。準備するかね」と料理を仕込み始める。
ハムちゃん?なんだ?と思っていたら店に来たのは180cm越えの草臥れたリーマン。
よれたスーツを壁にかけている動作がどこか気だるげで艶っぽく見惚れてしまう。疲れた様子だがその顔はとても秀麗でとにかく目を引く。
「よお、いつものでいいかハムちゃん」
「ああ、頼む」
ハム。えっ。ハムちゃん…?あの人が?
目をぱちくりさせ他のお客さんを見ると、お客さんはうんうんと頷いた。ハムちゃんというには些かいかつ…強めな見目をしているが。と困惑していると、どかんと大皿がハムちゃんの前に置かれる。山盛りの肉、野菜、そして昔話のように盛られた白飯。
1773ほろ酔い気味で他のお客さんと世間話をしていたらお客のひとりが「そろそろハムちゃん来んじゃねえか?」と言い出し店主も「もうそんな時間だったかあ。準備するかね」と料理を仕込み始める。
ハムちゃん?なんだ?と思っていたら店に来たのは180cm越えの草臥れたリーマン。
よれたスーツを壁にかけている動作がどこか気だるげで艶っぽく見惚れてしまう。疲れた様子だがその顔はとても秀麗でとにかく目を引く。
「よお、いつものでいいかハムちゃん」
「ああ、頼む」
ハム。えっ。ハムちゃん…?あの人が?
目をぱちくりさせ他のお客さんを見ると、お客さんはうんうんと頷いた。ハムちゃんというには些かいかつ…強めな見目をしているが。と困惑していると、どかんと大皿がハムちゃんの前に置かれる。山盛りの肉、野菜、そして昔話のように盛られた白飯。
yuno
DONE #曦澄ワンドロワンライ のお題『お月見、月餅』に挑戦。付き合いたての手探り時期。まだ遠慮気味な江澄と、関係をもっと深めていきたい兄上の駆け引き、みたいな。2022/09/11 23:37 up
【曦澄】願い『これから向かうよ』
そう伝令蝶が来た時にはまさかと思った。
互いに宗主である身、中秋節を共に過ごせないことは承知の上。そう江澄は思っていたが、藍曦臣は違ったらしい。
遅い時間になるけれど、必ず伺うよ。貴方と共に月を眺めたい。
先日の会合での別れ際に耳元に囁かれた言葉。だが、難しいだろう、無理はしなくていいと苦笑とともに躱してしまった言葉を思い出す。
想いを交わし、特別な仲になり。初めて迎える中秋節だった。
まだ三拝はしていないが、いずれは道侶として家族になりたい。そう告げられてはいる。
だが、今はまだその関係にはなく、そして中秋節は家族と過ごすものだ。
貴方は姑蘇で、私は雲夢で、同じ月を眺めよう。貴方の家族と門下を大事にするといいと、そう答えた江澄に、藍曦臣は困ったように眉を下げていた。
3865そう伝令蝶が来た時にはまさかと思った。
互いに宗主である身、中秋節を共に過ごせないことは承知の上。そう江澄は思っていたが、藍曦臣は違ったらしい。
遅い時間になるけれど、必ず伺うよ。貴方と共に月を眺めたい。
先日の会合での別れ際に耳元に囁かれた言葉。だが、難しいだろう、無理はしなくていいと苦笑とともに躱してしまった言葉を思い出す。
想いを交わし、特別な仲になり。初めて迎える中秋節だった。
まだ三拝はしていないが、いずれは道侶として家族になりたい。そう告げられてはいる。
だが、今はまだその関係にはなく、そして中秋節は家族と過ごすものだ。
貴方は姑蘇で、私は雲夢で、同じ月を眺めよう。貴方の家族と門下を大事にするといいと、そう答えた江澄に、藍曦臣は困ったように眉を下げていた。
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MOURNING曦澄ワンドロ①夫夫と2人の朝と執着の話
初めての曦澄作品であり、初めてのワンドロ参加でした。沼に落ちてまだ1ヶ月程度かと。
確か何も考えずにただその場の思いつきでしたので、まさかこんなに♡やrtしていただけるとは思ってもなかったです
曦澄処女作 ゆっくり、ゆっくりと深いところから自分に還るような感覚だった。
朝だと気づく前に思い出すのはあの人の事と昨夜の事。鮮やかに蘇る睦言――激しくだらしなく求めて求められた熱い夜――に全身がこそばゆくなる。
「おはようございます、阿澄」
「ん…藍渙」
初心な乙女にでも振れるかのように、優しい手つきで俺の頬に触れる。昨夜はあんなに熱烈に愛し愛されたのをもう忘れたのか。
何度か頬を撫でると、悪戯な指は今度は俺の唇で遊びはじめた。上唇をなぞり下唇へ、親指で唇を押して離して……なんだか焦れったくてくすぐったくて、けれども余裕そうに微笑む男から睨みあげる。
「ふふっ、そんなに可愛い顔をされると困ります」
「なにが可愛いだ。全く、一体どう困るっていうんだ……」
1516朝だと気づく前に思い出すのはあの人の事と昨夜の事。鮮やかに蘇る睦言――激しくだらしなく求めて求められた熱い夜――に全身がこそばゆくなる。
「おはようございます、阿澄」
「ん…藍渙」
初心な乙女にでも振れるかのように、優しい手つきで俺の頬に触れる。昨夜はあんなに熱烈に愛し愛されたのをもう忘れたのか。
何度か頬を撫でると、悪戯な指は今度は俺の唇で遊びはじめた。上唇をなぞり下唇へ、親指で唇を押して離して……なんだか焦れったくてくすぐったくて、けれども余裕そうに微笑む男から睨みあげる。
「ふふっ、そんなに可愛い顔をされると困ります」
「なにが可愛いだ。全く、一体どう困るっていうんだ……」
遙直輝
DONE #曦澄ワンドロワンライお題「お月見」「月餅」お借りしました。相変わらずの遅刻、そしてタイムオーバー(1+2hくらい)。ワンとは…すみません。出来上がって割とすぐなふたり。ふわっとお読みください。
【十六番目の夜に】 7
遙直輝
DOODLE現代(転生)AU/曦澄未満「蓮花抄」神様的な何かと曦が会話してるだけのごちゃついた話。蓮の精霊澄っていいなあ(*´∀`)って思ったのにどうしてこうなるのか=つまり蓮の精霊澄はいません…ある単語がゲシュタルト崩壊起こしておられます。。
*順番がおかしかったのを修正しました…読んで下さった方、評価下さった方、すみませんんん。 10
遙直輝
DONE現代AU曦澄/社会人×社会人「SOUP SOUP and SOUP」
『RTしてくれた方に落書きを投げつける』タグのやつ。RTして下さった方のツイートの醤油ベースの腓骨蓮根湯がとても美味しそうだったから出来心しました(*´∀`)RTありがとうございました! 5
遙直輝
DONE #曦澄ワンドロワンライ 【声】原作軸曦澄「待ち合わせはいつもの場所で」
お題「声」にて初参加。そして遅刻。そしてタイムオーバー(1+1hくらい)。出来上がって久しいふたり。ふわっと読んでいただけたらありがてぇ。 8
yuno
DONE曦澄webオンリー2の展示SSです。イベント開催、誠におめでとうございます。「困ります」の続き。広告塔として聶懐桑にきせかえ人形にされている江澄の話の続きです。
(8/22追記)加筆修正いたしました。
【曦澄】続・困ります「ねえ、江兄。この色どうかな? 似合うと思うんだけど」
「そんな明るい色、着たことないぞ」
「だからだよ。江兄、紫ばっかりなんだもん。江氏大好きなのはわかるけど、たまには冒険しようよ~」
「お待ちなさい、懐桑。貴方、色はともかく、その布地はいけませんよ」
「ええ~。だって夏ですよ、曦臣義兄上。涼し気な格好がいいじゃないですか~」
「だからってこれは透けすぎです! 晩吟にはもっと品の良い装いをしていただかないと」
糸が細いし、織り目も開きすぎです。これでは下衣が透かし見えてしまうではありませんか。
許せません、論外ですとぷりぷりする藍曦臣に、そんな破廉恥なこと、させるわけないじゃありませんかと聶懐桑が弁明する。
6139「そんな明るい色、着たことないぞ」
「だからだよ。江兄、紫ばっかりなんだもん。江氏大好きなのはわかるけど、たまには冒険しようよ~」
「お待ちなさい、懐桑。貴方、色はともかく、その布地はいけませんよ」
「ええ~。だって夏ですよ、曦臣義兄上。涼し気な格好がいいじゃないですか~」
「だからってこれは透けすぎです! 晩吟にはもっと品の良い装いをしていただかないと」
糸が細いし、織り目も開きすぎです。これでは下衣が透かし見えてしまうではありませんか。
許せません、論外ですとぷりぷりする藍曦臣に、そんな破廉恥なこと、させるわけないじゃありませんかと聶懐桑が弁明する。
yuno
DONE #曦澄ワンドロワンライ のお題『手紙』に挑戦。筆蹟診断スキルを張り合う兄上です。愛しい人のことは自分が一番わかっていたいというやつです。2022/08/21 02:06 up
【曦澄】私がいちばん大人気ないとは思ったけれど、それでもどうしても譲れなかったのだと言ったなら。
貴方は笑うだろうか。
「宗主。藍宗主より贈り物が届いております」
「またか。最近多いな」
そうですね。あ、こちらは書簡です。
そう言って捧げ出されたものを受け取る。書簡と贈り物。
中を改めれば、疲れてはないかとこちらを労る言葉とともに、眠りが穏やかになるからと合わされた香が包まれていた。
「ふむ」
特に取り立てて用はなさそうな。落ち着いた頃に雲夢を訪れたいとは書かれてあるものの、まだ先の話、日取りも決まっていない話だ。
完全に私信の類の、江澄を労るためだけに送られたもの。
「宗主の働きすぎを心配なさっておいでなんですよ」
「そうだろうが、噂にも上がらぬことをどうやって勘づくんだ?」
3091貴方は笑うだろうか。
「宗主。藍宗主より贈り物が届いております」
「またか。最近多いな」
そうですね。あ、こちらは書簡です。
そう言って捧げ出されたものを受け取る。書簡と贈り物。
中を改めれば、疲れてはないかとこちらを労る言葉とともに、眠りが穏やかになるからと合わされた香が包まれていた。
「ふむ」
特に取り立てて用はなさそうな。落ち着いた頃に雲夢を訪れたいとは書かれてあるものの、まだ先の話、日取りも決まっていない話だ。
完全に私信の類の、江澄を労るためだけに送られたもの。
「宗主の働きすぎを心配なさっておいでなんですよ」
「そうだろうが、噂にも上がらぬことをどうやって勘づくんだ?」
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DONEいただいたお題でSSを書くタグのやつまとめ(お題はいつでも受付中です)
頂いたお題1つにつきA面とB面を書かせていただきました!(耳の話、B面は閲覧注意です)
掲載順は以下の通りです
『傷』A→B
『爪』A→B
『耳』A→B(閲覧注意)
『ゆずれないもの』A→B
『ほくろ』A→B 10
巨大な石の顔
DONE江澄女体化現代中国au後編です。兄上のやばさが加速しています。タイトルはどうして藍大哥は私と結婚したいのか?という意味で、その答えを書いています。元ネタは兄上以上に執着心つよつよなスパダリがでてくるとある中華ラブコメドラマです。奈可藍大哥要娶我(後編)「もしかしてその後哥哥の膝の上にのせられて、肉まんを一口ずつちぎって食べさせられた?」
「よくわかったな。茶は口移しで飲まされた」
「うわ聞きたくないよそんなの」
懐桑はああ恐ろしいとばかりに首を振った。
サングラスをかけた二人組は今運河のそばにあるイタリアンレストランのテラス席に座っていた。
初秋の透き通った陽射しがテラス席へ降り注いでいるが、川風が吹いているのでそう汗ばむことはない。
シーフード料理が売りの店なので、席に着くなり酒好きの二人は上等な白ワインを開けた。今テーブルの上にあるボトルは二本目だ。
江澄から先日のお詫びとお見舞いをしたいと連絡したところ、懐桑が「前から気になっていたんだよ」とこの市内で人気のレストランを指定したのだ。
6847「よくわかったな。茶は口移しで飲まされた」
「うわ聞きたくないよそんなの」
懐桑はああ恐ろしいとばかりに首を振った。
サングラスをかけた二人組は今運河のそばにあるイタリアンレストランのテラス席に座っていた。
初秋の透き通った陽射しがテラス席へ降り注いでいるが、川風が吹いているのでそう汗ばむことはない。
シーフード料理が売りの店なので、席に着くなり酒好きの二人は上等な白ワインを開けた。今テーブルの上にあるボトルは二本目だ。
江澄から先日のお詫びとお見舞いをしたいと連絡したところ、懐桑が「前から気になっていたんだよ」とこの市内で人気のレストランを指定したのだ。
巨大な石の顔
MAIKING江澄女体化現代中国auのつづき。前後編と言っておきながら前中後編になります。奈可藍大哥要娶我(中編) 髪や顔を撫でられる感触に、江澄はけだるい瞼をゆっくり開けた。
藍渙が隣に腰かけ、深く傷ついたような悲し気な表情でこちらを見下ろしている。シャワーを浴びたのか、髪は濡れて白いバスローブを着ていた。
泣きたいのは私なのになぜあなたが泣きそうなんだ、理不尽だ。
初めての経験は散々だった。えぐられるように痛いだけで全然気持ちよくなく、コンドームはつけてもらえないわ、おまけに尻をお仕置きだとしこたま叩かれた。きっと臀部は子供のとき躾と称されてぶたれたときよりも赤く腫れあがっている。
これなら一生自慰で過ごしたほうがましだと江澄は思った。あれほど望んでいたのにもう指一本も触られるのが嫌で頭からシーツをかぶって背を向けた。
8875藍渙が隣に腰かけ、深く傷ついたような悲し気な表情でこちらを見下ろしている。シャワーを浴びたのか、髪は濡れて白いバスローブを着ていた。
泣きたいのは私なのになぜあなたが泣きそうなんだ、理不尽だ。
初めての経験は散々だった。えぐられるように痛いだけで全然気持ちよくなく、コンドームはつけてもらえないわ、おまけに尻をお仕置きだとしこたま叩かれた。きっと臀部は子供のとき躾と称されてぶたれたときよりも赤く腫れあがっている。
これなら一生自慰で過ごしたほうがましだと江澄は思った。あれほど望んでいたのにもう指一本も触られるのが嫌で頭からシーツをかぶって背を向けた。