namo_kabe_sysy
TRAINING800文字(前後)チャレンジ16
アル空と鍾魈
16 アル空と鍾魈青い草原の広がる洞天の中で、桜の木を植えたからお花見しようと空が誘ったのは、魈と鍾離、そしてアルベドだった。
稲妻の城下を歩いていた時に舞い散る薄桃色の花弁が美しく、いつでものんびり観たいなと思っていた矢先にマルが用意してくれたため、迷わずコインと樹木を引き換えのだ。
雨の降らない洞天の中は気温も安定していて過ごしやすい。パイモンが「お花見するなら団子がいるよな!」と瞳を輝かせたために、稲妻の土産と称した三色団子も買ってきている。鍾離は茶を用意してくれて、魈は望舒旅館のオーナーから預かったという菓子を取り出し、アルベドはつまみもあるといいのではとガイアに勧められた、モンド風焼き魚を持ち寄った。
持ってきた料理のほとんどを食べきったパイモンは、満腹になったせいかそのまますよすよ寝息を立て始めてしまった。花より団子を体現するパイモンに、期待を裏切らないなあと空は苦笑をこぼす。
1216稲妻の城下を歩いていた時に舞い散る薄桃色の花弁が美しく、いつでものんびり観たいなと思っていた矢先にマルが用意してくれたため、迷わずコインと樹木を引き換えのだ。
雨の降らない洞天の中は気温も安定していて過ごしやすい。パイモンが「お花見するなら団子がいるよな!」と瞳を輝かせたために、稲妻の土産と称した三色団子も買ってきている。鍾離は茶を用意してくれて、魈は望舒旅館のオーナーから預かったという菓子を取り出し、アルベドはつまみもあるといいのではとガイアに勧められた、モンド風焼き魚を持ち寄った。
持ってきた料理のほとんどを食べきったパイモンは、満腹になったせいかそのまますよすよ寝息を立て始めてしまった。花より団子を体現するパイモンに、期待を裏切らないなあと空は苦笑をこぼす。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ15
アル空と鍾魈 アル空の成分がやや多め
15 アル空と鍾魈「無相の氷、削りに削ったら大量のかき氷ができたりしないかな……」
稲妻にて、素材集めのため無相の炎をかれこれ十回連続で討伐していた空がぼやくと、パーティに組まれていた魈、鍾離、アルベドが各々反応を示した。
「氷とはいえ食べるようなものでもあるまい? ……そのようなことを考えるとは、疲れ過ぎているのではないか?」
魈は若干の心配をみせつつ嘆息して、
「そうかもしれないな。戦闘も続いたし、少し休むといいだろう。それにしても面白い発想だな……コアとそのまわりを覆う氷とで味の変化はあるのだろうか?」
鍾離は考察を始め、
「中心の方がエネルギーは凝縮されているだろうし、変化はあるかもしれないね。どちらも削るとして、あれだけの大きさがあればかき氷はたくさん作れるだろうけど……配るにしても、同じだけシロップも必要だね」
1140稲妻にて、素材集めのため無相の炎をかれこれ十回連続で討伐していた空がぼやくと、パーティに組まれていた魈、鍾離、アルベドが各々反応を示した。
「氷とはいえ食べるようなものでもあるまい? ……そのようなことを考えるとは、疲れ過ぎているのではないか?」
魈は若干の心配をみせつつ嘆息して、
「そうかもしれないな。戦闘も続いたし、少し休むといいだろう。それにしても面白い発想だな……コアとそのまわりを覆う氷とで味の変化はあるのだろうか?」
鍾離は考察を始め、
「中心の方がエネルギーは凝縮されているだろうし、変化はあるかもしれないね。どちらも削るとして、あれだけの大きさがあればかき氷はたくさん作れるだろうけど……配るにしても、同じだけシロップも必要だね」
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ11鍾魈 パスタの話
11 鍾魈土曜日、正午を少し過ぎた頃。
鍾離と共に暮らしているマンションのキッチンで、魈は乾麺のパスタを茹でていた。
鍾離は用事があるとのことで出掛けていて、夕方まで戻らないと聞いている。夕飯は一緒にできるから、と言い置いて出ていったのは九時頃だった。詳細は聞いていないが、仕事の関係もしくは近隣住人の相談役を買って出ているのだろうと推測する。幅広い知識と圧倒的な記憶力は今世でも健在で、それらに頼る人間もまた後を絶たない。そのことは魈にとっても誇らしいが、一方でどことなく寂しさを感じることもあった。
誰からも好かれる鍾離の周りには好意を寄せる人も多い。自分もそのうちの一人だが、いつかその群れにのまれて一個体として認識されなくなるのではないかと、薄暗い気持ちになる。
1245鍾離と共に暮らしているマンションのキッチンで、魈は乾麺のパスタを茹でていた。
鍾離は用事があるとのことで出掛けていて、夕方まで戻らないと聞いている。夕飯は一緒にできるから、と言い置いて出ていったのは九時頃だった。詳細は聞いていないが、仕事の関係もしくは近隣住人の相談役を買って出ているのだろうと推測する。幅広い知識と圧倒的な記憶力は今世でも健在で、それらに頼る人間もまた後を絶たない。そのことは魈にとっても誇らしいが、一方でどことなく寂しさを感じることもあった。
誰からも好かれる鍾離の周りには好意を寄せる人も多い。自分もそのうちの一人だが、いつかその群れにのまれて一個体として認識されなくなるのではないかと、薄暗い気持ちになる。