せんべい
DONE1009鍾魈ワンドロワンライ【料理】【温もり】
料理と温もり 魈はそれが冷めるのを待っていた。
「温かい内に食べる方が、この料理の真価は知れるだろう」
そうした魈を見て、鍾離は言った。
「か」
卓の上に置かれた湯気の立つ料理――腌篤鮮を見つめていた魈は慌てた様子で顔を上げると、隣に座る鍾離を見る。自分の魂胆が既知であること、またその魂胆が鍾離の意に添わぬのだということに震え上がるような心地がし、言葉はすんなりとは出てこなかった。
「畏まりました」
そうして言葉通り畏まりながら、魈はレンゲを手に持つと、深い椀の中にそれを挿し入れる。具ではなくまずはスープだけを掬い、そのレンゲを口元へと寄せた。そうして寄せると、そのスープの熱が直に伝わってくるようだった。
「頂戴します」
2025「温かい内に食べる方が、この料理の真価は知れるだろう」
そうした魈を見て、鍾離は言った。
「か」
卓の上に置かれた湯気の立つ料理――腌篤鮮を見つめていた魈は慌てた様子で顔を上げると、隣に座る鍾離を見る。自分の魂胆が既知であること、またその魂胆が鍾離の意に添わぬのだということに震え上がるような心地がし、言葉はすんなりとは出てこなかった。
「畏まりました」
そうして言葉通り畏まりながら、魈はレンゲを手に持つと、深い椀の中にそれを挿し入れる。具ではなくまずはスープだけを掬い、そのレンゲを口元へと寄せた。そうして寄せると、そのスープの熱が直に伝わってくるようだった。
「頂戴します」
yahiro_69
DONEなかなか美味しい文化を見たのでぱっと形にしてみた鍾魈 匂わせだけで実際に喋ってるのは公子と旅人とパイモンだけですCP以外の人がよく喋るのは趣味です
幸せの贈り物「や、相棒! いいところで会ったね」
様々な人で賑わう昼下がりの璃月。
昼食を終えて万民堂から出てきた旅人を呼び止め、ファデュイの公子……タルタリヤがにこやかに駆け寄ってきた。
どうせならもっと早く会いたかったぞというパイモンのぼやきを程々にスルーし、旅人は上背があるタルタリヤを見上げて首を傾げてみせた。
「どうしたの? 今日はファデュイとか北国銀行の仕事は無いの?」
「今日はオフなんだよ。だから冒険に連れてってくれてもいいけどー……ってそれはそれとしてだ」
タルタリヤがポケットから小さな赤い包みを取り出し、興味深そうに覗き込んだパイモンへずいっと差し出した。
「はい、あげるよ。おチビちゃんはお菓子とか好きだろ? 相棒と分けなよ」
1386様々な人で賑わう昼下がりの璃月。
昼食を終えて万民堂から出てきた旅人を呼び止め、ファデュイの公子……タルタリヤがにこやかに駆け寄ってきた。
どうせならもっと早く会いたかったぞというパイモンのぼやきを程々にスルーし、旅人は上背があるタルタリヤを見上げて首を傾げてみせた。
「どうしたの? 今日はファデュイとか北国銀行の仕事は無いの?」
「今日はオフなんだよ。だから冒険に連れてってくれてもいいけどー……ってそれはそれとしてだ」
タルタリヤがポケットから小さな赤い包みを取り出し、興味深そうに覗き込んだパイモンへずいっと差し出した。
「はい、あげるよ。おチビちゃんはお菓子とか好きだろ? 相棒と分けなよ」
yahiro_69
DONEhttps://twitter.com/yahiro_69/status/1427660024625590272わんどろチャレンジと言う名のリハビリ
人はそれを相思相愛というあの方は随分と柔らかく笑われるようになった。
岩王帝君であった時分に全く笑っていなかったわけではないが、少なくとも声を上げ口を開けて笑うような顔は見たことがなかった。
彼が旧友と呼ぶ故人達であれば、あるいは見ていたのかもしれないが。
3700年続いた重荷を下ろして気が楽になったがゆえか、沢山の趣味をお持ちになった。
花を愛で、鳥を飼い、芝居や講談を聞く。
それらの趣味は人の営みから距離を置く魈には今ひとつ理解し難いものであったが、あの方が心から楽しまれているのであればその生活を守りたいと思った。
千年続く契約として人の世を守るのではなく。
人間はか弱きものゆえに守護してやらねばという庇護心ではなく。
ただただあの方が穏やかに暮らしていけるのならば。
585岩王帝君であった時分に全く笑っていなかったわけではないが、少なくとも声を上げ口を開けて笑うような顔は見たことがなかった。
彼が旧友と呼ぶ故人達であれば、あるいは見ていたのかもしれないが。
3700年続いた重荷を下ろして気が楽になったがゆえか、沢山の趣味をお持ちになった。
花を愛で、鳥を飼い、芝居や講談を聞く。
それらの趣味は人の営みから距離を置く魈には今ひとつ理解し難いものであったが、あの方が心から楽しまれているのであればその生活を守りたいと思った。
千年続く契約として人の世を守るのではなく。
人間はか弱きものゆえに守護してやらねばという庇護心ではなく。
ただただあの方が穏やかに暮らしていけるのならば。
せんべい
DOODLE鍾魈の短い話傘の話 雨が降る。
ぽつり、ぽつりと降っていたそれは、いつしか視界を遮る程の豪雨になっていた。
「魈!」
空が自分の名を呼びながら駆け寄ってくる。
「酷い雨だよ。どこかで雨宿りをしよう」
「魔物は雨だからと待ってはくれない」
「そうだけど」
「雨が嫌なのであれば、お前はどこかで休んでいるといい」
「そんな!」
更に何か言おうとそして手を伸ばしてくるので、自分はその場を離れた。空のその目を見れば自分の身を案じていることは分かったので、少しだけ体が重くなった。
そうして一人になって槍を振るう。
魔物を滅して、また滅して、それを続ける。
雨のおかげで体は綺麗なままで、今日はそれが自分を許さなかった。泥だけが散っては纏わりつく。嫌な雨に、嫌な風だった。振るうだけ振るった後に、冷えた肌とは反して身の内は熱く、僅かながらに上がった息を整えていると背後に何者かの気配を感じた。
1447ぽつり、ぽつりと降っていたそれは、いつしか視界を遮る程の豪雨になっていた。
「魈!」
空が自分の名を呼びながら駆け寄ってくる。
「酷い雨だよ。どこかで雨宿りをしよう」
「魔物は雨だからと待ってはくれない」
「そうだけど」
「雨が嫌なのであれば、お前はどこかで休んでいるといい」
「そんな!」
更に何か言おうとそして手を伸ばしてくるので、自分はその場を離れた。空のその目を見れば自分の身を案じていることは分かったので、少しだけ体が重くなった。
そうして一人になって槍を振るう。
魔物を滅して、また滅して、それを続ける。
雨のおかげで体は綺麗なままで、今日はそれが自分を許さなかった。泥だけが散っては纏わりつく。嫌な雨に、嫌な風だった。振るうだけ振るった後に、冷えた肌とは反して身の内は熱く、僅かながらに上がった息を整えていると背後に何者かの気配を感じた。
Chai16491411
DONEキス動画(https://twitter.com/Chai16491411/status/1425406147322777606?s=20)の好きなシーン静画※別角度あり
ちょっとだけ画質が動画よりいいはず
Credit
Model miHoYo/观海様
Stage ケミリア様
Motion 恥じ様
Effect ikeno様,おたもん様,下っ腹P様,ビームマンP様,真城様 28
yahiro_69
DONEお誕生日おめでとうのやーつ!! 旅人の誕生日にかこつけていちゃつく鍾魈ですふわふわとして甘く、「魈」
凛とした声に喚ばれ、風に乗り音もなく夜叉は舞い降りた。
穏やかな響きと喚ばれた場所からして危険が迫って召喚されたわけでは無いと判断し、声の主の前に傅く。
「……魈、召喚に応じ参上いたしました」
「急に呼び出して済まなかった。先程旅人にもらったから傷まないうちにと思ってな」
何のことだと顔を上げれば、声の主――鍾離の手には白いなにかを乗せた皿がある。
ふわりと漂う甘い香りと、上に四角く切られた果実と清心の花が乗せられていることから菓子だろうと検討はついたが、人間の文化に疎い魈にはそれがなんだか分からなかった。
「ケーキというものだ。璃月ではあまり流通していないからお前が知らないのも無理はない。旅人がたくさん作っては配っていたので俺も一つもらったところだ」
2413凛とした声に喚ばれ、風に乗り音もなく夜叉は舞い降りた。
穏やかな響きと喚ばれた場所からして危険が迫って召喚されたわけでは無いと判断し、声の主の前に傅く。
「……魈、召喚に応じ参上いたしました」
「急に呼び出して済まなかった。先程旅人にもらったから傷まないうちにと思ってな」
何のことだと顔を上げれば、声の主――鍾離の手には白いなにかを乗せた皿がある。
ふわりと漂う甘い香りと、上に四角く切られた果実と清心の花が乗せられていることから菓子だろうと検討はついたが、人間の文化に疎い魈にはそれがなんだか分からなかった。
「ケーキというものだ。璃月ではあまり流通していないからお前が知らないのも無理はない。旅人がたくさん作っては配っていたので俺も一つもらったところだ」
ni_tai_tw
DONE先生にいつでも(身体を)お使い下さいって言ったら、早速翌朝からハメられてる絵です※ 途中で起きたけど言い出せなくて必死に声我慢してるけど全然バレている
「狸寝入りか?つれないな」
「い、いつからお気付きに…!」
せんべい
DONE鍾魈の短い話です。重ね10に入れます。以前お題で頂いていた『雪の話』です。
雪の話 通年温暖な気候の璃月に珍しく、随分と冷えた風が吹く夜だった。湿り気のある海風が冷気を纏って吹けば、鼻腔にやけにまとわりついて人々の鼻を赤くして回った。けれどその海風は冷たさに似合わず実に穏やかで、雲は流れていかず街を覆い続けている。月も雲に隠れ、今夜は見えない。深くなる夜の色は透明感のある墨を思わせ、その淡墨の中で街の明かりが輪郭をぼかしながら煌々と輝いていた。
「外はそんなに冷えていたか」
鍾離は魈の纏っている冷気を浴びてそう言った。それから露出した肩に手を置く。そこに置かれた手は温かく、自分の体は冷えているのだと魈は認識した。
「岩のように冷たい」
「鍾離様の手は温かいです」
「いつもは逆であるのに、珍しいこともある」
2242「外はそんなに冷えていたか」
鍾離は魈の纏っている冷気を浴びてそう言った。それから露出した肩に手を置く。そこに置かれた手は温かく、自分の体は冷えているのだと魈は認識した。
「岩のように冷たい」
「鍾離様の手は温かいです」
「いつもは逆であるのに、珍しいこともある」