しいげ
DONEGoSラルアル(有)いちゃいちゃ。以下捏造あり・アルカードの身体特性
・ダークメタモルフォーゼは悪魔城伝説時代には使えず、GoS時代の現実では使える
・召喚ラルフは血まで再現されている
最後は惚気。
怒っているのかいないのか、どっちだよ。ラルフが腰から外した鞭を置くと、ごとんと重々しい音がまるで抗議のように聞こえた。
有事の際はすぐ手に取れる距離だ、許してもらおう。
ここエルゴスの館において、ラルフや他の継承者が持つヴァンパイアキラーはその身と同じく再現物だ。だがベルモンドやモリスが言うには、鞭は夜の一族への憎悪を力とし継承者を選ぶなど、人格こそないがまるで意志を持っているような代物だという。
ラルフの時代は鞭が吸血鬼への憎しみをまだ強く抱いていた頃。所有者曰く、半吸血鬼である有角が側にいると何かとうるさい、らしい。
だから、二人きりの時くらいは少しばかり身から離す。
それを気にした様子もなく、有角は身軽になったラルフの顔を覗き込んでくる。
3364有事の際はすぐ手に取れる距離だ、許してもらおう。
ここエルゴスの館において、ラルフや他の継承者が持つヴァンパイアキラーはその身と同じく再現物だ。だがベルモンドやモリスが言うには、鞭は夜の一族への憎悪を力とし継承者を選ぶなど、人格こそないがまるで意志を持っているような代物だという。
ラルフの時代は鞭が吸血鬼への憎しみをまだ強く抱いていた頃。所有者曰く、半吸血鬼である有角が側にいると何かとうるさい、らしい。
だから、二人きりの時くらいは少しばかり身から離す。
それを気にした様子もなく、有角は身軽になったラルフの顔を覗き込んでくる。
しいげ
DOODLEドラキュラ親子のラルアル前提ギャグ(ラルフ出ない)。ヴァンパイアサバイバーズ時空なのでみんないる。吸血に関してや口調など完全に想像です。平和・血臭・意地どこともわからない世界。異なる世では恐れられた親子がアフタヌーンティーよろしく卓を囲んでいる。
夫婦は見た目には年が離れすぎているが、それは没年を投影した姿であるため。現実では決してありえなかった光景を遠巻きに見る者も多いが、誰一人近付いてこようとはしない。「ドラキュラ」と「アルカード」、永遠の争いを宿命付けられた者たちが共にいる場所には。
「アルカード、あなたはお酒は飲まないの?」
「飲めはしますが、こだわりはありません。ビールだろうと日本酒だろうと何でも」
「あら、強いのね。あなたも、お酒はほどほどに」
「リサ…酒に悪酔いする吸血鬼などいないぞ」
立派な成年(?)を迎えた息子と離別を余儀なくされた夫との会話を楽しむ妻であり母。周囲が聞いたら驚くほど平和な会話だ。
2718夫婦は見た目には年が離れすぎているが、それは没年を投影した姿であるため。現実では決してありえなかった光景を遠巻きに見る者も多いが、誰一人近付いてこようとはしない。「ドラキュラ」と「アルカード」、永遠の争いを宿命付けられた者たちが共にいる場所には。
「アルカード、あなたはお酒は飲まないの?」
「飲めはしますが、こだわりはありません。ビールだろうと日本酒だろうと何でも」
「あら、強いのね。あなたも、お酒はほどほどに」
「リサ…酒に悪酔いする吸血鬼などいないぞ」
立派な成年(?)を迎えた息子と離別を余儀なくされた夫との会話を楽しむ妻であり母。周囲が聞いたら驚くほど平和な会話だ。
しいげ
DONE悪魔城伝説後くらいのラルアル、チューしてます。置いていく側の覚悟もあるよねと思うんですがGoSで再会確定してるからハピエン。ラルフの傷になにか覆いをと思ってたけどしっくりこなくてやめました。 11
しいげ
CAN’T MAKE悪魔城1999年の捏造話。ラルアルですがラルフいません。タイトルはルーマニア語「太陽を見るように誰かを見る」=愛している、だそうです。
A se uita la cineva ca la soale父に安らぎを。
そう願いながら、アルカードは幾度もその身に魔の炎を浴び、剣を父の体に突き立ててきた。
初めは仲間と。
そのあとは一人で。
そしてまた、気が付けば数百年が経ち、人の予言にまでドラキュラの復活による世界の終焉が囁かれる時代。
かつてドラキュラを葬った末裔達がアルカードの求めによって集い、再び事を成し遂げた。
父の真の姿はひたすらに恐ろしく醜悪な化け物だろう。それは、人から見たアルカード自身の姿でもある。
嫌悪することなどできない。
ただ、大人しく闇に帰れと願うばかりだ。
人の欲望で復活したドラキュラは、人の滅びの望みを叶えることなく、再び塵と化した。
「………」
あとは白馬神社の秘技により日食の封印を実行するのみ。
3114そう願いながら、アルカードは幾度もその身に魔の炎を浴び、剣を父の体に突き立ててきた。
初めは仲間と。
そのあとは一人で。
そしてまた、気が付けば数百年が経ち、人の予言にまでドラキュラの復活による世界の終焉が囁かれる時代。
かつてドラキュラを葬った末裔達がアルカードの求めによって集い、再び事を成し遂げた。
父の真の姿はひたすらに恐ろしく醜悪な化け物だろう。それは、人から見たアルカード自身の姿でもある。
嫌悪することなどできない。
ただ、大人しく闇に帰れと願うばかりだ。
人の欲望で復活したドラキュラは、人の滅びの望みを叶えることなく、再び塵と化した。
「………」
あとは白馬神社の秘技により日食の封印を実行するのみ。
しいげ
MOURNINGGoSラルアル。月下の夜想曲の話と、魔術の仕組み等の捏造が多量に含まれます。死よ、汝来たりなば…
… ゴォォン…
鐘の響きが、アルカードを目覚めに誘う。その音には聞き覚えがある気がした。
(礼拝堂の鐘か)
悪魔城の鐘楼には巨大な鐘がいくつも備わっている。闇の血を継ぐ身に祈る神などないが、音色に馴染みがない訳ではなかった。
だが城に鐘つきはいない。
時を刻む時計塔は別にあり、母の死を境に、あの場所にもはや祈りは必要なくなった。
残ったのはただ憎悪と恐怖だ。
ゴォン…
忌むべき故郷がまだここにあると言わんばかり、鐘の音は断続的に響いてくる。
(──これは弔鐘だ)
時を知らせる音でないのなら、誰かが葬られたのだ。
まるで墓の中から己の弔いを聞いているようで、闇から抜け出すために目を開く。
辺りの光景は一変していた。
『アルカード……』
13668… ゴォォン…
鐘の響きが、アルカードを目覚めに誘う。その音には聞き覚えがある気がした。
(礼拝堂の鐘か)
悪魔城の鐘楼には巨大な鐘がいくつも備わっている。闇の血を継ぐ身に祈る神などないが、音色に馴染みがない訳ではなかった。
だが城に鐘つきはいない。
時を刻む時計塔は別にあり、母の死を境に、あの場所にもはや祈りは必要なくなった。
残ったのはただ憎悪と恐怖だ。
ゴォン…
忌むべき故郷がまだここにあると言わんばかり、鐘の音は断続的に響いてくる。
(──これは弔鐘だ)
時を知らせる音でないのなら、誰かが葬られたのだ。
まるで墓の中から己の弔いを聞いているようで、闇から抜け出すために目を開く。
辺りの光景は一変していた。
『アルカード……』
しいげ
MAIKING悪魔城ラルアルGoSベルモンド推し有角とラルフとルーシー。性格崩壊と結局いちゃいちゃ注意。
英雄の英雄ドラキュラに関する書物が集められたエルゴス内の研究施設は、グリモアオブソウル(GoS)に関する設備を除けばほとんど図書館と言って差し支えない。一般的な物語から家系図から、禁書、偽書とされた史書までも。
有角は長い指で書物を繰っては、確かめながら呟く。
「…年、クリストファー・ベルモンドの子孫、シモン・ベルモンドがドラキュラを討つ……」
ぺらり。
頁を捲った指は時折すらりと細い顎に添えられ、ふむ、と頷いては再び頁に伸びる。
「…ジュスト・ベルモンドの時代に疑似悪魔城の復活……のち、リヒター・ベルモンドは…」
ぺらり、ぺらりと捲るたび、記述は脳に染み渡っていく。
有角はここに至り改めて、自分の関わらぬドラキュラ絡みの戦いが存外多いことを知った。脈々と血と決意を受け継ぎ、傍系や血族でない者の力も結集した人々の希望の歴史。
2552有角は長い指で書物を繰っては、確かめながら呟く。
「…年、クリストファー・ベルモンドの子孫、シモン・ベルモンドがドラキュラを討つ……」
ぺらり。
頁を捲った指は時折すらりと細い顎に添えられ、ふむ、と頷いては再び頁に伸びる。
「…ジュスト・ベルモンドの時代に疑似悪魔城の復活……のち、リヒター・ベルモンドは…」
ぺらり、ぺらりと捲るたび、記述は脳に染み渡っていく。
有角はここに至り改めて、自分の関わらぬドラキュラ絡みの戦いが存外多いことを知った。脈々と血と決意を受け継ぎ、傍系や血族でない者の力も結集した人々の希望の歴史。
しいげ
CAN’T MAKE過去と将来の話してるGoSラルアル。タイトルはルーマニア語。訳は「空の月をも願う」で、困難なことを願うという意味だそうです。
A cere si luna de pe cerエルゴスの研究施設、屋外の開放されたテラスにて。
有角とラルフは長椅子に腰掛け、共に夜空を眺めている。ひしめく星々は昔から変わらず瞬き続けるが、地を照らすにはあまりにもか細い。
人工の灯が満遍なく夜を照らす前──二人が生を受けた時代、闇は底知れず強大で怖ろしいものだった。
時代が過ぎ技術が発達し、人が闇に抱く恐怖は随分と隅に追いやられたようだ。だが光と闇は片方だけで世界は成り立たず、どちらかに傾きすぎれば揺り戻しがくる。
今回のグリモア・オブ・ソウルによる事件も、押し込められた闇の噴出と言えなくもないのかもしれなかった。
「終わったな」
夜陰に溶けるようなラルフの一言に有角は耳を澄ませる。
遠い過去、共に崩れゆく悪魔城を見届けた者と、こうして穏やかに並んでいられる奇跡を噛みしめながら。
3444有角とラルフは長椅子に腰掛け、共に夜空を眺めている。ひしめく星々は昔から変わらず瞬き続けるが、地を照らすにはあまりにもか細い。
人工の灯が満遍なく夜を照らす前──二人が生を受けた時代、闇は底知れず強大で怖ろしいものだった。
時代が過ぎ技術が発達し、人が闇に抱く恐怖は随分と隅に追いやられたようだ。だが光と闇は片方だけで世界は成り立たず、どちらかに傾きすぎれば揺り戻しがくる。
今回のグリモア・オブ・ソウルによる事件も、押し込められた闇の噴出と言えなくもないのかもしれなかった。
「終わったな」
夜陰に溶けるようなラルフの一言に有角は耳を澄ませる。
遠い過去、共に崩れゆく悪魔城を見届けた者と、こうして穏やかに並んでいられる奇跡を噛みしめながら。
しいげ
CAN’T MAKEGoSラルアル(有)。こちらの悪伝ラルアルなんちゃって吸血鬼話(https://poipiku.com/237679/8999455.html)の続きです。いずれもえっ…ちのこと話してるのでR15。時代を超えて青春してるふたり。
ストリゴイの持たざるもの魔導書を研究、保管するための組織──エルゴスに招かれてしばらく。
書物内での活動にも仲間たちとの交流にも慣れ、魔王ドラキュラの復活にまで至った事件も収束を迎えた。しばらくは書内に残る魔力の掃討が続くが魔導書そのものの対処にもはや緊急性はない。
そんな中、有角は暇を見ては書物に目を通していた。悪魔城に少しでも関わる書物の所蔵数は他に類がなく、己が知らぬ歴史を学ぶ他、息抜きの雑学に至るまで読むものには事欠かない。創作として語られる伝承は読み物としても気楽で面白かった。
吸血鬼伝説、その多様さと普遍さには感心する。
時代が下るほどに吸血鬼の実在を知る者は減少の一途をたどった。だが存在を信じぬ筈のものが時代を超えて、人が抱く生と死の繋がりにより偶像を形作る。
3143書物内での活動にも仲間たちとの交流にも慣れ、魔王ドラキュラの復活にまで至った事件も収束を迎えた。しばらくは書内に残る魔力の掃討が続くが魔導書そのものの対処にもはや緊急性はない。
そんな中、有角は暇を見ては書物に目を通していた。悪魔城に少しでも関わる書物の所蔵数は他に類がなく、己が知らぬ歴史を学ぶ他、息抜きの雑学に至るまで読むものには事欠かない。創作として語られる伝承は読み物としても気楽で面白かった。
吸血鬼伝説、その多様さと普遍さには感心する。
時代が下るほどに吸血鬼の実在を知る者は減少の一途をたどった。だが存在を信じぬ筈のものが時代を超えて、人が抱く生と死の繋がりにより偶像を形作る。
しいげ
MOURNING闇の呪印ラルアル(https://poipiku.com/237679/9808443.html)のサブ話。ED後、ジュリアの家で治療中のラルフとヘクターの会話が書きたかった。大狗のやすむ山にてアイザック相手に不覚を取り死の淵を彷徨ったあと、ラルフは見知らぬ家で目を覚ました。助けられたこと、そして魔女の家と聞けば、ひとまず人里離れた場所であることは見当がつく。
悪魔精錬士の関係者であるというジュリアは有能な『魔女』だった。臆せずラルフの治療を続け、お陰で傷は回復していったが、傷の深さゆえ起き上がることすらままならない日々が続く。
アイザックは、悪魔城はどうなったのか。
ラルフの懸念を見越し、意識が戻ってすぐにジュリアは事の次第を説明した。その場にヘクターもいたことが全てが終わった何よりの証だった。
病人の部屋の扉をそっと開きながら、ヘクターが声をかける。
「…起きているか、ベルモンド」
熱が上がり、汗で髪が貼り付いた顔をラルフはだるそうに声の主へ向ける。
3984悪魔精錬士の関係者であるというジュリアは有能な『魔女』だった。臆せずラルフの治療を続け、お陰で傷は回復していったが、傷の深さゆえ起き上がることすらままならない日々が続く。
アイザックは、悪魔城はどうなったのか。
ラルフの懸念を見越し、意識が戻ってすぐにジュリアは事の次第を説明した。その場にヘクターもいたことが全てが終わった何よりの証だった。
病人の部屋の扉をそっと開きながら、ヘクターが声をかける。
「…起きているか、ベルモンド」
熱が上がり、汗で髪が貼り付いた顔をラルフはだるそうに声の主へ向ける。
しいげ
MOURNING闇の呪印前後のラルアル。悪伝後にアルカードが眠りについていないなど色々捏造してます。性描写はありませんがそういう関係にしているためR15。この設定でラルフとヘクターのサブ話こちら→https://poipiku.com/237679/9808451.html
伏翼ねむる鳥篭獣すら鳴き声を潜める真の闇夜の中。
夜明けまではまだ間があったが、ラルフはすでに寝台を抜け出していた。
手早く身を清め、暗闇でも過たず獲物を手に取り身に付けていく。狩るべき闇のものが息づく夜は狩人にもまた生きる場所なのだ。
寝台へちらりと視線をやると、共に横たわっていた影が起き出す気配はない。
(だいぶ強めにしたからな…まあしばらくは起き上がれないだろう)
ただでさえ本調子ではない相手に悪いとは思ったが、罪悪感よりもしばらく会えぬであろう名残惜しさの方が強く、どちらも表には出さず飲み込む。
ラルフ・ベルモンドの名は、ドラキュラ討伐によりこの地に広く知れ渡った。自身は一介の狩人であることから変わる気はなかったが、それまで排斥されていた者が一転英雄扱いされたことも、新たに守りたいものができたことも大きな変化だ。
5267夜明けまではまだ間があったが、ラルフはすでに寝台を抜け出していた。
手早く身を清め、暗闇でも過たず獲物を手に取り身に付けていく。狩るべき闇のものが息づく夜は狩人にもまた生きる場所なのだ。
寝台へちらりと視線をやると、共に横たわっていた影が起き出す気配はない。
(だいぶ強めにしたからな…まあしばらくは起き上がれないだろう)
ただでさえ本調子ではない相手に悪いとは思ったが、罪悪感よりもしばらく会えぬであろう名残惜しさの方が強く、どちらも表には出さず飲み込む。
ラルフ・ベルモンドの名は、ドラキュラ討伐によりこの地に広く知れ渡った。自身は一介の狩人であることから変わる気はなかったが、それまで排斥されていた者が一転英雄扱いされたことも、新たに守りたいものができたことも大きな変化だ。
しいげ
DOODLE2023年の悪魔城、ブラステ絵をツイッター(X)に投稿したものまとめその1。女体化(ジーベル)及びカップリング以下を含みます。
・ラルアル ・リヒアル ・斬ミリ ・マルファス(悪魔城ベース)×オルロック(ブラステ) 62
しいげ
CAN’T MAKEGoSストーリー完結記念ラルアル、記憶の限り設定ゲーム準拠での完結後超捏造話です。ラルフが好きすぎるアルカードとアルカードが好きすぎるラルフの気軽に重い恋愛。全ての終わりに見る月は朝日が眩しく三人を照らしていた。
風にゆるく靡く髪は、安堵の弧を描く口元をいたわるように撫でる。ルーシーは長い髪を手で抑えながら、ヘルミーナと有角は気に留めることもなく遊ぶに任せている。
「行かれるのですね…有角さん」
感謝してもし足りない、という口調でルーシーは名残惜しげに有角を見やる。元から別の組織に属する者に「戻る」ではなく「行く」という表現を使うあたり、彼女の仲間意識はすっかり有角に移っているようだ。
有角ももはやわざわざ訂正はしない。人間の善性を彼女に見出す瞳には好ましさが宿っている。
「ああ。お前たちのお陰で全ては収まるべきところへ収まった──感謝する」
「それは私達こそ言わねばならぬ言葉だ、有角幻也。…見送りが少ないことも詫びなければならないな」
5646風にゆるく靡く髪は、安堵の弧を描く口元をいたわるように撫でる。ルーシーは長い髪を手で抑えながら、ヘルミーナと有角は気に留めることもなく遊ぶに任せている。
「行かれるのですね…有角さん」
感謝してもし足りない、という口調でルーシーは名残惜しげに有角を見やる。元から別の組織に属する者に「戻る」ではなく「行く」という表現を使うあたり、彼女の仲間意識はすっかり有角に移っているようだ。
有角ももはやわざわざ訂正はしない。人間の善性を彼女に見出す瞳には好ましさが宿っている。
「ああ。お前たちのお陰で全ては収まるべきところへ収まった──感謝する」
「それは私達こそ言わねばならぬ言葉だ、有角幻也。…見送りが少ないことも詫びなければならないな」
しいげ
MOURNING悪伝ラルフと月下アルカードでいちゃいちゃしてるラルアル短文。えっちなシーンはありませんがえっちなことのあとなのでR15続き(https://poipiku.com/237679/9840902.html)
曰く、流水を渡ることができない
曰く、招かれねば家に入れない
曰く、日光と銀に弱い
曰く、山査子の杭で心臓を貫くまで死ぬことはない…
…等々、それらは後世に出来上がった吸血鬼の俗説で、今はアルカードもラルフも知る由はない。
知らずとも一羽の蝙蝠は木々を抜けせせらぎを飛び越えて家を訪う。招かずともかの家の窓は夜毎開かれているし、変身を解いたアルカードの手に煌めく銀のクロスは彼自身に何の害も与えていない。
そして、心臓ではなくその身体を欲のままに貫かれる。
それは望み望まれてのことだ。夢幻ではない体は確かにラルフの腕の中で夜を共に過ごす。そう、言葉通りに。
「──……、む…」
アルカードを抱え込んだラルフが身動ぎすると、薄手の生地が縒れて肌が顕になる。戯れの続きかと思えば、アルカードの耳には変わらず落ち着いた寝息が聞こえている。ラルフに抱き枕よろしく抱えられて眠るのもよくあることだ。いつも意識を失うまでアルカードを離そうとしないから。
2219曰く、招かれねば家に入れない
曰く、日光と銀に弱い
曰く、山査子の杭で心臓を貫くまで死ぬことはない…
…等々、それらは後世に出来上がった吸血鬼の俗説で、今はアルカードもラルフも知る由はない。
知らずとも一羽の蝙蝠は木々を抜けせせらぎを飛び越えて家を訪う。招かずともかの家の窓は夜毎開かれているし、変身を解いたアルカードの手に煌めく銀のクロスは彼自身に何の害も与えていない。
そして、心臓ではなくその身体を欲のままに貫かれる。
それは望み望まれてのことだ。夢幻ではない体は確かにラルフの腕の中で夜を共に過ごす。そう、言葉通りに。
「──……、む…」
アルカードを抱え込んだラルフが身動ぎすると、薄手の生地が縒れて肌が顕になる。戯れの続きかと思えば、アルカードの耳には変わらず落ち着いた寝息が聞こえている。ラルフに抱き枕よろしく抱えられて眠るのもよくあることだ。いつも意識を失うまでアルカードを離そうとしないから。
しいげ
MOURNING悪魔城伝説、四人が戦って別れるまで完全妄想話。物理的密着などあるのでラル×アル表記しておきます(CP描写の余地がなかった)。
外見は月下アルカードと呪印前ラルフ。アルカードの設定は月下準拠です。
棺と紙と花ドラキュラ伯爵は、神を恨むあまり悪魔に身を変えた人間だという。
しかし彼はなお人に触れ、出逢い、また求める者に知識を授け、人の世を無益に拒まなかった。やがて愛する者との間に子をもうけたが、再び愛する者を奪われ、彼は憎しみに染まった──初めは神に、次いで人そのものに。
子は、父に刃を向けることを選んだ。人の世が父の憎悪に飲み込まれる前に。
人は、暴虐の限りを尽くす魔王ドラキュラに挑んだ。人の世のため、命を賭して。
「いっ………、つ……」
悪魔城での戦いは過酷だ。人への憎しみや餓えに突き動かされた悪魔が、尽きることなく行く手を阻む。
ラルフが城に乗り込んでからも数多の死体や人であったものを見た。手遅れにならなかったのはサイファとグラントのふたりだけだ。
8818しかし彼はなお人に触れ、出逢い、また求める者に知識を授け、人の世を無益に拒まなかった。やがて愛する者との間に子をもうけたが、再び愛する者を奪われ、彼は憎しみに染まった──初めは神に、次いで人そのものに。
子は、父に刃を向けることを選んだ。人の世が父の憎悪に飲み込まれる前に。
人は、暴虐の限りを尽くす魔王ドラキュラに挑んだ。人の世のため、命を賭して。
「いっ………、つ……」
悪魔城での戦いは過酷だ。人への憎しみや餓えに突き動かされた悪魔が、尽きることなく行く手を阻む。
ラルフが城に乗り込んでからも数多の死体や人であったものを見た。手遅れにならなかったのはサイファとグラントのふたりだけだ。
しいげ
CAN’T MAKEアルカードくんが悪魔城で司書として暮らしてる設定のほんのりラルアルです。ブラステRotNのODさんの台詞まんま使ってます。国も時代設定も全くゲームと合致しないというか、世界観は悪魔城とブラステのクロスオーバーです。
整然と積まれた紙と本。四方の壁を埋め尽くす本棚。知らぬ者が訪れればこれそのものが迷宮として闖入者を取り込むだろう。
ここは悪魔城の叡智の保管庫だ。
生ける絵画や本に擬態した悪魔などが時折徘徊するだけの、物静かな場所。
アルカードはこの城で生まれ育った。
人と吸血鬼の混血──人の世で人間である母と生きるには種族的特徴が体に出すぎており、城で生きる選択しかなかった。だが、太陽が平気であることなど人の特性は悪魔からも奇異に扱われた。父はそのような目をアルカードに向けることはなかったが、城を継ぐようなこともアルカードに求めない。
そもそも父は存命で今も城主として城の秩序を保っている。母が人として生を終えた後は、人の世に自ら関わることすらやめた筈だ。アルカードもそれに倣って過ごしている。
3990ここは悪魔城の叡智の保管庫だ。
生ける絵画や本に擬態した悪魔などが時折徘徊するだけの、物静かな場所。
アルカードはこの城で生まれ育った。
人と吸血鬼の混血──人の世で人間である母と生きるには種族的特徴が体に出すぎており、城で生きる選択しかなかった。だが、太陽が平気であることなど人の特性は悪魔からも奇異に扱われた。父はそのような目をアルカードに向けることはなかったが、城を継ぐようなこともアルカードに求めない。
そもそも父は存命で今も城主として城の秩序を保っている。母が人として生を終えた後は、人の世に自ら関わることすらやめた筈だ。アルカードもそれに倣って過ごしている。
しいげ
CAN’T MAKEGoSのラルフとアルカード。気持ちはラルアルですがCP未満で、希望押し付け合いの噛み合わないふたり。毎度のごとく捏造エピソードてんこ盛りです。
***ラルフ・C・ベルモンド
意識が芽生えたとき、体はすでにそこにあった。
それと同時に感覚が、記憶がはっきりとしてくる。まさに「蘇った」という実感。
自分は、俺だ。
夜を狩る一族として生きていた。闇と戦うために。
ラルフ。ベルモンドの中で、俺を示す名。
自らの手に目を落とすと濃い焦茶色の髪がさらりと顔に落ちかかる。
戦いの装いをしている。体には力が籠もり、胸元に大きく奔る傷跡が見えた。戦うための体だ。
無意識に鞭の柄を握り締めると、皮が擦れる硬い感触と音が、おまえはラルフだと告げている気がした。
そうだ、俺は、
「ラルフ・ベルモンド──さんですね?」
声のした方に視線を向けると、見たことのない女性が自分に問いかけている。
7278意識が芽生えたとき、体はすでにそこにあった。
それと同時に感覚が、記憶がはっきりとしてくる。まさに「蘇った」という実感。
自分は、俺だ。
夜を狩る一族として生きていた。闇と戦うために。
ラルフ。ベルモンドの中で、俺を示す名。
自らの手に目を落とすと濃い焦茶色の髪がさらりと顔に落ちかかる。
戦いの装いをしている。体には力が籠もり、胸元に大きく奔る傷跡が見えた。戦うための体だ。
無意識に鞭の柄を握り締めると、皮が擦れる硬い感触と音が、おまえはラルフだと告げている気がした。
そうだ、俺は、
「ラルフ・ベルモンド──さんですね?」
声のした方に視線を向けると、見たことのない女性が自分に問いかけている。