四季ラチア/レイシア
DOODLE浮京未満のエンディングその後の色々から妄想したらしいよくわからないお話がメモ帳に書いてあったのです。去年のものです。色々うろ覚えっぽい内容です。つい最近春水さんを『🌸隊長』と呼んでもいいのだと知りました。 1806
keskikiki
DONE2024.05.04東6む19b新刊につけられたらいいな!のコピー本の一篇です印刷できるか祈っておいてください寝坊しないかどうかもお願いします目蕩み眠る 仏門をくぐる者もほとんどいない尸魂界では肉食禁止令が出されることもなく──そもそも食事を必要とする『死神』の方が少ない──豚の登場こそ遅れたが養鶏は円心からやや離れても比較的盛んに行われていて、飢えを覚えぬ常人とて衣類や住居を求め若きに卵を産ませ老いたものは捌いて廷内や流魂街の詰所に納めている。
「ウチはやっていなかったがな。皆んなは二日に一度くらい食べれば満足していたが、それでも食い詰めて鶏を飼うどころじゃなかった。飼料になるものはだいたい食べちまっていて。たまに貰ったり逃げてきたのを捕まえたりしても、窶れているから、卵を産めるのも二、三回きりだ、すぐに潰して食べてしまう。旨いのがまたいけない。それにあれは朝に鳴くだろう、起きるのが早くなってしまうから腹の減りも早くなる。結局は家畜、押し込められる小屋がしっかり分けてある家のものだよ」
3016「ウチはやっていなかったがな。皆んなは二日に一度くらい食べれば満足していたが、それでも食い詰めて鶏を飼うどころじゃなかった。飼料になるものはだいたい食べちまっていて。たまに貰ったり逃げてきたのを捕まえたりしても、窶れているから、卵を産めるのも二、三回きりだ、すぐに潰して食べてしまう。旨いのがまたいけない。それにあれは朝に鳴くだろう、起きるのが早くなってしまうから腹の減りも早くなる。結局は家畜、押し込められる小屋がしっかり分けてある家のものだよ」
keskikiki
MOURNING新刊のボツが過去最長だったからみんなにも見せてあげるね これは浮京だったからではなく冬だったからですボツまとめ離れる/思う
自分たちが生まれる少し前まで東梢局はこの島国ではなく大陸を主眼に据えていたとは何度聞いても信じ難くて京楽少年と浮竹少年は山本の屋敷に宿泊が許されると決まってその頃の話をせがんだ。爆竹の音が減っただのひとの話す音が静かになっただの食べるものがめっきり変わっただの聞いても肌で理解することの叶わない話ばかりで、それでも懐古するような口ぶりが厳格な山本から出てくるのが面白くて、雀部の口からも乱世の残り香の巻き上げるような記憶を引き出そうとしてはきゃあきゃあと寝る前というのにはしゃいだものだった。言い条その頃に憧れなどなくて、ただ日頃から昔話や手柄自慢のひとつも聞かせてくれない彼らから自分たちの生まれ落ちるより前の話を聞くのが楽しかっただけである。そうやって京楽は、いまの平穏と平安を確かめて、祈る。この日々がずっと続きますようにとの願いは叶うことがない。
15510自分たちが生まれる少し前まで東梢局はこの島国ではなく大陸を主眼に据えていたとは何度聞いても信じ難くて京楽少年と浮竹少年は山本の屋敷に宿泊が許されると決まってその頃の話をせがんだ。爆竹の音が減っただのひとの話す音が静かになっただの食べるものがめっきり変わっただの聞いても肌で理解することの叶わない話ばかりで、それでも懐古するような口ぶりが厳格な山本から出てくるのが面白くて、雀部の口からも乱世の残り香の巻き上げるような記憶を引き出そうとしてはきゃあきゃあと寝る前というのにはしゃいだものだった。言い条その頃に憧れなどなくて、ただ日頃から昔話や手柄自慢のひとつも聞かせてくれない彼らから自分たちの生まれ落ちるより前の話を聞くのが楽しかっただけである。そうやって京楽は、いまの平穏と平安を確かめて、祈る。この日々がずっと続きますようにとの願いは叶うことがない。
keskikiki
MOURNING吐き出して「傲慢なお姫様は……大好き……!」と自覚したけどあんま上手く書けなかったし浮京はどっちがお姫様かというと、……待人よ 出血量が多かったため絶対安静を命じられる。四番隊の名の下で就労制限さえ科せられてしまい隊長とは名ばかりの病人として過ごす。本来隊長でないとこなせない書類業務とていつの間にか三席たちが代理で進めていて週に一二度どうしてもと押印を求めにくる程度、彼らの判断に余るものも猶予ありとされれば先送りされているようで世間のことなど何もわからなくなる。自分の体調さえ分からないのだからこの世に知れることなどないとさえ感じる。目を閉じても身の内の濁った音ばかり、気が滅入るにも飽いた。しばらくしてからそれが、彼の顔を見ていない所為だと気づいた。恥を忍んで三席の片割れに訊けば総隊長直々のお叱りを受けて面倒な出張をこなしているとのこと。かの副隊長は隊長の仕事を決して奪わず全うさせる性質なので、うっかり噛み合った暁にはなるほど出歩く暇もなくなろう。
1240keskikiki
MOURNING髪カーテン書けなかったしこいつら揃って逃げ癖があるから辛い時は独寝しかできないよぬくぬくと 共寝の目的はひとつでない仲だ。目が醒めたときまだ障子の向こうには雨戸が閉められたままで灯り取りの窓からも暗闇しか窺えなかったが、自分の髪も寝巻きも割合い綺麗なまま少し寝崩した程度、何より隣で眠る男の髪も寝巻きも綺麗なままだった。眠りの浅い男が、とは考えるもののただ身を起こした程度なので仕方ない。況してや布団を分けて眠っていた。
尿意か来客の気配でもと探ったが用を足せる気もなければ抑えられた霊圧もない、後者なら隣の男も起きていたはずで、万全とは言い難いが寝る前より呼吸器に違和があるわけでもない、微熱が出たようでもない、単純に目が醒めてしまっただけらしかった。吸飲みに手を伸ばしてみる。器物は霊圧を出さないので不便だった。慣れた作業と考えていたが思っていたほど上手くいかず、こうも不如意となる理由はとうつらうつら考えだして、すぐに嗚呼と隣にいる男を思い出した。一枚だけなのか二枚だけなのか、布団の数が変わっていた。それだけで場所も変わるとということを失念していたらしい。我が事ながら呆れるほかなく手探りで水を飲んだ。
3494尿意か来客の気配でもと探ったが用を足せる気もなければ抑えられた霊圧もない、後者なら隣の男も起きていたはずで、万全とは言い難いが寝る前より呼吸器に違和があるわけでもない、微熱が出たようでもない、単純に目が醒めてしまっただけらしかった。吸飲みに手を伸ばしてみる。器物は霊圧を出さないので不便だった。慣れた作業と考えていたが思っていたほど上手くいかず、こうも不如意となる理由はとうつらうつら考えだして、すぐに嗚呼と隣にいる男を思い出した。一枚だけなのか二枚だけなのか、布団の数が変わっていた。それだけで場所も変わるとということを失念していたらしい。我が事ながら呆れるほかなく手探りで水を飲んだ。
keskikiki
MOURNING滅却師殲滅戦の時の話を書こうと思ったけどやっぱあの二人にも「山本総隊長の秘蔵っ子」としてバリバリ前線に立って蹂躙しててほしいナが出てきたから……夜霧より未定
咳き込み続ける浮竹をどうにか抱えて裏路地に入る。この辺りのはずなのだがと地図を見返すが何しろ勝手の分からぬ異国の地、読み方が合っているかどうかさえ不安で、さりとてこの格好で人に聞いて回ることもできず表音文字の並びに目を凝らしながら進むしかない。応急の薬が効いてもなお浮竹の肺は暴れている。然もありなんと睨み上げた空は濁った色をしていた。東梢局の何もなくただ広く山にさえ滲むような空はない。
「ああ、もう。何が挨拶さ……!」
吐き捨てること何度目か、置いて行けと訴える視線を無視すること数十分、ようやく目当ての通りに辿り着いて指定された通りに何故か水を撒き散らす装置を見つけた。なんでまたと見遣れば浮竹は最早難所を通り越していて虚な目でそれを見ている。
1983咳き込み続ける浮竹をどうにか抱えて裏路地に入る。この辺りのはずなのだがと地図を見返すが何しろ勝手の分からぬ異国の地、読み方が合っているかどうかさえ不安で、さりとてこの格好で人に聞いて回ることもできず表音文字の並びに目を凝らしながら進むしかない。応急の薬が効いてもなお浮竹の肺は暴れている。然もありなんと睨み上げた空は濁った色をしていた。東梢局の何もなくただ広く山にさえ滲むような空はない。
「ああ、もう。何が挨拶さ……!」
吐き捨てること何度目か、置いて行けと訴える視線を無視すること数十分、ようやく目当ての通りに辿り着いて指定された通りに何故か水を撒き散らす装置を見つけた。なんでまたと見遣れば浮竹は最早難所を通り越していて虚な目でそれを見ている。
keskikiki
DOODLE手向ける花のひと筋もなく没案 行こう──と告げられた時京楽に浮竹の心中を汲む手掛かりなど何ひとつ与えられていなかった。ただいつものように会って、山本の指導をもらってくたくたのへろへろになるまで鍛えられて、夕食前にと饅頭のひとつふたつを与えられたところだ。一週間近く日は開いたがそう珍しいことでない。今日は夕食を共にする予定もなくこのまま二人、山本の邸を出て途中まで同じ道を歩き別れる予定である。だが京楽は、これは常と異なる誘いだと理解して、行こうか──と答えた。
夕暮れの道は薄暗い。かつては二人して雀部と手を繋いで歩かされていたしそれでもいつの間にか取っ組み合いや鬼事になっていて、雀部を探しに来た山本の手で逆さ吊りにされることもあった。数年前からは手を繋がれることこそなくなったが、京楽が街を放浪する術を知ってしまったことで、やはり時折は誰かしらが着いてくる。今日は幸いにして違った。雨催いの空の下では流石に真っ直ぐ帰ると思われたらしい。七夕が目前の梅雨時であった。
7524夕暮れの道は薄暗い。かつては二人して雀部と手を繋いで歩かされていたしそれでもいつの間にか取っ組み合いや鬼事になっていて、雀部を探しに来た山本の手で逆さ吊りにされることもあった。数年前からは手を繋がれることこそなくなったが、京楽が街を放浪する術を知ってしまったことで、やはり時折は誰かしらが着いてくる。今日は幸いにして違った。雨催いの空の下では流石に真っ直ぐ帰ると思われたらしい。七夕が目前の梅雨時であった。
keskikiki
MOURNING新年ものの浮京/京七のボツ改めて 火花の爆ぜる音で目を覚ます。暗い中に瞼を持ち上げれば先に起きていた浮竹が振り返る。
「よう。年明けてたな」
「……そうみたいねえ。お帰り、七緒ちゃん」
「ただいま戻りました。あけましておめでとうございます」
三人揃って頭を下げたところでまたパチリパチリと音が鳴る。蝋燭を神棚に上げると浮竹が腹の虫を鳴らすので、二人して笑いつつ、京楽は襷を探す。浮竹が雨戸を開けて回るので家中が賑やかになる。伊勢が先に台所へ入ってくれるので寝巻きに褞袍を引っ掛けると袖を片付けて後を追う。ちょうど、簡易コンロに残りの火をくれたところであった。夜道を共にした縄を水に漬けると伊勢は場所を譲る。京楽は代わりに頭芋や餅を取り出して、正面に立った。
2739「よう。年明けてたな」
「……そうみたいねえ。お帰り、七緒ちゃん」
「ただいま戻りました。あけましておめでとうございます」
三人揃って頭を下げたところでまたパチリパチリと音が鳴る。蝋燭を神棚に上げると浮竹が腹の虫を鳴らすので、二人して笑いつつ、京楽は襷を探す。浮竹が雨戸を開けて回るので家中が賑やかになる。伊勢が先に台所へ入ってくれるので寝巻きに褞袍を引っ掛けると袖を片付けて後を追う。ちょうど、簡易コンロに残りの火をくれたところであった。夜道を共にした縄を水に漬けると伊勢は場所を譲る。京楽は代わりに頭芋や餅を取り出して、正面に立った。
keskikiki
DONE没原稿④お月見の浮京生者に似合わぬ月光よ「せいぜい月の光を浴びるがいいよ」
──『魍魎の匣』
秋の始まりといえば陽の落ちる早さだとか朝に寒くて目が醒めるだとか人により知る術があるだろう。京楽にとっては残念ながら、ようやく酷暑を乗り切った浮竹が寒暖差で体調を崩すことで知れた。一番悔しい思いをしているのは当人だろうから決して口にはしない。卯ノ花ぐらいだ、公言するのは。
「昔はまだ持ち堪えてた筈だがな」
「ボクらも歳を食ったってことでしょ。気にしなさんな。夏風邪と違って掛け布団があっても暑くならないんだし、大人しくしててよ」
宥められたところで浮竹の顔は晴れない。
昔はもっと耐えようがあった。なにせ中秋の名月、もとい中秋節に合わせて宴会があってそこに新人は駆り出されていた。拙くも琵琶を弾いたり筝を弾いたりした覚えがある。一方で京楽は風流な振る舞いに恥じぬ見事な横笛を披露して、本人は野郎相手に無駄な音を奏でたと嘆いていたが意地の悪い同僚たちでさえ感嘆の声を漏らすほどだった。浮竹は師匠がいたから聞くに耐えぬ音を出すことはなかったものの皆が皆そうであった訳でもなく、そもそも豊作の返礼が色濃くなってきて、そこに京楽の横笛で肥えてしまった耳で素人の音色に用がある者など居らず、二人が官位を戴いて暫くした頃にはそんな風習はなくなっていた。二人揃って若くして隊長羽織を受けた頃には廷内の茶屋が商魂逞しく気張る程度で、隊ごとに内々で屋根に上ったり見晴らしのいい丘へ行ったりすることもあるぐらいだ。今に至っては浮竹なぞ団子を食べる日とさえ捉えている。
2595──『魍魎の匣』
秋の始まりといえば陽の落ちる早さだとか朝に寒くて目が醒めるだとか人により知る術があるだろう。京楽にとっては残念ながら、ようやく酷暑を乗り切った浮竹が寒暖差で体調を崩すことで知れた。一番悔しい思いをしているのは当人だろうから決して口にはしない。卯ノ花ぐらいだ、公言するのは。
「昔はまだ持ち堪えてた筈だがな」
「ボクらも歳を食ったってことでしょ。気にしなさんな。夏風邪と違って掛け布団があっても暑くならないんだし、大人しくしててよ」
宥められたところで浮竹の顔は晴れない。
昔はもっと耐えようがあった。なにせ中秋の名月、もとい中秋節に合わせて宴会があってそこに新人は駆り出されていた。拙くも琵琶を弾いたり筝を弾いたりした覚えがある。一方で京楽は風流な振る舞いに恥じぬ見事な横笛を披露して、本人は野郎相手に無駄な音を奏でたと嘆いていたが意地の悪い同僚たちでさえ感嘆の声を漏らすほどだった。浮竹は師匠がいたから聞くに耐えぬ音を出すことはなかったものの皆が皆そうであった訳でもなく、そもそも豊作の返礼が色濃くなってきて、そこに京楽の横笛で肥えてしまった耳で素人の音色に用がある者など居らず、二人が官位を戴いて暫くした頃にはそんな風習はなくなっていた。二人揃って若くして隊長羽織を受けた頃には廷内の茶屋が商魂逞しく気張る程度で、隊ごとに内々で屋根に上ったり見晴らしのいい丘へ行ったりすることもあるぐらいだ。今に至っては浮竹なぞ団子を食べる日とさえ捉えている。