朝露の香りを乗せた爽籟が鼻をかすめる。嗚呼そうだ。昨日はクーラーもいらないくらいに涼しくなったから、窓を開けたまま寝たんだっけ。
　ぼんやりと覚醒する意識の中、まだもうちょっと、この心地よさを微睡みたい。 閉じている瞼でも、僅かな光を感じる。 何時だろう。ちょっと時計を見るだけ。まだ動きたがらない目蓋を、ゆっくり開ければ、飛び込むはアーモンド型の琥珀色。
「へへっ、せんせ、おはよ」
「んー……悠仁早いね。今何時？」
　 こんなに可愛い笑顔を眼の前にしちゃ、僕の目蓋もすっかり元気になる。
「七時くらいかな〜？　そろそろ起きる？」
　 甘い声。ベッドの中、悠仁と触れている所が温かい。
「もう七時か。結構寝たな」

「悠仁、手出して？」
「ん？　包帯？」
　手の平に乗せられたのはクルクルと纏められた白い包帯。
「俺別にどこも怪我してないよ？」
「これはね、悠仁とまだ出会う前、このアイマスクの代わりに使ってた物なんだ」
「へー。それで？　なんで急に俺に？」
　率直に思ったことを口にしたのだが、何故か先生はちょっと不服そう。
　沈みかけの夕陽が窓から差し込み、先生の白い髪の毛がオレンジに染まる。二人の間に出しっぱなしだった腕が急に引かれたもんだから、乗っかっていただけの包帯が落ちないようぎゅっと掌に力を込める。と同時に先生の胸の中へダイブ。
　そのままいつもの『飛ぶ』ってやつで連れて来られた先はどこかの屋根の上。同じ高さだったはずの太陽は、遥か下。目下の廃墟は、数週間前まで人が賑わうコンクリートジャングルだったのに。

【五悠】三级片1
小镇又下雨了。
这座镇子顶上的天好像破了个窟窿，连绵的雨水把石头都能浸透，四处都泛着潮湿的霉味，高温又好像要让空气凝成实质，费尽心思把人闷到窒息。简陋的石板路上看不见人影，常住居民懂得如何和这不讲道理的雨和平相处，他们的父辈也是这样被雨水驯化。但在外人看来，这里简直不是人能生活下去的地方。
小说家顶着大雨狼狈的在凹凸不平的石板路上小步快跑，他太高了，不得不从建筑间拉起的低矮晒绳下委着身子。雨滴把他赶向紧闭大门的杂物店，那有最宽的房檐，堪堪能收留高大的男人。身上终于不用吸取额外的雨水，小说家把他那头不同寻常的银发向后梳去，露出他精致的眉眼，但可惜这副神都会想要亲吻的脸庞，只有不懂欣赏，破旧的建筑和下个没完的雨能看见了。时间似乎在一瞬间死去了，在这个安静的镇上，只有雨还活着。它们代替男人的心跳，落在参差不齐的石板、锈坏的铁皮、灰蒙肮脏的玻璃上，发出砰砰的声音。