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DONEbrmy戦衣都(学パロ)モブ♀有
「ラブレターを代わりに渡してほしい」とのお願いをきっかけに振り返る、新開くんとの交流について。
『もしかして、購買探してんのか?』
傍観者と当事者(そよいと)(学パロ)「お願い! こんなこと、弥代さんにしか頼めないの」
放課後の教室で、両手を合わせて上目遣いに懇願するクラスメイト。もとい、カースト上位に位置する女の子と向かい合っている。
この場には彼女と私の二人きり。グラウンドから走り込みをしながら掛け声を上げる野球部や、練習をする吹奏楽部の楽器の音を聴きながら「厄介ごと」に巻き込まれそうな予感をひしひしと感じていた。
明るいストレートブラウンの髪が、窓から吹き込んだ風になびいてさらさらと揺れる。合わせたままの両手には、可愛らしいピンクの封筒。話の流れから察するに、封筒の中には彼女の想いの丈がしたためられているのだろう。LIMEのやり取りが主流な現代において意外と古風だな、と場違いに感心するばかりだけれど。
3246放課後の教室で、両手を合わせて上目遣いに懇願するクラスメイト。もとい、カースト上位に位置する女の子と向かい合っている。
この場には彼女と私の二人きり。グラウンドから走り込みをしながら掛け声を上げる野球部や、練習をする吹奏楽部の楽器の音を聴きながら「厄介ごと」に巻き込まれそうな予感をひしひしと感じていた。
明るいストレートブラウンの髪が、窓から吹き込んだ風になびいてさらさらと揺れる。合わせたままの両手には、可愛らしいピンクの封筒。話の流れから察するに、封筒の中には彼女の想いの丈がしたためられているのだろう。LIMEのやり取りが主流な現代において意外と古風だな、と場違いに感心するばかりだけれど。
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DONEbrmy戦衣都
アプリリリース100日記念
衣都ちゃんに片想いしている新開さんが、入社100日祝いをするお話
決して短くはない。だが完全に心を預けるには、少し物足りなさも感じる期間。
パブロフがもたらす情熱(そよいと) 百日間。期間にして、三ヶ月と数日。
何事もそのくらいの継続があれば、良くも悪くも変化は起きる。
挫折しやすさに定評のある筋トレは累計百日間続ければ習慣化されるし、翻訳関連の資格を取る時も確か三ヶ月ちょっと――長く見積もっても半年かからないくらいで取得できた。まあTOEICやら英検やらの知識が土台にある前提だから、正確には年単位の労力だろうがそれはそれとして。百日はマイルストーンを置く時期としても適切な区切りともなり得るだろう。子どもだって百日あれば身長が伸びて顔つきが変わるし、なんだったら赤ん坊は生後百日後にお食い初めが行われて固形物を口にし始めるほど著しい成長をみせる。
いずれにせよ、決して短くはない。
3063何事もそのくらいの継続があれば、良くも悪くも変化は起きる。
挫折しやすさに定評のある筋トレは累計百日間続ければ習慣化されるし、翻訳関連の資格を取る時も確か三ヶ月ちょっと――長く見積もっても半年かからないくらいで取得できた。まあTOEICやら英検やらの知識が土台にある前提だから、正確には年単位の労力だろうがそれはそれとして。百日はマイルストーンを置く時期としても適切な区切りともなり得るだろう。子どもだって百日あれば身長が伸びて顔つきが変わるし、なんだったら赤ん坊は生後百日後にお食い初めが行われて固形物を口にし始めるほど著しい成長をみせる。
いずれにせよ、決して短くはない。
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PAST新開さんお誕生日ホームボイスから連想した、新衣都/戦衣都の小話。CPは成立していない状態であのセリフを言うとしたら……の妄想。泥酔している訳ではなくとも酔っ払いの思考になっている新開さんを見たかっただけ。
buzzed サプライズは、するのもされるのも得意じゃなくて――弥代がそんな風に切り出したのは、戦の誕生日パーティ延長戦の、飲み会の最中だった。
「プレゼントどうしようかなって悩んだんですけど……新開さんの好みもあるし、リクエスト聞いてからが外れないかなと。何か欲しいもの、ありますか」
戦は既に何本目か数えるのを止めた缶ビールを空けたせいで、程良くアルコールが回っている。一方の弥代もゆっくりとしたペースで飲んでいても普段よりも肌を赤らめているし、纏う空気も口調も心なしかふわふわしていた。
(欲しいもの……つってもなぁ……)
それなりに欲を持ち合わせているから、欲しいものもそれなりにある。しかし、決して長くはない付き合い弥代にプレゼントとして強請るとなると、どうしてなかなか難しい。
922「プレゼントどうしようかなって悩んだんですけど……新開さんの好みもあるし、リクエスト聞いてからが外れないかなと。何か欲しいもの、ありますか」
戦は既に何本目か数えるのを止めた缶ビールを空けたせいで、程良くアルコールが回っている。一方の弥代もゆっくりとしたペースで飲んでいても普段よりも肌を赤らめているし、纏う空気も口調も心なしかふわふわしていた。
(欲しいもの……つってもなぁ……)
それなりに欲を持ち合わせているから、欲しいものもそれなりにある。しかし、決して長くはない付き合い弥代にプレゼントとして強請るとなると、どうしてなかなか難しい。
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PAST新開さん、お誕生日おめでとうございました🧸誕生日には全く関係ない、8月上旬の新開さんと衣都ちゃんのおはなし。弥代衣都の名前を隠す時には『シロ』と呼ぶという前提でお読み頂けると幸いです。よくあるナンパネタから最後は逸れた。
wavering 衣都が初めて関わった強行部の依頼から、数ヶ月が経過した。準備の一環として指示された『日課』だったジム通いは、今は自分自身のための『習慣』として続いている。
(一日事務仕事だったせいか、今日は元気が余ってる……ような気がするのは、やっぱり体力ついてきたからかな)
本部での日常業務を十九時で終えた衣都は、Aporiaを――ビルを出ると、寮とは反対方向へ足を向けた。パーソナルジムとは違う、新開が教えてくれたジムのひとつで、そこは彼との護身術講習が入っていない時に主に利用している。
新開の「こいつ素質はある」という言葉を信じて、トレーニングを続けること数ヶ月。前職の時には同じ事務仕事でも終業後からもうひと運動など考えられなかったから、心身ともに少なからぬ変化を実感できる。
5432(一日事務仕事だったせいか、今日は元気が余ってる……ような気がするのは、やっぱり体力ついてきたからかな)
本部での日常業務を十九時で終えた衣都は、Aporiaを――ビルを出ると、寮とは反対方向へ足を向けた。パーソナルジムとは違う、新開が教えてくれたジムのひとつで、そこは彼との護身術講習が入っていない時に主に利用している。
新開の「こいつ素質はある」という言葉を信じて、トレーニングを続けること数ヶ月。前職の時には同じ事務仕事でも終業後からもうひと運動など考えられなかったから、心身ともに少なからぬ変化を実感できる。
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PASTジュンブライベの少し後。カプ未満な新開さんと衣都ちゃんのおはなし。新衣?新衣都?戦衣都??これまたカプ名わからん……。ジュンブライベストの🍮静さんはきっと全員分買ってくれて、衣都ちゃんがそれをまた食べたくなった……という前提でお読み頂けると幸いです。新開さん暫定推しなのですが、無自覚モテ男加減が難しすぎました。lull もう日付も変わろうとしているこの時間。新開は視界に捉えたものを疑い、二度、三度と瞬きをした。
(見間違いじゃねえ、弥代だ)
寮から一番近いミミストではない、徒歩圏内ではあるけれど少し離れた場所にあるコンビニ。外出帰りに目的なく立ち寄って店内をふらついていた新開は、入店して来た客が同僚だと気付いて、思いがけない遭遇だと片眉を上げる。
お互いにひとりなのと、自身が知り合いに会って無視を決め込む人間ではないので、そちらに足を運んだ。
「弥代」
「え? ……ああ、新開さん」
顔を覗き込むように少し身を屈めて名前を呼ぶと、一瞬の警戒の後、呼んだのが新開だと理解した弥代は緊張を緩めた。
「こんな時間に買い物か」
「はい」
2516(見間違いじゃねえ、弥代だ)
寮から一番近いミミストではない、徒歩圏内ではあるけれど少し離れた場所にあるコンビニ。外出帰りに目的なく立ち寄って店内をふらついていた新開は、入店して来た客が同僚だと気付いて、思いがけない遭遇だと片眉を上げる。
お互いにひとりなのと、自身が知り合いに会って無視を決め込む人間ではないので、そちらに足を運んだ。
「弥代」
「え? ……ああ、新開さん」
顔を覗き込むように少し身を屈めて名前を呼ぶと、一瞬の警戒の後、呼んだのが新開だと理解した弥代は緊張を緩めた。
「こんな時間に買い物か」
「はい」
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8月8日、蝶々の日に寄せて。
加えて、翻訳業務をこなす新開さんが見たくて捏造したり、ヘキを詰め込んだりした結果誕生した代物
《like butterflies in my stomach.》――
(落ち着かないの。身体の中で、蝶が飛び回っているみたい)
蝶は目覚めている(そよいと) デスクトップPCの煌々としたブルーライトに照らされながら手元の資料と睨み合う。
誓さんのアシスタントとして請け負っている翻訳業務。今回は珍しく小説――それも、恋愛ものの内容だった。
通常は論文や学術書などの硬い内容が多く、知識もボキャブラリも不十分な箇所が散見された。全体の進捗は想定よりも遅い。ジャンルを問わず同じように仕事をしているつもりだが、ままならないものだ。
(……休憩すっか)
ある種の諦めと共に区切りをつけて、ブルーライトカットの眼鏡を外す。今時らしいデザインのラウンドレンズ。細い銀縁のそれは、数ヵ月前に弥代が誕生日プレゼントとして選んでくれたものだ。
指先でテンプルを弄びながらちらりとモニターに目をやると、目元から頭頂部に刺さるような痛みを覚えた。必然的に眉間に皺を寄せる。先ほどまでは(何だったらこいつを導入するまでは)気にならなかった刺激は、どうやら目に毒だったらしい。
2129誓さんのアシスタントとして請け負っている翻訳業務。今回は珍しく小説――それも、恋愛ものの内容だった。
通常は論文や学術書などの硬い内容が多く、知識もボキャブラリも不十分な箇所が散見された。全体の進捗は想定よりも遅い。ジャンルを問わず同じように仕事をしているつもりだが、ままならないものだ。
(……休憩すっか)
ある種の諦めと共に区切りをつけて、ブルーライトカットの眼鏡を外す。今時らしいデザインのラウンドレンズ。細い銀縁のそれは、数ヵ月前に弥代が誕生日プレゼントとして選んでくれたものだ。
指先でテンプルを弄びながらちらりとモニターに目をやると、目元から頭頂部に刺さるような痛みを覚えた。必然的に眉間に皺を寄せる。先ほどまでは(何だったらこいつを導入するまでは)気にならなかった刺激は、どうやら目に毒だったらしい。
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※メインRedストバレ&過去捏造
あの日の夜に、上着の汚れを洗う新開さんの回想。
この後に何が始まるかもしれないし、始まらないかもしれない
ざざざ、と、尚もとめどない水音に耳を傾けながら
はじまりの赤(そよいと未満) 思春期特有の二次性徴と共に。あるいは、筋トレを習慣にすると決めて、メニューをひとつずつ増やすごとに。
俺の身長は面白いほどに伸びていき、折れそうに細かった身体のパーツは見栄えする形で厚みを増していった。
トレーニングでは重量のある機器を扱うから手のひらには硬さが出て、握力測定の数値の新記録をたたき出せば達成感で密やかに拳を握りしめた。
望みに見合う努力をすれば、容易く成果が表れる。そういうものだと思っていた。だからこそ、「あれがしたい」「こうなりたい」などと宣いながらちっとも変わらない連中は全員例外なく、口先だけで行動が伴わない不誠実な奴だと決めつけてかかっていた。
そうした過程で、俺は自分の傲慢さを痛感することになる。
1554俺の身長は面白いほどに伸びていき、折れそうに細かった身体のパーツは見栄えする形で厚みを増していった。
トレーニングでは重量のある機器を扱うから手のひらには硬さが出て、握力測定の数値の新記録をたたき出せば達成感で密やかに拳を握りしめた。
望みに見合う努力をすれば、容易く成果が表れる。そういうものだと思っていた。だからこそ、「あれがしたい」「こうなりたい」などと宣いながらちっとも変わらない連中は全員例外なく、口先だけで行動が伴わない不誠実な奴だと決めつけてかかっていた。
そうした過程で、俺は自分の傲慢さを痛感することになる。
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DONEbrmy戦衣都
かりそめの恋人を演じる衣都と、彼女の手に目を奪われる新開さん
その細く、あえかな手でこれまで何に触れて来たのだろう。
掌中のまぼろし(そよいと)「手、ちっさ」
心の声がそのまま漏れ出た感想に弥代は屈託なく笑う。繁華街の喧騒が漏れ聞こえる路地裏で、俺の独り言を正確に拾ったらしい。
「戦さんの手が大きいだけですよ」
そして、つないだ手の指先を身じろぐように動かし、さぞ当たり前かのように絡め合う。触れ合う手のひらは柔らかで、しかしトレーニングの影響か、まめも出来ている。健気にみずからの仕事を全うする、働く女性特有の手。
その指先……親指が、手の甲を勿体ぶるように撫でる仕草。フラットな態度からほんの僅か滲み出る、甘い空気感。
一瞬真っ白に、呑まれそうになった自身に活を入れつつ、弥代を見つめる。弥代と……弥代の背後で蠢く、気配の変化に意識を向けながら。
1136心の声がそのまま漏れ出た感想に弥代は屈託なく笑う。繁華街の喧騒が漏れ聞こえる路地裏で、俺の独り言を正確に拾ったらしい。
「戦さんの手が大きいだけですよ」
そして、つないだ手の指先を身じろぐように動かし、さぞ当たり前かのように絡め合う。触れ合う手のひらは柔らかで、しかしトレーニングの影響か、まめも出来ている。健気にみずからの仕事を全うする、働く女性特有の手。
その指先……親指が、手の甲を勿体ぶるように撫でる仕草。フラットな態度からほんの僅か滲み出る、甘い空気感。
一瞬真っ白に、呑まれそうになった自身に活を入れつつ、弥代を見つめる。弥代と……弥代の背後で蠢く、気配の変化に意識を向けながら。
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DONEbrmy戦衣都
夏ボイスの破壊力たるや。シチュエーションを捏造しました。
※思いきり台詞バレ
「ったく、言わんこっちゃねえな」
笑えねえから、もうやるな(そよいと) 七月二十三日・快晴。予想最高気温・三十六度。
うだるような暑さが約束された日の午前六時。じわじわと上がる湿度と不快指数。
そして、貴重なオフの日。
本来ならばこんな日に、無闇やたらと屋外へ出ることですらどうかしているのだ。
(けれど、気になるものは気になる……)
長袖とジーンズ。サンバイザー。首にはアイスネックを装着して、もちろん日焼け止めも忘れずに塗っている。完全防備の姿での草むしりは強制されているわけではないけれど、やはり必要なことだと思った。
仕事にも慣れ、任される業務の増加に伴って慌ただしい日々が続く中で、唐突に気がついたのだ。寮のベランダは荒れているとまではいえないけれど、このままだと草が伸び放題で大変なことになってしまう。相場よりも遥かにお手頃な家賃で住まわせて頂いている以上、最低限の手入れはしておきたい。
1340うだるような暑さが約束された日の午前六時。じわじわと上がる湿度と不快指数。
そして、貴重なオフの日。
本来ならばこんな日に、無闇やたらと屋外へ出ることですらどうかしているのだ。
(けれど、気になるものは気になる……)
長袖とジーンズ。サンバイザー。首にはアイスネックを装着して、もちろん日焼け止めも忘れずに塗っている。完全防備の姿での草むしりは強制されているわけではないけれど、やはり必要なことだと思った。
仕事にも慣れ、任される業務の増加に伴って慌ただしい日々が続く中で、唐突に気がついたのだ。寮のベランダは荒れているとまではいえないけれど、このままだと草が伸び放題で大変なことになってしまう。相場よりも遥かにお手頃な家賃で住まわせて頂いている以上、最低限の手入れはしておきたい。
michiru_wr110
DONEbrmy戦衣都
※メイン・Sly Redストバレ・依頼人設定捏造多数
※カプ要素はほんのり
あんな風に、まっとうで、あたたかで、健全な愛を向け合いたかった。
欲しがりな私の近況(トオル視点)(そよいと) もしかして……が「ああ、やっぱり」に変わったのは、長身で凄みすら感じるほどの美人に声をかけられたからだった。
「トオルちゃん!」
少し離れた距離からでもよく通る声。聞こえるやいなや、足元でマロがリードを振り回さんばかりの勢いで飛んでは跳ねて――とても七歳とは思えないはしゃぎ方だけれど――お祭り騒ぎになるのも無理もない。明るい色の長髪をなびかせ、ヒールを鳴らしながら大股で近づいてきた彼は、かつて「代行依頼」でお世話になったスタッフの一人なのだから。
「やだ、二人ともとっても元気そうじゃない!」
「おかげさまで」
都内から気軽に通える公園内のドッグランを利用した帰り道。自宅までの最短ルートは一瞬だけ、都会らしく有象無象の人々で賑わう交差点を通過する。代行依頼を終えた直後はこの人混みに紛れると足が竦んでしまいそうで、わざと迂回して帰宅していたものだ。
4270「トオルちゃん!」
少し離れた距離からでもよく通る声。聞こえるやいなや、足元でマロがリードを振り回さんばかりの勢いで飛んでは跳ねて――とても七歳とは思えないはしゃぎ方だけれど――お祭り騒ぎになるのも無理もない。明るい色の長髪をなびかせ、ヒールを鳴らしながら大股で近づいてきた彼は、かつて「代行依頼」でお世話になったスタッフの一人なのだから。
「やだ、二人ともとっても元気そうじゃない!」
「おかげさまで」
都内から気軽に通える公園内のドッグランを利用した帰り道。自宅までの最短ルートは一瞬だけ、都会らしく有象無象の人々で賑わう交差点を通過する。代行依頼を終えた直後はこの人混みに紛れると足が竦んでしまいそうで、わざと迂回して帰宅していたものだ。
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DONEbrmy戦衣都
味のある大根について
辛さが喉元通り過ぎれば(そよいと) 七……八…………。
バーベルを持ち上げる腕が、回数を追うごとに重たくなってくる。
(オーソドックスなのは煮物かおでんだろうか)
九…………。
視界の端にトレーナー、もとい新開さんの姿を認める。余計なことを考えてしまうのは、目の前にのしかかる負荷からの逃避なのだろうか。
(けれど、この時期ならもっと、さっぱりしたものが食べたい。となると)
…………十。
(さっぱり…………大根サラダ?)
「よし、休憩」
「ふう……」
取り敢えずの結論が出たと同時にカウントが終わり、十キロのバーベルを所定の位置に戻す。仰向けの体勢のまま私は、天井の壁の無機質な模様の一点をぼんやりとみつめていた。
当初は五キロほどで息も絶え絶えだった私が、今は倍の重量をそれらしく動かせる程度には進歩している。とはいえまだまだ初心者の域を出ない重量に違いはないし、まだまだトレーナーもとい新開さんのサポートは必須だけれど。いつものジム内、ほぼ貸し切り状態で行われるトレーニングは定期的に続けている甲斐あって、微々たる成長とともに「ある」寄りの体力に近づきつつある。
2169バーベルを持ち上げる腕が、回数を追うごとに重たくなってくる。
(オーソドックスなのは煮物かおでんだろうか)
九…………。
視界の端にトレーナー、もとい新開さんの姿を認める。余計なことを考えてしまうのは、目の前にのしかかる負荷からの逃避なのだろうか。
(けれど、この時期ならもっと、さっぱりしたものが食べたい。となると)
…………十。
(さっぱり…………大根サラダ?)
「よし、休憩」
「ふう……」
取り敢えずの結論が出たと同時にカウントが終わり、十キロのバーベルを所定の位置に戻す。仰向けの体勢のまま私は、天井の壁の無機質な模様の一点をぼんやりとみつめていた。
当初は五キロほどで息も絶え絶えだった私が、今は倍の重量をそれらしく動かせる程度には進歩している。とはいえまだまだ初心者の域を出ない重量に違いはないし、まだまだトレーナーもとい新開さんのサポートは必須だけれど。いつものジム内、ほぼ貸し切り状態で行われるトレーニングは定期的に続けている甲斐あって、微々たる成長とともに「ある」寄りの体力に近づきつつある。