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    #戦衣都

    michiru_wr110

    DONEbrmy
    戦衣都
    8月8日、蝶々の日に寄せて。
    加えて、翻訳業務をこなす新開さんが見たくて捏造したり、ヘキを詰め込んだりした結果誕生した代物

    《like butterflies in my stomach.》――
    (落ち着かないの。身体の中で、蝶が飛び回っているみたい)
    蝶は目覚めている(そよいと) デスクトップPCの煌々としたブルーライトに照らされながら手元の資料と睨み合う。

     誓さんのアシスタントとして請け負っている翻訳業務。今回は珍しく小説――それも、恋愛ものの内容だった。
     通常は論文や学術書などの硬い内容が多く、知識もボキャブラリも不十分な箇所が散見された。全体の進捗は想定よりも遅い。ジャンルを問わず同じように仕事をしているつもりだが、ままならないものだ。
    (……休憩すっか)
     ある種の諦めと共に区切りをつけて、ブルーライトカットの眼鏡を外す。今時らしいデザインのラウンドレンズ。細い銀縁のそれは、数ヵ月前に弥代が誕生日プレゼントとして選んでくれたものだ。
     指先でテンプルを弄びながらちらりとモニターに目をやると、目元から頭頂部に刺さるような痛みを覚えた。必然的に眉間に皺を寄せる。先ほどまでは(何だったらこいつを導入するまでは)気にならなかった刺激は、どうやら目に毒だったらしい。
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    michiru_wr110

    DONEbrmy
    戦衣都

    味のある大根について
    辛さが喉元通り過ぎれば(そよいと) 七……八…………。
     バーベルを持ち上げる腕が、回数を追うごとに重たくなってくる。
    (オーソドックスなのは煮物かおでんだろうか)
     九…………。
     視界の端にトレーナー、もとい新開さんの姿を認める。余計なことを考えてしまうのは、目の前にのしかかる負荷からの逃避なのだろうか。
    (けれど、この時期ならもっと、さっぱりしたものが食べたい。となると)
     …………十。
    (さっぱり…………大根サラダ?)


    「よし、休憩」
    「ふう……」
     取り敢えずの結論が出たと同時にカウントが終わり、十キロのバーベルを所定の位置に戻す。仰向けの体勢のまま私は、天井の壁の無機質な模様の一点をぼんやりとみつめていた。
     当初は五キロほどで息も絶え絶えだった私が、今は倍の重量をそれらしく動かせる程度には進歩している。とはいえまだまだ初心者の域を出ない重量に違いはないし、まだまだトレーナーもとい新開さんのサポートは必須だけれど。いつものジム内、ほぼ貸し切り状態で行われるトレーニングは定期的に続けている甲斐あって、微々たる成長とともに「ある」寄りの体力に近づきつつある。
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