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    michiru_wr110

    @michiru_wr110

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    michiru_wr110

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    brmy
    戦衣都
    ※メインRedストバレ&過去捏造
    あの日の夜に、上着の汚れを洗う新開さんの回想。
    この後に何が始まるかもしれないし、始まらないかもしれない

    ざざざ、と、尚もとめどない水音に耳を傾けながら

    #戦衣都
    #brmy男女CP

    はじまりの赤(そよいと未満) 思春期特有の二次性徴と共に。あるいは、筋トレを習慣にすると決めて、メニューをひとつずつ増やすごとに。
     俺の身長は面白いほどに伸びていき、折れそうに細かった身体のパーツは見栄えする形で厚みを増していった。
     トレーニングでは重量のある機器を扱うから手のひらには硬さが出て、握力測定の数値の新記録をたたき出せば達成感で密やかに拳を握りしめた。
     望みに見合う努力をすれば、容易く成果が表れる。そういうものだと思っていた。だからこそ、「あれがしたい」「こうなりたい」などと宣いながらちっとも変わらない連中は全員例外なく、口先だけで行動が伴わない不誠実な奴だと決めつけてかかっていた。

     そうした過程で、俺は自分の傲慢さを痛感することになる。

     努力の分だけ容易く欲しい身体を手に入れた俺が如何に恵まれていたのか。同じメニューを同じ回数だけこなしても、等しく同じ身体が手に入るとは限らない。そんな当たり前のことを理解していなかったのだ。
     そもそも同性であっても、鍛えられた大きな体躯を望まない人だっている。仮に望んでいたとて、俺と同じメニューをこなすことが最適解とは限らない。個人差があるからこそ、努力が実を結ばないことすら珍しくないと思い知って。
     本当の意味で理解したのはもしかすると、ごく最近のことなのかもしれない。

     * * *

    (――思ったより派手についたな)
     未明に帰宅して、いの一番に上着を脱ぎ、洗面台に放り込んでから蛇口を捻る。
     勢い任せで叩きつけるように吹き出した水が、じわりじわりと鮮血を浮かび上がらせていく。初めて作戦を共にした新人……もとい、オーナー代理のものだ。
    「弥代衣都……ね」
     有望な新人、と含みを持たせて笑む誓さんを思い出し、こういうことだったかと腹落ちした気がした。
     ざざざ、と、尚もとめどない水音に耳を傾けながら考える。
     単純に自己犠牲が強いだけではない。彼女はただ冷静に、あの瞬間の最適解を提示した。合理性を根拠として自らの身を差し出した、あの瞬間の凄み。たとえ倫理的に間違いだったとしても、あの瞬間だけは余計な口を挟むべきではなかっただろう。見る人から見れば傲慢で、尊大な言動。腹を括った奴が見せた度胸に応えるべく立ち回り、連携して、それから紆余曲折を経て弥代と合流した。
     程なくして区切りがついてからふと見やって、静かに驚愕したのだ。
     最後までマロを離さなかった弥代の手が、あまりにも小さくて。

     もしかしたら昔の俺は、弥代のような人物を疎ましく感じていたかもしれない。
     身の程を知れよ。体格差をもっと考えろよ。そうでも言って無謀さを説き、突き放していただろう。

     けれど弥代はやり遂げた。本人としては不本意な結果だっただろうが、作戦は成功したのだ。

     ……笑えねえな、と独り言ちる。救出の過程で弥代を担いだ時は特段意識しなかったし……何だったら、負傷でその手が血まみれな事自体は、何とも思わなかったはずなんだが、と。世間的には冷たい反応だろうが、何しろ、仕事柄少しの流血くらいで動揺できるような性質ではなかったので。

     何がともあれ、あんなにも小さな手のひらで、自分の仕事を成し遂げた代理。弥代は純粋に、凄い奴だったな、と思う。上着に付着した鮮血は、弥代が苦しみながらも役割を全うした証でもある。
     だからだろう。ほんの僅か、血を洗うのが惜しいと思えた。
     馬鹿らしいなと自らを鼻で笑いながら、俺は洗濯用の固形石鹸を無造作に湿りきった上着へ擦り付ける。
     ざざざざ、と流れる水音が僅かにくぐもって同時に、洗面台に汲んだ水がうっすらと色づきはじめる。

     叩きつけられた水音と石鹸の清廉な匂いに紛れて、弥代の血は跡形もなく消え失せた。
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    michiru_wr110

    DONEbrmy
    弥代衣都(+皇坂+由鶴)
    捏造しかない・弥代衣都の中に眠る、過去と現在について
    image song:遠雷/Do As Infinity

    『きょう、ばいばいで。また、ママにあえるの、いつ?』
    軽やかに纏わる言霊(弥代衣都・過去捏造) 女は視線でめつけるように傘の骨をなぞり、露先から空を仰いだ。今日という日が訪れなければどれほど良かっただったろうか、と恨みがましさを込めて願ったのに。想いとは裏腹に順調に日を重ね、当たり前のような面をして今日という日を迎えてしまった。

     無機質な黒色の日傘と、切り分けられた青空。都会のように電線で空を区切ることも、抜けたように広がる空を遮るものもない。しかし前方には、隙間なく埋め尽くされた入道雲が存在感を主張している。

     女の両手は塞がっていた。
     片方の手には日傘。そしてもう片方の手には、小さな手の温もり。
     歳相応にお転婆な少女は女の腰にも満たない背丈で、時折女の手を強く引きながら田舎特有のあぜ道を元気に駆けようとする。手を離せば、一本道をためらいなく全力疾走するであろう、活発な少女。しかし女は最後の瞬間まで、この手を離すつもりはない。手を離せば最後、何もしらない無垢な少女はあっという間に目的地へとたどり着いてしまうに違いない。
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    michiru_wr110

    DONEbrmy
    戦衣都

    味のある大根について
    辛さが喉元通り過ぎれば(そよいと) 七……八…………。
     バーベルを持ち上げる腕が、回数を追うごとに重たくなってくる。
    (オーソドックスなのは煮物かおでんだろうか)
     九…………。
     視界の端にトレーナー、もとい新開さんの姿を認める。余計なことを考えてしまうのは、目の前にのしかかる負荷からの逃避なのだろうか。
    (けれど、この時期ならもっと、さっぱりしたものが食べたい。となると)
     …………十。
    (さっぱり…………大根サラダ?)


    「よし、休憩」
    「ふう……」
     取り敢えずの結論が出たと同時にカウントが終わり、十キロのバーベルを所定の位置に戻す。仰向けの体勢のまま私は、天井の壁の無機質な模様の一点をぼんやりとみつめていた。
     当初は五キロほどで息も絶え絶えだった私が、今は倍の重量をそれらしく動かせる程度には進歩している。とはいえまだまだ初心者の域を出ない重量に違いはないし、まだまだトレーナーもとい新開さんのサポートは必須だけれど。いつものジム内、ほぼ貸し切り状態で行われるトレーニングは定期的に続けている甲斐あって、微々たる成長とともに「ある」寄りの体力に近づきつつある。
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