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DONE以前書いた綾滝のアフターストーリー的な浜三木終わり。加筆をしてpixivにあげます。お付き合い頂きありがとうございました!君を知らずに100年生きるより⑦終 「この人となら不運になってもいい」と思える人、そう考えた時に、守一郎には一人の姿が思い浮かんでいた。でも、彼は不運を守一郎のために受け入れてくれるだろうか、と朝日に照らされた天井のしみを眺めながら思った。
二人で崖から落ちたら、きっと三木ヱ門は立ち上がって文句を言うに違いない。しかもそれはうんともすんとも言わない崖にむかってだろう。それから状況を確認して、気合を入れて登ろうとするだろうか。
(ああ、きっとそうだな)
その後に、守一郎を振り返って、「行くぞ」と手を差し伸べる。そして二人で崖の上に登ったら「やったー!」と叫んで、抱き合って、喜ぶ。それから学園に帰ってみんなにその事があったと三木ヱ門は得意げに話すかもしれない。
3361二人で崖から落ちたら、きっと三木ヱ門は立ち上がって文句を言うに違いない。しかもそれはうんともすんとも言わない崖にむかってだろう。それから状況を確認して、気合を入れて登ろうとするだろうか。
(ああ、きっとそうだな)
その後に、守一郎を振り返って、「行くぞ」と手を差し伸べる。そして二人で崖の上に登ったら「やったー!」と叫んで、抱き合って、喜ぶ。それから学園に帰ってみんなにその事があったと三木ヱ門は得意げに話すかもしれない。
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MAIKING以前書いた綾滝のアフターストーリー的な浜三木⑥。こちらも気分で更新するので気長に楽しんでいただけたら助かるのと、まさかの留伊匂わせです。ご了承ください。君を知らずに100年生きるより⑥ 美味しいものを食べると食べさせてあげたくなるとか、いいことを聞くと教えたくなるとか、そういうものは誰にでも感じることだけど、「これは好きじゃないかもしれない」とか「何が好きなのを知りたい」、それから、その人の好きなものが何となく好きになっていくことまである。最近になって、この気持ちは「恋」と呼ぶらしい、ということを知った。
「恋をした」という訳では無い。だって、その人のことを考えて、嬉しくなったり、寂しくなったり、でもやはりとても大切で「俺の」同室であるということがとても大切に思えることが恋だというのならば、きっと自分はずっと、もしかしたら浜守一郎はひと目みた時から、田村三木ヱ門に恋をしていたかもしれないと思うからだ。
3141「恋をした」という訳では無い。だって、その人のことを考えて、嬉しくなったり、寂しくなったり、でもやはりとても大切で「俺の」同室であるということがとても大切に思えることが恋だというのならば、きっと自分はずっと、もしかしたら浜守一郎はひと目みた時から、田村三木ヱ門に恋をしていたかもしれないと思うからだ。
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MAIKING以前書いた綾滝のアフターストーリー的な浜三木。こちらも気分で更新するので気長に楽しんでいただけたら助かるのと、綾滝やらそれ以外要素も入るかも知れませんのでご了承ください。君を知らずに100年生きるより⑤「守一郎!今日は待ちに待ったデートの日だ!気合いを入れろ!!」
「おー!!!」
ここにもし、タカ丸でも居たのならば「体育祭じゃないんだから」とツッコミでも入っただろうに、生憎出発前の長屋の部屋には2人きりだ。2人きりで、デート前だというのにロマンはからっきし感じられなかった。三木ヱ門がうっかりタカ丸の前で弱音を吐いたあの日、朝食を食べてみるみるいつもの調子を取り戻す様を見て、タカ丸は若干引いていた。
三木ヱ門はそんなこと気にする様子もなく、腹に決めたことがあった。それは、この「恋人ごっこ」を絶対に良いものにし、守一郎が満足をして、本当の恋へと向かって行けるようにする、ということだった。
きっと、守一郎が満面の笑みを浮かべたら、自分のちくちくと疼く痛みも収まるだろうと思った。自分は1人でも平気だけれど、守一郎にはそれは似合わないから。
3942「おー!!!」
ここにもし、タカ丸でも居たのならば「体育祭じゃないんだから」とツッコミでも入っただろうに、生憎出発前の長屋の部屋には2人きりだ。2人きりで、デート前だというのにロマンはからっきし感じられなかった。三木ヱ門がうっかりタカ丸の前で弱音を吐いたあの日、朝食を食べてみるみるいつもの調子を取り戻す様を見て、タカ丸は若干引いていた。
三木ヱ門はそんなこと気にする様子もなく、腹に決めたことがあった。それは、この「恋人ごっこ」を絶対に良いものにし、守一郎が満足をして、本当の恋へと向かって行けるようにする、ということだった。
きっと、守一郎が満面の笑みを浮かべたら、自分のちくちくと疼く痛みも収まるだろうと思った。自分は1人でも平気だけれど、守一郎にはそれは似合わないから。
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MAIKING以前書いた綾滝のアフターストーリー的な浜三木の続き。こちらも気分で更新するので気長に楽しんでいただけたら助かるのと、綾滝やらそれ以外要素も入るかも知れませんのでご了承ください。君を知らずに100年生きるより④ 流されるままに残りの一日を過ごしたけれど、三木ヱ門が提案した「恋人ごっこ」はそう宣言されただけで、いつも以上なことは特に起きなかった。そして、そのまま今日が終わっていくかと思っていた矢先に三木ヱ門は二人の間から衝立をとっぱらってしまった。
「火を消してもいい?」
「ああ」
変わらず困惑したままそう尋ねながら、灯明の火を吹き消すと、外からは鈴虫の声だけがしているような、静かな夜が部屋に満ちた。
衝立なんて、たった1枚の板にすぎないけれど、それが無くなっただけで、こんなにも彼の存在が近く感じるとは思わなかった。暗くなった部屋の中でも自分とは違うこがれ香の髪は淡く光るように浮かび上がっていて、それが神秘的に見えた。すると、くるり、と三木ヱ門は寝返りをうって、うさぎのような赤い目がこちらをとらえた。
3131「火を消してもいい?」
「ああ」
変わらず困惑したままそう尋ねながら、灯明の火を吹き消すと、外からは鈴虫の声だけがしているような、静かな夜が部屋に満ちた。
衝立なんて、たった1枚の板にすぎないけれど、それが無くなっただけで、こんなにも彼の存在が近く感じるとは思わなかった。暗くなった部屋の中でも自分とは違うこがれ香の髪は淡く光るように浮かび上がっていて、それが神秘的に見えた。すると、くるり、と三木ヱ門は寝返りをうって、うさぎのような赤い目がこちらをとらえた。
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MAIKING以前書いた綾滝のアフターストーリー的な浜三木続き。こちらも気分で更新するので気長に楽しんでいただけたら助かるのと、綾滝やらそれ以外要素も入るかも知れませんのでご了承ください。君を知らずに100年生きるより③ 守一郎について、自分が学園で1番彼を知っているのだ、という自負がある。何故なら同室だからだ。彼が忍術学園に来てから、誰よりも共に過ごしていた。彼の人生を鑑みると、もしかしたら学園ではなく、世界で1番かもしれない、とも思っている。
しかし、守一郎にとっては、小さな世界から出て、出会った同い年の友人など自分が初めてだろうし、きっと自分の感じているたくさんの中にいる一人の守一郎と同じ感覚ではなく、守一郎にとってはこれから出会う世界の初めての一存在が自分なのだろう。いわば卵から出て初めて見たものを親だと思う雛と同じだ。
だから、沢山のことを手を引いてあげなければいけないのだと思っていた。ユリコにだって、そうやっていつも色々な世界を見せているのだから。それは、「恋」についてだって同じはずだ。
3296しかし、守一郎にとっては、小さな世界から出て、出会った同い年の友人など自分が初めてだろうし、きっと自分の感じているたくさんの中にいる一人の守一郎と同じ感覚ではなく、守一郎にとってはこれから出会う世界の初めての一存在が自分なのだろう。いわば卵から出て初めて見たものを親だと思う雛と同じだ。
だから、沢山のことを手を引いてあげなければいけないのだと思っていた。ユリコにだって、そうやっていつも色々な世界を見せているのだから。それは、「恋」についてだって同じはずだ。
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MAIKING以前書いた綾滝のアフターストーリー的な浜三木の続き。こちらも気分で更新するので気長に楽しんでいただけたら助かるのと、綾滝やらそれ以外要素も入るかも知れませんのでご了承ください。君を知らずに100年生きるより②「私は田村三木ヱ門だ。これからよろしく、守一郎。」
明朗にそう言った少年の虹彩は、燃える火のように真っ赤だった。そのせいか、それとも初対面の緊張と興奮か、差し出された手を握った時に「熱い」と思ったことを今でも鮮明に覚えている。胸がうるさく音をたてて、聞こえてしまうかも、もしかしたら口からまろび出てしまうかもしれないなんて子供みたいに考えていた。そんな自分の気持ちを知ってか知らずか、三木ヱ門は嬉しそうに笑っていた。
そこからの忍術学園での生活は目まぐるしく、たくさんの出会いや出来事があった。曽祖父と暮らしていたり、ひとりぼっちで籠城していた頃に比べたら信じられないぐらいに騒がしくて、めちゃくちゃで、楽しくて、ずっと前から居たような気もするし、あっという間だった気もした。尊敬する先輩も、かわいい後輩も出来たけれど、やはり「同級生」という存在は特別で、三木ヱ門から聞いた滝夜叉丸と喜八郎の友情関係に憧れを持ったりしていた。
4262明朗にそう言った少年の虹彩は、燃える火のように真っ赤だった。そのせいか、それとも初対面の緊張と興奮か、差し出された手を握った時に「熱い」と思ったことを今でも鮮明に覚えている。胸がうるさく音をたてて、聞こえてしまうかも、もしかしたら口からまろび出てしまうかもしれないなんて子供みたいに考えていた。そんな自分の気持ちを知ってか知らずか、三木ヱ門は嬉しそうに笑っていた。
そこからの忍術学園での生活は目まぐるしく、たくさんの出会いや出来事があった。曽祖父と暮らしていたり、ひとりぼっちで籠城していた頃に比べたら信じられないぐらいに騒がしくて、めちゃくちゃで、楽しくて、ずっと前から居たような気もするし、あっという間だった気もした。尊敬する先輩も、かわいい後輩も出来たけれど、やはり「同級生」という存在は特別で、三木ヱ門から聞いた滝夜叉丸と喜八郎の友情関係に憧れを持ったりしていた。
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MAIKING以前書いた綾滝のアフターストーリー的な浜三木。まだ続きます。pixiv加筆分から続いてるので良ければpixivの方を読んでからがいいかも。こちらも気分で更新するので気長に楽しんでいただけたら助かるのと、綾滝やらそれ以外要素も入るかも知れませんのでご了承ください。君を知らずに100年生きるより①「恋、か」
田村三木ヱ門は、考え込むように呟いた。と、いうのも、他でもない自分の大事な同室の友人こと浜守一郎がそのことについて尋ねていたからである。
所謂男女交際やら、おそらくずっと共に進級してきた同級生が思いを通わせたであろう直近の出来事やら、彼が興味を持っていたのはそういう事だというのは分かっている。
(火器のことならば、いくらでも話してやれるのにな。)
初めて、火器に出会った時の感動や胸の高鳴り、興奮から熱くなった自分の頬の感覚など、それは世間で一般的に言われている恋の症状に近しいものだった。けれど、それが本当にそうかというと、違っていることも理解していた。
(守一郎の力になりたいのに。)
そう思いながら、日課であるユリコを磨く手はいつの間にかとまっていた。
3310田村三木ヱ門は、考え込むように呟いた。と、いうのも、他でもない自分の大事な同室の友人こと浜守一郎がそのことについて尋ねていたからである。
所謂男女交際やら、おそらくずっと共に進級してきた同級生が思いを通わせたであろう直近の出来事やら、彼が興味を持っていたのはそういう事だというのは分かっている。
(火器のことならば、いくらでも話してやれるのにな。)
初めて、火器に出会った時の感動や胸の高鳴り、興奮から熱くなった自分の頬の感覚など、それは世間で一般的に言われている恋の症状に近しいものだった。けれど、それが本当にそうかというと、違っていることも理解していた。
(守一郎の力になりたいのに。)
そう思いながら、日課であるユリコを磨く手はいつの間にかとまっていた。
@tekit0un
DOODLE浜三木 平成パロ1992年5月22日「三木ヱ門ってオシャレだよなー」
休み時間、隣の席で鏡を見ながら髪の毛を直している友達を見ながら守一郎は言った。
「そうか?」
「こんなに髪の毛を気にしてるやつ、引っ越してくる前の学校に居なかったもん。かっこいい!」
「お前それ、僕のことバカにしてんじゃないだろうな」
色素の薄い瞳にギロリと睨まれて、慌てて訂正する。
「なんで!?褒めたつもりだったのに」
「髪の毛気にして女々しいって言いたそうだぞ」
「そんな事ない!」
三木ヱ門の良いところを指折って語ろうとすると、もういい!声がでかいんだよ!と口を塞がれた。
以前居た山奥の学校では在校生徒も少なく、中学1年は守一郎がひとりだった。小学校も含めた子供たち全員兄弟のようにあけすけな関係を築いていたから、少し都会の中学に引っ越してきた今、先回りする繊細で気を使うやりとりが守一郎にはなんとも難しい。
7239休み時間、隣の席で鏡を見ながら髪の毛を直している友達を見ながら守一郎は言った。
「そうか?」
「こんなに髪の毛を気にしてるやつ、引っ越してくる前の学校に居なかったもん。かっこいい!」
「お前それ、僕のことバカにしてんじゃないだろうな」
色素の薄い瞳にギロリと睨まれて、慌てて訂正する。
「なんで!?褒めたつもりだったのに」
「髪の毛気にして女々しいって言いたそうだぞ」
「そんな事ない!」
三木ヱ門の良いところを指折って語ろうとすると、もういい!声がでかいんだよ!と口を塞がれた。
以前居た山奥の学校では在校生徒も少なく、中学1年は守一郎がひとりだった。小学校も含めた子供たち全員兄弟のようにあけすけな関係を築いていたから、少し都会の中学に引っ越してきた今、先回りする繊細で気を使うやりとりが守一郎にはなんとも難しい。