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    #ふゆタケ

    冬武

    三苫.

    DONEホラー企画参加作品です。
    投稿日にあげた話が長くなってしまい期限内に書き終えることができず、短編に差し替えさせていただきました。
    (主催様、我儘を快くご承諾くださりありがとうございました)
    (書き終えられてない方もいずれ終わらせたいと思います…)

    ほんのりふゆタケ(最終軸)
    実話を元にしたほんのり心霊系怪異描写ありです。
    苦手な方はご注意ください。
    逢魔時に棲む者 その日はいつもと何ら変わりない一日だった。
     時間はあるけどお金は無い、高校生の夏休み。暇を持て余していた花垣武道は、バイトが休みで何も予定が無いという松野千冬を誘ってファミリーレストランでだらだらと日中を過ごした。
    平日午後の閑散期にパフェとドリンクバーのセットを注文すれば、長時間居座る高校生でも追い出されることなく涼しい店内でしゃべり倒していられる。しかしそれもディナータイムまで。夕刻になり店側の無言の圧力を察して退店した。外に出るとまだむわっと蒸し暑い空気が身体に纏わりつく。

    「大分日は傾いたけどまだまだ暑ぃな、外」
    「俺らさっきまでめちゃ冷房ガンガンかけられてたし、余計だな」
    「わざと寒くして帰らせるっていうのあからさま過ぎねえ?」
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    DONEタケミっちが千冬くんに告白して、その告白の返事に悩んだ千冬くんがマイキーに相談する話。
    キーワードは「嫉妬」と「覆水盆に返らず」です。
    二部作の予定で今作は第一部です。
    第一部:千冬くん視点、第二部:マイキー視点を予定しています。

    ※この作品では誰も救われません。
    ※添え野菜程度に事後描写があります。
    『愚人どもの恋罪』 --「恋は曲者」-- 『嫉妬とは、愛の保証への要求である。』
    《レフ・トルストイ著『アンナ・カレーニナ』の一節より》


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    「オレ、千冬のことが好きなんだ」

    そう言った相棒、もといタケミっちの顔は熟れすぎた苺みたいに真っ赤だった。多くの犠牲を出した関東事変も終焉を迎え、マイキーくんの妹や横浜天竺の総長である黒川イザナ、場地さんの仇である稀咲の死を目の当たりしてもしかしたら自分やオレが死んでてもおかしくなかったと感じ、この気持ちを伝えようと思い至ったらしい。
    オレのどこに惚れたのか訊くと、「ありすぎて一つずつ挙げると日が暮れる」とタケミっちははにかみながらある未来でタケミっちとオレが反社をしていて、その時命を張って自分のことを守ってくれたことがきっかけだったと思うと言った。それから未来から来たという傍からすれば戯言を馬鹿にすることなく信じてくれたこと。場地さんの未来を知ってて救うことが出来なかったことに対してタケミっちを責めることなく、誰からも褒められることもねえのに一人で戦ってすげえともっと胸を張れと背中を押してくれたこと。全てを受け止めた上で相棒でいてくれたこと。…など穴があれば出来るだけここから一番遠い場所まで潜って逃げちまいてえと思える自分でも小っ恥ずかしいエピソードをタケミっちは嬉しそうに、まるでずっと大切にしてきた宝物の包装を一つ一つ解いて開いていくかのように丁寧に優しく語って聞かせてくれた。
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