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DOODLE「幸せ過去最高記録更新中」の少し前の霊幻視点の話アイ・ニード・ユー 芹沢の大きな背中を見て、セックスしてぇなと唐突に思った。そう思うのは、今置かれている環境によるものだと冷静に分析する自分もいた。生存本能って本当にあるんだな、とも。
なぜなら辺りは風の轟々と音が響き、芹沢が水平に持つ傘の向こう側は真っ白という、遭難寸前の状況だからだ。自分たちの住む地域ではまず見ることのないホワイトアウトする視界と、同時に巨木の枝が大きくしなるほどの強風の音が平衡感覚を失わせる。踏み締める雪は時間が経つにつれて段々と嵩を増していて、最初は靴底が埋まるくらいだったのが今は足首が埋まるほどになっている。このペースだと一晩経ったら頭の先まで埋まって春まで見付からないだろうと思った。
仕事の依頼で、この時期に塩干潟県の山間に行くという時点で嫌な予感はしていたのだ。
2616なぜなら辺りは風の轟々と音が響き、芹沢が水平に持つ傘の向こう側は真っ白という、遭難寸前の状況だからだ。自分たちの住む地域ではまず見ることのないホワイトアウトする視界と、同時に巨木の枝が大きくしなるほどの強風の音が平衡感覚を失わせる。踏み締める雪は時間が経つにつれて段々と嵩を増していて、最初は靴底が埋まるくらいだったのが今は足首が埋まるほどになっている。このペースだと一晩経ったら頭の先まで埋まって春まで見付からないだろうと思った。
仕事の依頼で、この時期に塩干潟県の山間に行くという時点で嫌な予感はしていたのだ。
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DOODLE寒波で出張先から帰れなくなった芹霊幸せ過去最高記録更新中「ごめん母ちゃん、今日は帰れなさそう」
電話越しに母親の心配する声が聞こえて、うん、うん、と相槌を打つ。
大丈夫だよ。霊幻さんと一緒だから。明日朝には帰れると思う。ひと通りのやり取りを経て電話を切って、芹沢は息を吐く。憂鬱や煩わしさというよりも、感慨深さから来るため息だった。引きこもっていたときはもちろん、爪に所属していたときですら、仕事で帰れなくなる事態なんて、想像もしなかった。
今、自分の住んでいる味玉県から数百キロ離れた土地にあるホテルで、五階の廊下からは絶え間なく降り続ける雪で烟る、知らない町並みが見えている。現実感がない風景は書き割りのようだった。
ホテルの廊下で電話を終えて部屋に戻ると、ベッドの上では風呂に入り、服を着替えた霊幻が寝そべっていた。芹沢が着ると少し窮屈そうなビジネスホテルの寝間着も、霊幻が着ると少し裾が足りないくらいのジャストサイズに見える。
1936電話越しに母親の心配する声が聞こえて、うん、うん、と相槌を打つ。
大丈夫だよ。霊幻さんと一緒だから。明日朝には帰れると思う。ひと通りのやり取りを経て電話を切って、芹沢は息を吐く。憂鬱や煩わしさというよりも、感慨深さから来るため息だった。引きこもっていたときはもちろん、爪に所属していたときですら、仕事で帰れなくなる事態なんて、想像もしなかった。
今、自分の住んでいる味玉県から数百キロ離れた土地にあるホテルで、五階の廊下からは絶え間なく降り続ける雪で烟る、知らない町並みが見えている。現実感がない風景は書き割りのようだった。
ホテルの廊下で電話を終えて部屋に戻ると、ベッドの上では風呂に入り、服を着替えた霊幻が寝そべっていた。芹沢が着ると少し窮屈そうなビジネスホテルの寝間着も、霊幻が着ると少し裾が足りないくらいのジャストサイズに見える。
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PAST見つめる霊幻と気付いてない芹沢の攻防戦可愛いあなた 視界の中で、数センチ下にある薄茶色の瞳が揺れて、薄く開いた唇から息を吸う音がして、止まる。
まただ、と芹沢はうんざりする。トメも今日は来ておらず、エクボも不在にした相談所には芹沢と霊幻の二人だけしかいなかった。扉を背にしているので、誰かが来ればすぐにわかる。霊幻の背中越しには下ろされたブラインドは閉じられておらず、隙間からは夕陽が差し込み、長い影を作っていた。あと少ししたら電気をつけないとな、と何割か残った冷静さで考える。
きっかけは些細なことだった。最近の外食や原材料の値上がりが著しいという世間話から、一緒に食事をしようと誘ったのだ。
なんで。あなたと行きたいからです。沈黙。言葉に窮した彼が適当な理由をつけて出て行こうとするのを立ち上がって止めたのだ。
2315まただ、と芹沢はうんざりする。トメも今日は来ておらず、エクボも不在にした相談所には芹沢と霊幻の二人だけしかいなかった。扉を背にしているので、誰かが来ればすぐにわかる。霊幻の背中越しには下ろされたブラインドは閉じられておらず、隙間からは夕陽が差し込み、長い影を作っていた。あと少ししたら電気をつけないとな、と何割か残った冷静さで考える。
きっかけは些細なことだった。最近の外食や原材料の値上がりが著しいという世間話から、一緒に食事をしようと誘ったのだ。
なんで。あなたと行きたいからです。沈黙。言葉に窮した彼が適当な理由をつけて出て行こうとするのを立ち上がって止めたのだ。
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PAST霊幻のお兄ちゃん呼びに芹沢が新たな扉を開きかける話お兄ちゃんって呼ばれたい 午後十時、仕事が終わり夜学に通い、シャワーを浴びて一息つくのは大体それくらいの時間だ。最初の数ヶ月は疲れ果てて記憶が飛んでいたこともしばしばだったが、だんだんと慣れてくると夜中まで夜更かししたり、夜学の後に学友と飲みに行けるようにもなっていた。
霊幻と飲みに行ったのも、忘年会に新年会、松の内も明けて新しい年が日常として馴染み始めたタイミングだった。
遅い新年会という名目でチェーンの居酒屋に入った。半個室になったテーブル席で、タッチパネル式の注文システムで適当なつまみと酒を頼む。霊幻さんはビールですか。レモンサワーかな。じゃあ俺はビールで。
「お前手慣れてきたな」
注文の送信ボタンを押すタイミングで水が運ばれてきて、口を付けると霊幻がぽつりと言う。
2955霊幻と飲みに行ったのも、忘年会に新年会、松の内も明けて新しい年が日常として馴染み始めたタイミングだった。
遅い新年会という名目でチェーンの居酒屋に入った。半個室になったテーブル席で、タッチパネル式の注文システムで適当なつまみと酒を頼む。霊幻さんはビールですか。レモンサワーかな。じゃあ俺はビールで。
「お前手慣れてきたな」
注文の送信ボタンを押すタイミングで水が運ばれてきて、口を付けると霊幻がぽつりと言う。
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PAST心霊スポットで現場猫霊幻に怒る芹沢の話俺がやらなきゃ誰がやる 嫌な空気というものがある。
それってどういう感じ?と前に霊幻に聞かれたことがあった。だが、国語の成績がいくら良いほうでも、形容するのは難しかった。霊幻も霊と対峙した経験があるなら知っているだろうにと思ったが、言葉で言い表せないことのほうがより印象に残っていた。
今ならそれを表現することができる。腹の底がざわつく感じ。油断できないから体が臨戦態勢に入って、すべての動きに敏感になる。とにかく一刻も早く立ち去りたいが、逃げればどこまでも追い掛けられそうだから下手に動くこともできない。原始的な恐怖。いくらか言語化出来るようになっても、身体から得られる感覚情報には追いつかない。
現場は郊外にある廃病院だった。依頼主はそこに肝試しをしに行った大学生だった。同行した友人が肝試しの最中にいなくなったのだという。警察にも相談し、友人の親も失踪届を出したが、廃病院の捜索は行われなかったと言うことで、霊とか相談所に泣きついてきた。
1980それってどういう感じ?と前に霊幻に聞かれたことがあった。だが、国語の成績がいくら良いほうでも、形容するのは難しかった。霊幻も霊と対峙した経験があるなら知っているだろうにと思ったが、言葉で言い表せないことのほうがより印象に残っていた。
今ならそれを表現することができる。腹の底がざわつく感じ。油断できないから体が臨戦態勢に入って、すべての動きに敏感になる。とにかく一刻も早く立ち去りたいが、逃げればどこまでも追い掛けられそうだから下手に動くこともできない。原始的な恐怖。いくらか言語化出来るようになっても、身体から得られる感覚情報には追いつかない。
現場は郊外にある廃病院だった。依頼主はそこに肝試しをしに行った大学生だった。同行した友人が肝試しの最中にいなくなったのだという。警察にも相談し、友人の親も失踪届を出したが、廃病院の捜索は行われなかったと言うことで、霊とか相談所に泣きついてきた。
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PAST芹沢のちんちんを見て霊幻がビビる話惚れたほうが負け それを見た瞬間、霊幻はヒュッと息を呑んだ。声に出さなかった自分を褒めてやりたい。
目の前には裸の男が座っている。自分もパンツを脱いで、腰には枕を差し込み少し後ろに身体を傾けた姿勢で、ベッドの上にいた。導き出される解は一つしかない。霊幻もそのつもりだったし、事前の予習もばっちりしていた。なんなら風呂場で自分で試しに尻に指を突っ込んでみたりと、健気に努力していた。
しかし、その心も今の状況に折れかけていた。目の前に座る裸の男、芹沢も次になにをすれば良いのか分からず固まっていたので、互いに動かない状態のまま沈黙が流れていた。
ちんちんでっか。
今の霊幻には、それ以外の言葉が思いつかなかった。それもご丁寧に脳内でちいかわの声が再生される。自分の脳みそが作り出した合成音声だとしても、朝のアニメを清らかな目で見る自信が一気になくなった。
1709目の前には裸の男が座っている。自分もパンツを脱いで、腰には枕を差し込み少し後ろに身体を傾けた姿勢で、ベッドの上にいた。導き出される解は一つしかない。霊幻もそのつもりだったし、事前の予習もばっちりしていた。なんなら風呂場で自分で試しに尻に指を突っ込んでみたりと、健気に努力していた。
しかし、その心も今の状況に折れかけていた。目の前に座る裸の男、芹沢も次になにをすれば良いのか分からず固まっていたので、互いに動かない状態のまま沈黙が流れていた。
ちんちんでっか。
今の霊幻には、それ以外の言葉が思いつかなかった。それもご丁寧に脳内でちいかわの声が再生される。自分の脳みそが作り出した合成音声だとしても、朝のアニメを清らかな目で見る自信が一気になくなった。
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PASTトメ視点の出来てる世界線の芹沢と霊幻の話おっさん's ラブ もしかしてウチの職場、おっさんずラブができるのでは? という発想にトメが至ったのは、客のひとりも来ないまま事務所のテーブルで宿題を終わらせ、暇を持て余していた昼下がりのことだった。
桜が似合う春のうららかさも薄れていくと、徐々に空の色が濃くなり、雲の影のコントラストが強くなった。風は冷たいのでブレザーでちょうどいいが、日当たりがいい場所で授業を受けていると暑くなってくる、そんな季節の変わり目だ。
中学の頃もこうした暇な時間というのはあったものの、共有してくれる誰かがいて、退屈することはなかった。だがここではトメが話し掛けても、トメの望むようなやり取りは出来ない。所長の霊幻新隆も所員の芹沢克也もパソコンに釘付けになっているし、事務所内を浮遊している悪霊のエクボは鼻をほじっている始末だ。世間では持て囃されがちな女子高生というブランドも、ここでは業務用に大量購入されたボールペン以下だった。まあその方がありがたいといえばありがたいのだが。
3654桜が似合う春のうららかさも薄れていくと、徐々に空の色が濃くなり、雲の影のコントラストが強くなった。風は冷たいのでブレザーでちょうどいいが、日当たりがいい場所で授業を受けていると暑くなってくる、そんな季節の変わり目だ。
中学の頃もこうした暇な時間というのはあったものの、共有してくれる誰かがいて、退屈することはなかった。だがここではトメが話し掛けても、トメの望むようなやり取りは出来ない。所長の霊幻新隆も所員の芹沢克也もパソコンに釘付けになっているし、事務所内を浮遊している悪霊のエクボは鼻をほじっている始末だ。世間では持て囃されがちな女子高生というブランドも、ここでは業務用に大量購入されたボールペン以下だった。まあその方がありがたいといえばありがたいのだが。
くまだ
MAIKINGいつの間にか消してた、続きが一向に書けない芹霊を再掲しますなんかもったいなくて(何が?)。同じアパートのお隣さんになっちゃうシチュが死ぬほど好きです。お隣さん傘の外へ踏み出してから、随分と自分の居場所というものが増えたと思う。
職場、学校、一人暮らしを始めたアパート。
それと。
「おう、おつかれ、芹沢」
「お邪魔します、霊幻さん」
俺が住み始めたアパートの隣室。一方的に想いを募らせてしまっている、自分の上司の住む部屋だ。
*******
「へえ、良いんじゃねえか、一人暮らし」
相談所の仕事を始めてから、幾度目かの春を迎えようとしていた頃。
夜間学校のクラスメイトの何人かが一人暮らしを始めると聞いて、自分も一人での生活を始めてみようかと思うようになった。
「俺、生活は母に頼りきりだったから、色々と初めてだらけにはなると思うんですけど。新しい生活で、得られることもたくさんあると思うんですよね」
1195職場、学校、一人暮らしを始めたアパート。
それと。
「おう、おつかれ、芹沢」
「お邪魔します、霊幻さん」
俺が住み始めたアパートの隣室。一方的に想いを募らせてしまっている、自分の上司の住む部屋だ。
*******
「へえ、良いんじゃねえか、一人暮らし」
相談所の仕事を始めてから、幾度目かの春を迎えようとしていた頃。
夜間学校のクラスメイトの何人かが一人暮らしを始めると聞いて、自分も一人での生活を始めてみようかと思うようになった。
「俺、生活は母に頼りきりだったから、色々と初めてだらけにはなると思うんですけど。新しい生活で、得られることもたくさんあると思うんですよね」
Kaldericku
DONE普段従順で優しく頼りになるワンコ属性の強い年上部下が独占欲丸出しで暴走気味になるの好きです
芹霊でオメガバめちゃ見たいんですけど
二人共αだったけどレさんは芹沢さんに噛まれてΩ墜ちしたとか言うソレですかね?
オメガバじゃなくても首筋ガブガブが性癖なので5憶回見たいです
sonoberg
DONE<セリレイクエストVer.2>(2021.07.10)参加させていただきました!
短いですが楽しんでいただけたら嬉しいです!
※イベントが終了したのでパス設定解除しました。
冒頭のR18部分を除いた5Pです。
(全7p)
完全版はこちら
→ https://poipiku.com/3037853/4793156.html
裏アカフォロワー限定となります 6