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    izayoi601

    @izayoi601

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    izayoi601

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    アプリでほせ(丞相)登場記念に書いた超法の短文です。IFほせ=丞相なら式典とかあってあの衣装誂えたのかなとか、ここまで生き長らえたら悪党を被った本質は皆解っただろうから何だかんだ彼自身に報われて欲しいと思ってたら良いなとか、気づかせられるのは若であって欲しいなとか、勝手な妄想詰め込みました。

    #超法
    superLaw

    就任式 報いることだけが、信条だ。特に名誉も、肩書きも欲してはいない。それで良い筈だが、未だ恩を返しきれていない主君の命となれば承知するより他は無かった。
    回廊を歩き続け、誂えたばかりの履物は漸く馴染む。就任式自体は滞り無く終わった。諸葛亮殿と趙雲殿は勿論のこと、演説に眉を顰める者ばかり居た様だが好き勝手生きることには変わらない。この悪党を、一度表舞台に立たせてしまった方の責任ですから。
    『法正殿には、報われて欲しかったから』
    更に眉を下げつつ、何故か口元を緩めて徐庶が言った。俺は常日頃、好きに生きて来たが。こいつは偶に、俺が考えもしない感情を告げてくる。何時までも着慣れていない正装で、余計なことを。まぁこれからは同じ立場だ、そのお人好し振りも使わせて貰おう。
    「法正殿」
    聞き慣れた明瞭な声に、思わず振り向いた。兜を脱いでも、風に揺らいだ金髪が鎧に負けず眩く照らす。近付いて来るなり、何処か胸が震える。
    「……先程の演説は素晴らしかった」
    「それはどうも……」
    嫌でも視界に入りますよ、貴方だけ何故か終始目線が合いましたから。
    「その髪も似合っているぞ!」
    「一応式典ですので、整えました」
    後方へ固めた髪を掻き上げると、黄金の瞳を更に輝かせるのに視線を逸らすしか無い。
    「その衣装も良い、此方の生地は鴨の如く鮮やかだ」
    風に翻る羽織った布を指先で摘みながらの言葉に、眼を見開いた。仕立てる際に呼んだ職人が生地を見せる中、この一色で記憶が蘇ってしまう。
    「流石法正殿だ……あれは美味い上、羽も使える」
    鴨の羽は衣となり、命尽きれば肉となり育てられた恩をその身を以て返すという。
    幼い頃に祖父が語った知識こそ、全ての始まり。決して言いたくは無いが、時折勘付かれた様に指摘されるのが敵わない。
    「うむ、普段の法正殿もだが……今の法正殿も、本当に美しいな」
    真っ直ぐ過ぎる程の言葉が全身に響き、身動きも止まる。遅かれ早かれ、好きに生きた分積年の恨みに命で報いるのは当然だ。たとえ、志半ばでも。だが揃いも揃ってお人好しに囲まれた影響か、まだ此処に居る。恩は返してきた、それで満たされていた筈。仕方無く窮屈に閉じた胸の奥底が、熱を帯びる。初めて、知る感覚だ。何故か、とても。
    「壮観だ、格好良いぞ!綺麗だ!」
    「う、煩いですよ……聞こえていない訳では無いです」
    「む、そうか」
    黙したせいか大音量で繰り返され苛立つのに、頬が緩むのを必死に堪えた。全く面倒で、暑苦しいが。嘘偽りが無さ過ぎて、気付かされるとは。
    「ともかく……これからは更に、たっぷりと働いて貰いますよ……馬将軍殿」
    またしても劉備殿へ大いに報える機会を与えられた、逃す手は無い。一気に強い眼光を携え、口角を上げ拱手する。
    「無論だ……共に仁の世を成す為、御身は必ずお守りしよう……丞相殿」
    精々、こき使ってやりますよ。この身が未だ在ることが、主君への恩と共に貴方に返せることが。これ以上無く、『嬉しい』と思わされた分を。疾風に木々が揺らぎ、薄紅の花弁が舞い降りてくる。瞬間、馬岱殿が身支度を手伝うと髪を整えた際の言葉を思い起こす。
    『俺が生き残ることが信条な理由、今なら解ってくれるんじゃない?』
    徐庶もだが食えない奴等だ、これ程不本意な切っ掛けで知ると解っていたのか。『報われる』とは、この様な感情なのだろう。悔しいが、髪に引っ掛かる花弁を摘み微笑むのに体温が心地好く上気する。
    「頼みますよ」
    受け取った花弁を、柔らかく包みながら瞼を伏せる。生き長らえるというのは、考えていたよりも幸福なことらしい。
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    izayoi601

    DONE桜の季節の話が久々に書きたくて、かくわい先生としょうかいくんがただ話してる学パロになりました
    この二人の親子みたいな関係性が好きで…ずっと温かい関係で居て欲しい
    青春しているしょうかいくんが先生には素直に本音を話せるところを書きたかっただけですがもし宜しければ
    ぶんおうくんは出てきませんがほんのり鴦鍾です
    私の先生「何なんだ、あの女……」
     今日は進路相談の筈だろう。天命館学園では二年生の春に行われる、担任からの個別面談。一年から引き続いての辛憲英先生と向かい合い、肝心の進路の話はほんの数分。まぁ私程優秀ならば口を挟まれる様なことも無いのだが、切り替わった話題が実に下らない。
    『文鴦君とは、その後如何ですか?』
    やれ『仲良くなられたのでしょう?』だの『ご友人との旨は胸を張って話すべきですわ』だの、駄洒落混じりに満面の笑みを浮かべながら根掘り葉掘り。ここ最近では最も疲弊した、もう何も話したく無い。
    「……それで、此方に居らしたのですね」
    気が付くと化学準備室の方向へ足を進め、まだ旧式とあいつが揃っていないことを見計らい扉を開ける。ローテーブルに緑茶を置かれ、少しずつ啜れば動かしたくなかった口でも言葉が奥底から湧き出て来た。
    2115

    izayoi601

    DONE公式さんのエイプリルフールから妄想して勢いで書いた、まんちょうどのが開発したARデバイスを付けるほせどのの現パロ超法小話
    二直とまんちょうどのは同じ工科大に通っている設定です…試作品で色々振り回されてほしい
    まんちょうどの久々に書いたので温かい目で見てやってください
    ちなみにじょしょどのはばたいどのの姿が見えた途端名前を呼びながら抱き締めました
    映るのは「……と言う訳で、早速着けてみてくれるかな」
     その訳を説明されても、俺に着ける義理は無いのだが。高校を卒業して工科大生活が始まってからというもの、徐庶と学部が同じことで出会った一癖ある彼の行動には呆れさせられた。流石教授から、創学以来の変わり者と言われるだけはある。大学部まである筈の名門鳳凰学院から、自由に発明へ没頭したいだけで此方を選んだという経緯だけでも納得したが。
    ゼミ棟の一室に篭っていたかと思えば、今も翡翠に光るサングラスの様な電子機器を否応無しに持たされてしまった。
    「ですから、何で俺まで」
    「ははっ、何事もデータは多いに越したことないじゃないか」
    要は趣味で作った発明品の実験台だろ。無邪気に至極当然という表情で答えられ、溜息を吐く。
    1814

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    izayoi601

    MOURNING二年前に書いた艾淮本の番外編。
    現パロで定軍山の関係性を書いてみたくて、棋士淮殿の好敵手ならほせかなと試し書きしたものです。いざ書いたら艾淮が少なく、はまったばかりの超法を入れ込み過ぎ誰得なのか解らない話になってしまった…と仕舞っていましたが折角書いていたので此処にあげておきます。書いた私だけが楽しかった話(大体そう)ですがもしご興味ありましたらお暇な時にでも。
    忘れ難い好敵手「…おや、大分上手になりましたね…鄧艾殿」
    「いえ、当然ですが…やはり、郭淮殿はお強い」
    共に過ごせる時、リビングに将棋盤を置いて愉しむのも一興。貴方と向き合うのは、人生を将棋に捧げてきた私にとり大切なものだった。勝敗はどうより、貴方のことが手に取る様に解るから。
    「ふふ、けっほ…貴方の盤石に固めた差し方をするところ…とても、好きですよ」
    「はは…どうも、無作為に飛び出す勇気は無く…見事に隙を突かれてしまいます」
    「将棋は、性格が現れますからね」
    盤の上を眺め、相手がどの様な考えかを読み解き降すのが棋士。重厚な守備と揺るぎない実直さを感じ、何時までも差して居たかった。
    「今更ですが、郭淮殿は棋士として様々な方と差しておられますよね…何方か、印象深い方はいらっしゃいますか?」
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