「ふぅ……あっつい……」
申し訳程度に椅子が置かれた狭い休憩スペースにやってきた風信は、腰を下ろすと手の甲で額の汗を拭った。一つ息をつくと、片手に持っていたアイスクリームバーの袋を破る。
「あ、風信機長」
タイミング良く現れるその声にはもう風信は驚かない。「おう南風。休憩か?」
「はい」
風信の向かいの席に腰を下ろした南風も暑そうに手でゆるく扇いでいる。
「アイス、いいですね」
風信が袋から取り出したバニラアイスのバーを見て南風が笑う。風信も笑って返す。
「やらんぞ」「わかってますよ」
サイズも濃厚さも従来品よりアップという宣伝文句に偽りはないらしい。うっすらとクリーム色がかった乳白色のバーはしっかりと太さがある。
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