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    jbhw_p

    @jbhw_p

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    jbhw_p

    PAST2024.6.25に開催された北渉オンリーで無配として用意したグラデュエーションネタの北渉です。最近フルボイスでストを読み直して、屋上でのシーンに想いを馳せながら書いたことを思いだしました。
    春の日に 屋上を吹き抜けていく風は季節の移ろいを感じさせる。柔らかく、それでいて激しく。まるで嵐のようだと北斗は思う。鳥籠を手に柵の近くへ歩み寄ると、眼下にはすっかりと蕾を開いた桜の木がワサワサと喜びを寿ぐうように風で揺れていた。時々、北斗のいる屋上まで桃色の花弁が運ばれてくる。おだやかで、それでいてどこかさみしい季節だ、と北斗はこの季節が巡る度に感じた。いや、そう感じるようになったのはここ一年の話だったかもしれない。送り出す側から送り出される側になった今、思うことは一つだ。
     自分はこの学び舎で、いったい何を得て、何を残すことができたのだろう。卒業が近づくにつれ、考えるのはそんなことばかりだ。卒業した後も人生は続いていく、今までもこれからもアイドルと役者の二足の草鞋で活動していくことに変わりはない。ESが設立されてから(苦労はあるものの)仕事の幅も広がり、Trickstarとしても勢いづいているところではある。
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    jbhw_p

    DONE師走の仕事納めをして、二人で迎える朝の話。
    冬の朝 師走の忙しさを身をもって経験したジュンと茨は、カウントダウンイベント後すぐに用意していたホテルへと向かった。日和と凪砂はその脚で巴家へ向かった。ライブに出演していたアイドルたちもそれぞれのいるべきところへ帰っていき、こうしてやっと各々の正月を迎えることができた。
     茨もジュンも一年の仕事納めのあとはいつも疲労困憊といった感じで、ホテルに着いてからなんとかお互いを鼓舞しあいシャワーを浴びて、言葉を交わす余裕もなく眠りについた。おやすみと言ったかどうかすらも曖昧な年明け。新しい年を迎えた実感もないまま朝を迎えるのが二人の定石だった。
     しかし、ルーティンとは恐ろしいもので、眠る前の疲労感とは裏腹にジュンはいつも通りの時間に目が覚めてしまった。ゆっくりと首を捻り、時計の時刻を確認する。ベッドに備え付けられたデジタル時計は6時18分を示していた。アラームは消していたので多少の誤差はあるものの、ジュンがいつも目を覚ます時間と近い。反対側には布団に包まって眠る茨の姿。死んだように眠るを体現したように静かでジュンは一瞬どきりとする。しかし、毛布の下の身体が上下して呼吸をしていることを示していれば、ほっと胸を撫でおろした。
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