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    ko8sub

    @ko8sub

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    ko8sub

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    私は雨イベントの話
    🥞🎨
    かけませんでした

    🥞🎨※カード出なかったので、ただの未読者の話です。




    「個展?」


    母さんから聞いた。あの2人からこの話は来ないのは母さんからの話でわかることだ。姉を想って言葉を掛けようとするが、いかんせん言葉が足りなすぎる不器用な親父。その言葉が足りない親父のせいで聞く耳を持たなくなった姉。まぁ、嫌なことから遠ざかろうともう自分が嫌なことを言われて聞きたくないと親父から逃げていたというのもある。

    なんで、また。それこそ、あいつが行きたくないだろう。不満な顔をしていたのだろう。母さんにバレていて、くすくすとした笑い声。わかりやすくて悪かったな。見ないように目を逸らせば、「心配しなくても平気よ」と慈しむ表情でオレを見た。あぁ、あいつのあの表情は母さん譲りだなと分かってしまいながらも、「それなら、いいんだけど」と納得してはないが、返事をした。


    「彰人も行く?」
    「いや、練習あるから」


    本当は行きたい。ついて行きたいが、絵画教室の課外授業だ。オレはそこにいない。いてはいけない奴だ。たとえ心配だからとはいえ、支えられないだろう。個展の手伝い。絵の搬入やら設置やらチケットの確認等、なんとなくやることはわかってるようで、他のこともやらなきゃいけないだろう。今もだがこれから先、絵を大事にしているやつの邪魔をしてはいけない。オレだって、歌のことに関してはいつだって真剣で時間があれば許す限り歌に費やしている。「力仕事なら任せろ」なんて、言えない。


    「彰人も個展に行ってみる?」
    「いや、いい。」


    「そう、」と残念がる母さん…のように見えるが、それはフリだってことは知っている。姉と俺の外面がいいのはきっと母譲りのものだろうと勝手に思ってはいる。本人に言ったら圧をかまされるだろうから言わない。


    「私は親としてしか見れないから、喧嘩もあのことそんなに出来ないから」
    「わかってる」


    「絵名のことをちゃんと見ててね」とでも続けるだろうから、言葉を被せた。喧嘩はまぁ、する。けど、姉として見ても見れない部分があることはまだ、どうか知らないで欲しい。俺やあいつ、親父のことを見てくれるからこそ、見抜ける母さんだから、いつかは見破られるだろう。オレの絵名へ向ける想いを。



    ☆☆


    隣の部屋からうるさいほど鳴り響く目覚ましたち。止まなければ、オレが起こしに行く…ことはなかった。壁が薄いのかと疑ってしまうが、「うるさい」と言う、あいつの不満なうるさい声が聞こえた。

    ーーあぁ。起きたのか。起きなければ、あいつは親父の個展の手伝いに行かなくていいのに。

    そう負の感情を抱いても、この日は親父と絵名がようやく話せるかもしれない日だ。画家としてもそうだが、家族としてというのも。個展のフライヤーを見たり、サイトをなんとなく目に通した。親父はもう個展の準備に忙しいからリビングにそんなに顔を出さない。だから、流れ的に母さんに聞くことしかなくて、「こんな絵を描いてたんだな」と素っ気なく聞けば、大まかで覚えてる絵の内容を話してくれた。

    親父の半生。半生って言葉はオレや絵名からしたらまだ使えないだろう。絵名は親父と同じ絵で。オレは絵名のおかげで知った歌で。どんな半生になるかはわからないが、絵名は絵で食って行こうとしているだろう。迷いはあるけども。そんな絵名を止めることはできない。

    朝の送り出しの挨拶を交わさずに、ただ部屋の窓から絵名が家から出るのを見守る。相変わらず慌ただしくて、でも、自分の身なりを確認しているのがあいつらしいと思えた。

    数時間もすれば、青かった空も夕焼けになり、陽が落ちてうっすらしていた月が出てはっきりと見える夜になってくる。練習をいつも通りこなし、ランニングもして家に帰れば、まだ母さんしか家にいなかった。


    「おかえりなさい」
    「あいつらは?まだ帰ってないのか?」
    「ええ。絵名なら準備して課外授業終わったら帰ってくると思うって言ってたから、きっと帰ってくると思ったんだけど…」


    「もしかしたら、あの人と話してるかもしれないわね」とあまり話さない2人を想像して笑みを浮かべる母さんに、「そうだと良いな」と返す。

    親父に関しては不器用すぎるから。1番褒めて欲しかった、認めて欲しかった奴に現実を突きつけられて荒れ始めたから。オレがたまたまコンビニで機嫌を直して欲しいと買ったものをあげたら、なんとか落ち着いていったを通り越して、調子に乗ってパシリに使うようになるなんては思わなかったことを思い出してしまう。


    「彰人、絵名とお父さん2人一緒に帰ってくるかな」
    「絵名が時間ずらして帰ってくるっていうこともありえる」
    「絵名らしいわね」


    家にいる方も方で、帰りがどうなるかと想像しながら話す。けど、オレは絵名に現実は突きつけても、否定な言葉をかけないで欲しいと思っている。願っている。認めるとまではいけないが、これから先のことを、話を聞いてくれるだけでも…。


    「先にお風呂入っていらっしゃい」
    「そうする。どうせ、後ろに長風呂する奴がいるから」
    「ふふ。そうね。」



    風呂に入って上がったら、帰ってくるかと思ったらまだで、夕飯を風呂と同じように先に食べようと母さんと食べる。食べ終わって数分後くらいに家の外から1人の女の声が聞こえた。独り言を言ってはないような台詞に、まさかなと思ってたら、そのまさかが起きた。リビングに絵名が親父と一緒に入ってきた。


    「ただいまー」
    「…かえった」
    「ただいまでしょっ」
    「……ただいま」


    絵名が先に挨拶をして、次に親父が復唱するように挨拶をしてくれたが、挨拶らしい言葉ではないことから、絵名がつっかかる。すると、渋々と間を置いてから親父が同じ言葉を口から発した。あんぐりと信じられない光景を見ているオレは、すぐに一緒にいた母さんを見やる。母さんの反応はオレと同じ口をあんぐりとは開けてはなかったが、目を開いて、キラキラと輝かせていた。両手を合わせて、「まぁ」なんて感嘆している。個展で何が起きたのかはわからない。けど、母さんがそうであって欲しいと、言葉を交わせたようで、少しは昔のように元に戻ってくるのかもしれない。


    「個展どうだった?楽しかった?」
    「楽しかったって…授業で行っただけ!」


    嬉しいと顔に書いてある母さんが早速、娘の絵名に詰め寄る。すぐには素直になれないようで、フンと鼻を鳴らして、親父ではない方向にそっぽむいた…が、閉じた目が少し開き、親父を見ていた。親父はあまり動かない表情なのに、どこか何か憑き物が落ちたような表情に見える。分かる人ならば、娘のことを愛おしむように見ているのが分かるだろう。


    「課外授業だけではなく、いつでも手伝いに来たら良い」


    今、何てーー?と母さんとオレの脳が働いただろう。どういう経緯で課外授業になったのか、ピンポイントで親父の個展を教室の先生が選んだのかはわからないが、今回限りのことで絵名にとっては次はないだろう。母さんはきっと思わないだろうが、オレがそう考えてしまう。けど、彼女は違った。オレが思わない逆のことを口にした。


    「家では家族で、外では画家と生徒として見て!それか、…うっ、」


    しどろもどろになりながら、最後に言いたくないけども、本当ならそうしたいという想いが隠れきれていない。
    親父が次を促すために、「なんだ」と絵名を見て問う。


    「ま、まだ…見習いの画家とか…そう、ね…」
    「それはまだ早い」
    「まだ画家って言ってないだけで良いでしょ!」


    勇気を持って口にしたが小さい声だった。それでも、親父には届いていた。もちろん、オレや母さんにも。驚くことが多い。2人にはオレたちが見えてるのか見えてないのか、わからない。視野が狭くなっている様子だ。スパンと言い切る親父に言いたかったことを言ったあとの方が声がでかくて本人も恥ずかしくなったらしい。はっとオレと母さんを見てから、髪の一房を人差し指で掬い上げ、くるくると巻きつける。もうおせえよ。


    「個展で何があったかは聞きたいけども、ふたりとも手を洗ってきて。絵名は先にお風呂ね」
    「わかってる。あっ、こら、先に私が手を洗うんだから行かないでよっ」


    絵名が返事をしている間に親父は黙ってリビングから出て行く。親父が自分から離れて、背中しか見えない状態になっても、自分が先だと彼女らしいことを言ってる様子をみてオレは腑に落ちないでいる。リビングから出て行ったのに、騒がしいのは絵名が親父に何かと文句を言ってるのだろう。今まで否定される言葉しか出てこなかった親父に面と向かうのが嫌で逃げていたから、その分、いや、必要以上に突っかかりたいんだろうな。絵名が追いかけるという行動に出たらもう、それは性格上に世話をしようとする行動が発生するだろう。


    「あら、彰人はつまらない?」
    「…別に」
    「お姉ちゃんを取られちゃったわね」
    「そんなの思ってねぇって」


    不貞腐れてると思われたのか、良い表情をしていないオレに母さんはくすくすと笑う。母さんに揶揄われてばかりだな。とため息をつきたくなる。洗面所からはまだ騒がしい声。手洗いうがいするだけで何を騒いでんだか。


    「部屋戻るわ」
    「明日の準備してから寝るのよ」
    「へーへー」


    リビングに出る。ということは、廊下に出て灯りのついてる洗面所も見える。ちらりと洗面所をみれば、ドアが開いていて見える光景。絵名が勝ち取ったのであろう、彼女は見えないが、彼女のことを後ろから見ている穏やかな表情をしている親父が見える。

    そんな顔が出来るんだな…。


    「彰人」
    「おう」


    見ていたオレに気づいた親父がオレの名前を呼ぶ。とりあえず、返事をしておくかと返事をしたら無言になる親父。用があったんじゃねぇのかよ。


    「彰人いるの?」
    「いるけど?」


    絵名も気づいたようだ。手洗いうがいを済ませた絵名が親父の前を無理やり通ろうとしながらも、オレの方へとくる。お前、遠慮なくなったな。そのうち、親父もパシリにするんじゃないのか。

    オレの前へと来た絵名に今度はお前がオレに用があるのかと待っていれば、何かを思いついたのかにんまりと口角を上げる。嫌なことを言われそうだと対処方法を考えるが、彼女の視線はオレではなく親父になった。


    「…オレがいない時にしろ」
    「何言われるかわかってるの?」
    「牡丹の絵のことじゃないのか」
    「…うっ、」


    「もし、必要であればサイトなり、写真なり見せれば良い」と言って、済ませた親父はリビングに戻っていく。残された絵名は顔を赤くして悔しそうに親父を睨んでいるから、声をかけなきゃ話が進まないだろうと、「絵名」と彼女の名前を呼んだ。そうすれば、絵名の意識はオレに向く。


    「何があったんだよ」
    「別に、個展に行っただけ」
    「牡丹の絵って?」
    「それは向こうで話すから。ここだとあいつに聞こえちゃうかもしれないし」


    牡丹の絵を口から出せば、ぴくりと耳を動かすから、歩き始める彼女について行くことにした。部屋に入ってと珍しく招かれて、彼女の部屋に入る。物が散乱しているのはいつものことだから、座れる場所に座ろうと腰を下ろす。


    「ちょっと、そこはベッドでしょ」
    「お前は椅子に座るから良いだろ」
    「少しは距離を考えなさいよ」


    そう言っては、椅子ではなく結局、同じようにベッドに腰を下ろすから、優しい。状況が違ったら、オレは彼女に手を伸ばしていたのかもしれないが。スマホを操作して、オレに一枚の絵を見せる。さっき言っていた牡丹の絵だとすぐに分かり、話を促すために、彼女を見た。オレの反応に彼女は口を開く。


    「私が産まれた夜、病院の帰り道で見たんだって」


    「で、あいつが描いた絵」と親父と同じように愛おしいものを見つめる眼差し。


    「この絵が…」
    「そう。あいつ、私のためにこの先の人生、自分と同じように苦しまないようにって、言葉はかなり足りないけども、否定してたみたい」


    自分と同じように…?

    彼女を訝しげに見る。それは本当なのか。あいつが絵で苦しむなんてことあったのか。


    「深くはまだ知らない。あいつがただ絵を描いても売れなかったってくらいしか。画家をやめようって時に描いた絵で、また描きたいというか…描き続けなきゃって思うようになったんだって」


    オレも知らないことだった。何かを抱えていたのは知っていた。絵名が小さい頃に描いてた絵も今描いてる絵も、親父の表情はどちらも見る目は穏やかで変わらないから。けど、それは絵名がいない時で、たまたま部屋の片付けを忘れ、重ねて部屋のドアを開けぱなしの時だ。だから、バレた時、「勝手に部屋に入った」と睨まれるし、彼女の負の感情が溢れ出る。


    「ふうん」
    「あんたが産まれた日も帰りに咲いてる花とか見て描いてそうよね」
    「花じゃなくて風景かもしれないけどな」


    良い絵だと思う。彼女はオレも彼女のように何か描いていたのではないかという考えが、想いがあるから話したんだろうな。同じであって欲しい。きっとあいつのことだから描いてはいるでしょと思っている。でも、それはたまたまのこと。もしかしたら、もう筆に手を取れない、そんな窮地にきっかけとなったものがあっただけで。オレの時はないかもしれないのに。


    「写真送れよ」


    スマホを操作して要求すれば、笑ってすぐに絵を送ってくれる。


    「…そんなに嬉しかったんだな」


    あいつのことで嬉々とした様子の彼女が珍しくてこぼしてしまう。スマホに送られた牡丹の絵を見て。やっとのことでオレもこの2人は話せたんだなと嬉しいけども、寂しいのは事実。ぽろりとこぼれ落ちた声に、感情に自分より早く気付いたのはやっぱり姉である彼女で、眉を下げた。


    「そうね…今まで話せなかったのは確かに私が悪いけども、あいつも悪いんだからね。ナイーブな時期にやっとのことで言った私の進路にあいつはこれからのことを私よりちゃんと考えていたから…。ほんっと、言葉が足りなかったんだけどねっ」


    「諦めてなんかやらないんだから。私のこの先はもう決めたの」と覚悟を決めた目をした彼女に、置いてかれるのかと暗闇にいるかのような感覚になる。彼女が遠い存在になる。自分だって足掻きに足掻いている。何が足りないなんて、分かっては居るけども、それに向けて一心になって熟せば、また新しい足りないものが出てくるオレが居る。絵名だって、そうなのに。自分のことばかり考えてしまう。


    「彰人は…彰人だって、この先どうするか決めてるんでしょ」
    「…」
    「私はあんたに切っ掛けを与えたと言っちゃいけないかもしれないけど、与えただけ。やりたいものを見つけてのめり込んで行った姿を見て、あぁ良かったって思ってる」


    スマホを見ていたはずが、視界の端に彼女の姿が写る。隣に座っていたのに、わざわざベッドから離れてオレの目をちゃんと真っ正面から見るためにカーペットに膝を立ててオレを見て話す。スマホを触ってる方ではない手に彼女は自分の手を重ねて。


    「私はあんたと同じものを見てるわけじゃない。同じ舞台には立てないんじゃなく、立たない私はあんたにああしろとかこうしろとか相談に乗れないことがほとんどよ。外野から何言われても刺さらないでしょ」


    視野が狭まるだけだ。けど、オレは今までの評価を気にしている。外野に言われたからというのとあるが、
    けど、話を聞くことならできる。

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