🐛くんの幸せな場所綺麗と、言われてた。
たくさんたくさん、遊んでもらった。僕の人間のお友達。だけどある日突然いなくなっちゃった、僕の人間のお友達。
僕はもう綺麗じゃないから、遊んでもらえないの
綺麗じゃないから、綺麗···綺麗って何
初めて体が自由に動いたとき、近くにあった水たまりを覗いてみた。
ひび割れた顔に、目からは虫が飛び出ている。
それだけじゃない、顔にこびりついたこれは何
あの子と遊んでいたとき、あの子の目の中に映っていた僕とはあまりにもかけ離れた姿。
気持ち悪い、そんな言葉がふと頭の中を通った。
「キレイ、キレイ…。トッテヨ。トッテヨ、トッテ、トッテヨ」
綺麗じゃないと遊んでもらえない、綺麗じゃないと綺麗じゃないと…
僕は立ち上がり、歩き始めた。
人がたくさんいそうな場所へ。
あそこなら、きっと僕を綺麗にしてくれる人がいるはず。あそこなら、きっと僕を大切にしてくれる人がたくさんいるはず。
僕と遊んでくれる人もたくさんいるはずだ。
「ネェ、ボク、キレイ…」
「綺麗だよ。」
近くにいたニンゲンに話しかけてみた。
そのニンゲンは、ニッコリと笑みを浮かべて僕の欲しい言葉をくれる。
僕の踊るダンスに夢中になってくれる。
「ネェ、ボクト…」
僕と、ずぅっと、一緒にいようね。